新しい世界と銃
転生が終了した。光に包まれた俺たちが気がつくとどこかの礼拝堂の様な場所にいた
「よく来てくれた、救世主達よ」
礼拝堂の中央に立つ初老の紳士が俺たちを召喚したのか?
「これで、私に悔いは無い、皆、この世界の事を頼む」
そう言うと初老の紳士は吐血し、崩れ落ちた
「ワイズマン様」
初老の紳士はワイズマンと言う名前なんだろう
俺たちはただ、呆然と見ていた
「亡くなったのですか?」
島村が質問する
「残念ながら......禁呪を使い貴方達の召喚には成功しましたが、
この魔法の対価は命なのです」
「すいません。説明してください。
どうしてそこ迄して僕達を召喚したのですか?
それに、僕達に何かを望んでいるのでしょう
それならば、置かれている状況を詳しく知りたい」
委員長の島村が質問する
「わかりました。私が説明します
私は賢者ワイズマンの娘エリスです
父はこの世界を救うため、あなた達を召喚しました
この世界は今、絶滅の危機に瀕しています
100年前より収まらない魔族との戦争により国は荒れ、
魔物に人類は蹂躙されています
このままでは人類は、後10年ももたない
父は人類の為、命を捧げました
お願いです。この世界を救ってください」
エリスの必死の問いかけに島村が答える
「実はこの世界に転生する際に執政官にこの世界を救う事を命じられました
僕達は罪人なのです。この世界を救う事が贖罪なのです
安心してください。全員、この世界を救う為、尽力します」
「ありがとうございます。安心しました
人類の為、力を貸してください」
俺達はこの世界の事を聞いた。
魔族の世界の事はほとんどわからないが、
人類は4つの国よりなりたっていた
この国はアルナロック、北にはベルリン、西にエルアラメイン、東にアルデンヌがある
このアルナロックは南の魔族の住む国に面し、
絶えず魔族との戦いに明け暮れていた
しかし、10年前、魔族に新しい王が誕生した
それが魔王アーデルベルト、アーデルベルトが誕生して以来、
それまで秩序だった戦いの無かった魔族の攻撃に秩序が生まれた
その為人類は急激に損耗していった
そう、新たな魔王は軍師としても一流だったのだ
それ以外にも色々情報が入った。
ここは王都ベルン、この礼拝堂は王都の主教アリシア教の教会の礼拝堂だった
一通り教えてもらうと、俺達は宿舎に連れて行かれた。
宿舎は男性用と女性用に分かれていた
俺がどちらに行けばいいか判らなくて困っていると、
南がこっちと女性用に連れて行かれた
確かに、物理的にはそうだから、無難な選択なんだろうな
俺は自分にあてがわれた部屋で、久しぶりに落ち着いた
この数時間全く余裕が無かった
次から次へと色んな出来事が起こりすぎた
ここで、俺はいくつかの事を確認した
それは俺の特別なスキル、『ガンスリンガー』だ
本当にこの世界で使えるだろうか?
集中すると俺の脳裏にガンシューティングゲームのウインドウが確認できた
フレンドリストを確認する。ひとりだけ登録があった
『神ちゃん37号』
なんか、どっと疲れた。
あの男の施政官、真面目な感じだったけど、
実は雑な奴じゃ無いかと思い始めた
そもそも転生失敗されて死んでしまったし、なんか簡単にこのスキルくれた
確かに魔族には効かないのかむしれないが、
普通の人間には十分無茶な能力だ
そう言えば、銃は何処にあるんだ?
俺はウインドウを確認した
そうだ、ゲームでも倉庫に格納していたんだ
倉庫は100個収納できる様だ
ガンシューティングゲームの初期値と同じだった
倉庫を眺めると、あった。銃だ
銃はジェリコ941。弾丸は9mmx19弾、装弾数は16+1
イスラエル陸軍の正式採用拳銃だ
他に、予備弾倉10個とポーション、エリクシール、蘇製薬各10個
蘇生薬は反則じゃ無いか?
他にショップがあった
ショップには各種拳銃の他、アサルトライフル、手榴弾や対空ミサイルまであった
ただし、これらを購入できる程の貨幣は無かった
初期値の$1000のままだった
俺は早速銃を出した。手にすっと出てくる、便利この上無い
そして、銃をバラして再度組み立てる。大丈夫だ。使えそうだ
『?』
俺はふと思った事をやってみた。近くにあったコップを倉庫にしまう
しまえた......
こ、これって収納魔法?
これも反則じゃないか?
あの施政官、チートな能力は期待するなって?
十分、チートだよな。俺は手に汗をかいてきた
そうだ、例の施政官のつけてくれたAIの施政官の助手
神ちゃん37号にコンタクトする
「神ちゃん?」
「はい、高野さん」
本当に呼び出せた!
「あの、教えて欲しい。貨幣をもらうにはどうしたらいいんだ?」
「敵、この世界では魔物か魔族を討伐すると貰えます
あなたの好きだったガンシューティングゲームと同じです」
良かった。弾丸を撃ち尽くしたら終わりでは無い様だ
「あと、この世界の貨幣を課金しても手に入りますよ」
俺はがくっとした。あの施政官ずぶずぶだ
「ありがとう。神ちゃん」
神ちゃんは何処かに引っ込んだ。俺は、恐る恐る、
ベッドの前に立った。そして、ベッドを収納する様思念した
ベッドは収納された
本当、あの施政官ずぶずぶだ
俺は一通りの結果に満足すると風呂に入った
風呂には鏡が備えられていた
俺は改めて自分をみた
少し低めの身長、肩まである金鎖の様な髪がふわりと流れる
そして赤い目と長い睫毛
思い当たる節がある、俺の大好きなガンシューティングゲームには自身のアバターを作る事ができた
俺の面差しはそのアバターそっくりだった
あの施政官、てっきり前と同じ体を用意してくれると思ったけど、そうでは無かった
俺のゲームの世界の自分を再現された
だから、俺は女の子になったらしい
本当、あの施政官には気をつけよう。適当にも程がある
それにしても、俺は自身の体を見ても何とも思わなかった
少々未発達のバストは恥ずかしかったが、これ、女性の反応じゃ無いだろうか?
中身も女性化しているのか?
いや、俺は今も南の事が好きだった
俺の為に涙を流した南、子供の頃、一緒に遊んだ南
俺にとって南だけは特別だ
それは女同志の友情では無い。男の女の子への憧れだった
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