第84話

「ハルカ居るか」

「はーい」


 オカは目を開けた時、いつもの場所に居たので直ぐに村に向かった。


「オカ、なんか今日は早いね?」

「あぁ……実は今日、アケミとソラタに会った……」

「え!?」


 ハルカの声色が変わる。


「そ、それで……?」

「なんとか逃げられたけど、ソラタは既に相当な力を持っていた様に思える」

「……」


 ハルカは何やら考えている様である。


「ママは?」

「アケミは良く分からなかったな……」

「そっか……」

「それで、何か倒すのに良い案は無いか? ソラタの相手はかなり身の危険を感じたぞ……」


 オカは今、思い返すだけでも足が震える様だ。


「うーん……倒すのは依代を壊す必要があるけど……」

「まず、その依代が何処にあるかも分からないぞ?」

「あぁ。それならオカには悪いと思うけど、今まで話して無かったや」


 誤魔化す様に笑うハルカをオカはジト目で何となく居そうな場所を見る。


「そういうのは先に言ってもらわないと!!」

「ごめんごめん」

「それで?」

「依代は、ママ達の世界にあるんだよね……」

「世界?」


 ハルカが何を言っているのか、分からずオカは首を傾げる。


「そう。私達はそれぞれ別の世界を行き来き出来るんだけど、もう一つの世界に依代があるんだよ」

「なら、何で先に言ってくれなかったゆだよ!」

「あはは、なんでだろうね?」


 これ以上相手も無駄だと思ったオカは話を戻す。


「なら、その世界に行く方法を教えてくれよ」

「それなら、覚えている!」

「忘れられてたら困るんだよ!」


 まぁまぁ、と言いながらハルカが説明してくる。


「基本は、向こうの世界に行くには私達の様な超常現象的な存在しか行けないんだよね」

「おいおい……ならお手上げじゃ無いか?」

「ううん、そんな事も無いよ。ママ達がこっちの世界に現れる時にそこからオカが入れば向こうにいけるから」

「それは、かなり難易度高くねぇーか?」

「あはは、だよねー?」


(あはは、じゃねぇーよ……)


「安心して、もう一つ方法があるから」

「そっちを早く言ってくれよ」

「ただ、そっちは結構危険なんだよね……」

「どういう事だ?」


 危険と言われて少しビビるオカである。


「もう一つは、向こうの世界をこっちに具現化させる方法だね」

「具現化?」

「うん。前にパパがやっていたのがそうだね」


(マサオさん、そんな事していたっけ?)


「ほら、私達の家に入った時、家の大きさではあり得ない程、廊下が長く無かった?」

「あ!?」


 ハルカの言葉にオカは思い出す。


「そういえば、めちゃくちゃ長かったな」

「それが、具現化だね。あれはパパの向こうの世界を具現化させたんだよ」


(成る程……、だからハルカ達の依代もあったのか)


「ピンポーン!」

「でも、危険とはどういう事だ?」

「もう、そのまんまの意味だね! 具現化した世界は自分の思い通りの世界に作れるからね……」


(自分の好きな世界観を作れるとか最強だな……)


 オカの最強が何を指しているか分からないが、どうやらマサオさんの時同様に苦戦する事は免れない様だ。


「なら、どうやって具現化させるんだよ?」

「うーん、ママ達が具現化させたくなる状況を作り出すしか無いかな」

「それは、どうやって作れば?」

「そうだなー……何人かで殺人現場に向かうとかかな?」

「そんなんでいいのか?」

「多分ね。ママ達からしたら沢山の餌が来た様なものだからね」


(餌って俺たちの事かよ……)


「ママ達からしたら美味しい餌って事だよ!」

「嬉しくねぇーよ……」

「まぁまぁ」


 オカを落ち着かせる様にハルカが宥める。


「それじゃ、具現化した世界に行けばアケミとソラタの依代があるんだな?」

「うん。何処にあるかまでは分からないけど、確実に何処かにはあるよ」

「分かった」


(どんな世界になるかだな……)


「あー……多分あそこかな……」


 ハルカが何やら呟いたがオカには聞こえなかった様だ。


 それから、色々と話た結果、結局はパラノーマル全員でアケミとソラタが現れた場所に向かうのが一番良いという結果になった。


「なら、とりあえず明日プルさん達と相談してみるよ」

「うん。もし皆んなでママ達の所に行くのが決まったら私にも教えて?」

「あぁ分かった」


 それから、周りが霧に包まれていつもの様にオカは目を覚ます。



「よし!」


 気合を入れてベットから身体を起こし、最近いつもの日課になったニュースを見る。


「結局昨日も二人の犠牲者が出たか……」


 ニュースでは、二人の犠牲者が出たが、殺され方がこれまでと違うという事で別の線からも捜査をしていると報道された。


「昨日の依頼者も結局はアケミやソラタに殺された様なモノだよな……」


 裏側を知っているオカ達だけが真相を知っている状態であった。

 そして、続いて今回の事件に関したニュースが流れる。


「今回の事件で犠牲者が大勢出た事による影響で現場の付近に住む住人達がどんどん離れていく事象が起きております」


 どうやら、身の危険を感じた者達が次々と離れていっている様だ。


(それゃ、怖いし当たり前だよな……)


 オカはある程度ニュースを見てパラノーマルに向かう為家を出る。


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