第77話

「皆さん、おはようございます! テレビ見ましたか?!」


 プルの映っていた番組が終わり次第、オカは家を出て会社に向かった。


「おー。見たぞー!!」

「はは、流石プルさんだっよね」

「はい! ま、まさか全国放映で都市伝説の事を話すなんて……」

「流石、プルさん……」


 やはり、みんな見ていた様で思い思いの感想を述べていた。

 すると、事務所の扉が開き噂の張本人が登場する。


「皆んな、おはようー」

「「「「「おはようございます」」」」」


 挨拶の後は直ぐに質問攻めになる。


「プルさん、またテレビ出てすげーすっね!」

「ふふ。パーク君も出てみる?」

「い、いや俺は遠慮しときます」


 恥ずかしいのか、パークは即答で否定する。


「私達は出たい……」


 声の方向に視線を向けると、ブィブとダルマが手を挙げていた。ダルマの場合はブィブに無理矢理手を挙げさせられている状態だが。


「お、俺は出ねぇーよ!」


 直ぐ様、フィブの手を振り解き距離を取るダルマ。


「ふふ。今度聞いとくわね」


 コクリと頷くフィブにオカは関心している様だ。


(フィブって度胸あるよな……)


「プルさん、テレビでの宣伝は良い考えですね」


 ヒューズがプルの戦略に気付き話し始める。


「でしょ? 私としてもナイスアイディアだと思うわ」

「えぇ。あれなら俺達が見つけなくても誰かが見つけて動画とかアップしそうですよね」

「ふふ。それが狙いよ」


 ヒューズ以外はプルの狙いに一切気付いて居なかったのか、関心する様に首を振る。


「それじゃ、今日も仕事頑張りましょうか」


 プルの掛け声でそれぞれが席に座る。


(あ?! ハルカから教えて貰った事すっかり忘れていたな……)


 一度席に着いたオカだったが、手を挙げて発言する。


「皆さん、ちょっといいですか?」


 声に反応しオカに視線が集まる。


「昨日ハルカにある情報を聞いたんですけど」

「お? 何か新情報はあるのか?」

「えぇ。実はアケミの方は特に無いのですが、ソラタに関しては、どうやら動画の人気度が低いのしか出現しないらしいです」

「なるほど……。なら再生数とか少ない動画を探してみるか!」


 オカの教えてくれた情報を聞いて、パークは早速検索を掛けている様だ。


「それと、もう一つあります。どうやらアケミもソラタも人を殺せば殺す程力が増すらしいです……」


 オカの発言にいきなり事務所内は静まり返る……


「それはホントかい?」

「はい。ハルカが言ってました。力が増せばどんどん人を殺していくから早く見つけて倒せと」

「早く倒せと言われてもね……」


 パラノーマルのメンバーはどうすれば良いか考えるが答えが見つからず、取り敢えず今は出会い系サイトと動画サイトを調べるのであった。


「お? もうこんな時間かー」

「それじゃ、今日は終わりにして帰りましょうか」


 全員が帰る準備をする。


「結局何も見つからなかったですねー」

「あぁ。何をどうすれば良いか分からないし結局は手探りで地道に探すしか無さそうだ……」


 そして、オカは家に着くと直ぐ様寝る準備をしてベットに潜り込む。


「さて、ハルカに会いにでも行くか」


 オカはベットに入ると、時間的にはまだ早いが直ぐに眠りに就く。




「よし」


 いつもの所で起き出したオカは村に向かって歩く。

 そしてハルカに声を掛ける。


「ハルカー来たぞー」

「いっらっしゃーい」


 まるで友人家にでも来た様な気軽さでオカはハルカを呼び、ハルカも親しい友人を迎入れる様に返事をした。


「そういえばハルカって何食って生きているんだ?」

「え? 何も食べなくても平気だから特に何か食べてたりはしてないよ?」


 少しの間雑談していると、ハルカの方から話題を切り出して来た。


「オカ、ママと兄の事見つけた?」

「いや、今日も結局見つける事が出来なかったな……」

「そっか……」

「でも、プルさんが全国放送の時に都市伝説の事を話たから、もしかしたら見つかるかもしれない」

「どう言う事?」


 ハルカが首を傾げている声色だったので、オカは朝の出来事を説明している様だ。


「なるほど……。それは確かにいい考えかもね……」

「だろ?」

「でも、本当に急いだ方がいいかも」

「なんでだ?」

「日に日に、ママと兄の気配が強くなっていくのを感じる……」


 真剣な声にコトの深刻さが窺えたのかオカはハルカに質問する。


「そ、そんなにヤバイ状態なのか……?」

「うん。今はまだ大丈夫だと思うけど。この調子で殺して行ったら、パパくらいの強さになっちゃうかも……」


(マサオさんレベルだと!?)


 オカはとても驚いた表情を浮かべる。


「マサオさん級が二人なんて冗談じゃ無い!」

「うん。流石にパパクラスまで行くのにはまだ時間が掛かるけど最近は凄いスピードで人間を殺しているから、不味いかも……」


 オカは、コトの深刻差を再認識させられた様だった。


「とにかく、急いでママと兄を見つけて!」

「あ、あぁ。明日会社に行ったら、テレビを見た人がパラノーマルに電話して来るかもしれない!」

「それで、見つかればいいんだけどね……」


 二人が話していると、周囲に霧が発生し始めた。


「そろそろ起きる時間か」

「恐らく、今日もニュース新しい被害者について報道されると思う」

「最近は毎日だもんな……」


 そして、霧がオカを覆い目が覚める……

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