第9話 聖女の抵抗
入念な調査によって、魔王の体がある場所は分かった。
しかし、その魔王を倒すには、同時にそれらの場所で聖属性の魔法を使って浄化しなければならない。
しかし問題がある。
かつて、魔王を倒す事ができた人物、聖女の血は残らなかった。
最終決戦で俺達が死んだ後、おそらく殺されただろうからだ。
だから、この時代にいる者達は誰も聖属性の魔法を使う事ができない。
ないものを、どこからか持ってくる方法はあるのか?
ないものを、どこかから作り出す事はできないのか?
考えたが、何も思いつかなかった。
俺達は己の無力に打ちひしがれた。
しかし俺は、かつての聖女の歌を口ずさんだ時に、聖属性の力を使える事に気が付いた。
一体なぜ。
疑問に思った。
そこで、俺は死ぬ前に見た光景をしっかりと思い出した。
魔王に操られ、破滅の歌を歌う聖女。
その声はひび割れ、とても聞き取れるような言葉にはなっていなかった。
だが、その言葉の端々に、浄化の歌の片鱗があったのだ。
とぎれとぎれの歌。
聞くに堪えない歪んだ歌。
しかし、彼女は魔王の支配に、抗っていた。
その中に、ちりばめられたのは本来の旋律だ。
破滅の歌を歌うと同時に、聖女は聖なるの歌も口にしていたのだ。
放たれた力は、死にゆく俺の魂に宿り、転生した俺の記憶を守り、そして再び目覚めた。
望みは繋がれた。
俺は、その聖属性の力を、どうにかして仲間達に分け与える方法を探した。
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