第6章 準備終了

01 新たな任務



 保護した子供ドラゴンがひとまわり大きくなった頃。


 竜騎士部隊に新たな任務が下された。


 今までは割と平和なものが多かったけど、今回は結構物騒だ。


 虐殺犯の根城を見つけたから、犯人たちを捕まえてくれってさ。


 結構な人達が困っていて、ちょうど間が悪く、誰も人員を割けないから、あたし達にそういう仕事がまわってきたらしい。


 今回はあたしとヒューズとタバサ、それにクランとシェフィの五人で任務を行う。


 おっさんは仲間外れだけど、また人数が多いな。


 でも、シェフィはまだ子供だ。


 魔物を倒せるくらいの力はあるけど、少し心配だった。


 できればだけど、刺激が強い場面を見せないようにしないとな。


 控室でクランから任務の内容を聞いていると、おっさんが何かつぶやいていた。


 参加はしないけど、話は聞くだけ聞くらしい。


「社会的弱者を狙った正義の使徒ねぇ。なんでこういうやつらって、自分をもっと俯瞰してかえりみたりしないのかしら」


 おっさんには、なにか思う所があるようだ。

 過去にそういう連中と何かあったんだろうか。

 柄にもなくシリアスだ。


 まあ、そういう連中に対する嫌悪感ってのはみんなあるものなんだろうけど。


「大っぴらに正義なんて語ってるやつ、良い印象がねーのは当然だな」


 あたしの言葉を聞きつけたタバサが話しかけてくる。


「アメリアちんは、そういうの嫌い?」

「自分は弱いやつじゃねーって、そう思ってんのがはらたつ。あと絶対正しいって考えてるのもな。へどが出るぜ」

「アメリアちんらしー」


 タバサは特別に思う所は特にないようだ。

 普通の犯罪者どうように好きじゃない、という感じはあるが。


 ヒューズも顔をしかめているものの、そういう連中はそういうもんだと割り切っているらしい。


「あまり考えすぎないほうがいいですよ。そういう連中は常人には分からないものさしを持っているものですから、理解しようるするだけ疲れます」


 なんか、すごく今まで色々あったみたいなセリフだな。

 これまでにそういうのと戦った事があるのかもしれない。


「ほうほうで悪さをしている悪魔教、とかいうのにスカウトされた過去があるんです。あの時は色々困りましたね」


 さらっと驚愕の事実が出てきた。


(うわぁ。なんて言っていいのかわかんねー)


 城で働いてるのに、そういうのに声をかけられたってところにつっこめばいいのか?

 それとも相手の間抜けさにつっこめばいいのだろうか?


 そんな事情でややげんなりした表情を見せているヒューズは、シェフィに労られている。


 兄貴としてはどう思っているんだろうとクランに視線を向けると、少し悲しそうな顔をしていた。


 こんな凸凹な性格してても一応兄弟だから、心配したんだろうか。


 それからあたし達は雑談をしながらも、入念な打ち合わせをおこなった。


 くだらない連中とする馬鹿みたいな仕事で命をおとしたくないからな。


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