転生チートで最強にしてと言ったのに、最強は自分でなる羽目になったけど、案外仲間となら楽しみかも
秋霖 幽鬼
序章【起点】
第一節【転生と異世界の基本】
第1話【転生】
「この表に記入事項をお書きください」
公務員のような女性が、何かを記入出来そうな紙を市役所の窓口らしき所に立っている俺に渡し、スマイルを見せていた。
だが、演劇部だった俺には分かる、それが作り笑顔、そう、営業スマイルだということを。
✤✿✤✿✤
10分前、俺は市役所みたいな所で目が覚めた。
「痛たくない、確か俺たちは子どもを庇ってトラックに轢かれたような」
体を起こし、頭を抱え思い出そうとする、うろ覚えな記憶を探った、その時。
「ええ、確かにあなた方は轢かれました。だからここに来ています」
コツンコツンとハイヒールの地面を蹴りあげる音の響きの方向から、見知らぬお姉さんが近づいてそう言った。
パッとみ、市役所みたいで役員も働いている。もし死んだなら、幽霊になって霊能者に会ったのではないのかと思う。当然あるはずがない
「ここ?何で惹かれたら市役所に来ているんだ?普通は病院に行くんじゃないですかねぇ」
混雑する情報を整理するも、統合することができず頭を掻き、困った様子を表す。
と言うかよくトラックに惹かれて傷1つ無いんだよ、と思ったが口には出さなかった。
「病院に行っても仕方ないですよ、だってもう死んだですもの」
突然それを言われ一瞬ついていけず、「へぇ」と言う腑抜けた声を出した。
「またまたご冗談を」
冗談を知っている状態で面白おかしく話すように言う俺は、相手の真剣の顔を見て俺はそれを信じた。
「マジ、本気と書いてマジ?あっ、夢か」
が、信じたくない心もあり、事実を消すように現実逃避をする。
「だから本気と書いてマジって、そう言っているんじゃないですか。あと夢ではありません」
そう呆気なく言われれた。
だからこそ、どうして、ここなんだよ。
そう、密かに思い、倒れている時にベッド代わりにしていたベンチに深々と座り込んだ。
「ここは死んで異世界転生する人をサポートする異世界転生管理局よ」
何だか何処ぞの漫画のタイトルみたいな名前だなぁ。
「あっ何処ぞの漫画とは関係ないのよ」
お姉さんの言葉の繋ぎに違和感を感じ、心を読まれたのか?いやいや流石ないない。
そう思い、動揺を隠し、話の続きを聞いた。
「まぁそれは置いといて異世界転生をしてもらいます」
死んで、苦しむよりはましだから、首を縦に振り、同意した。だけど気になり聞いてみることにした。
「いいけど、天国や地獄とかないのですか?」
「ありますよ」
この人の清々しい返事にも慣れてきたが、あるのかい!そう思いツッコミたくなる。
「他に質問とかあるの?」
突然の質問を聴く質問、直ぐに考えこう思った。
「あっ、一緒に轢かれたと思われた2人はどうなっていますか?」
あの二人はバカだ。暴走したトラックに轢かそれそうになった1人の子どもを助けるために身を乗り出した俺を追った。視界は、子ども以外を映していない。子どもを突き飛ばし、安全である状態を確認できた時には、意識は消えかかっていた。
子どもが状況を理解できた瞬間に俺の意識は消えた。
その少し前に、足音は自分のを含めて4つ発してた。
死ぬのは俺だけでよかった。あの二人まで行く必要は無い。
「一緒に転生してもらいますよ」
「そう…ですか」
哀愁を漂わせながらも安堵の声が漏れた。
せめて行ったのなら同じように地獄などに落ちず、同じ異世界に転生出来るといいなぁ、と俺の考えは単純だった。
「同じ世界に転生してもらいますよ」
えっ、やっぱり心を読まれていた。そう心の中で驚く。
「言ってませんでした、私、心を読めますよ」
言ってないよ、あと何だそれ。えげついことをサラッと言っていくなぁ。まぁいいや突っ込まないようにしょうっと。
そう、元から細く痩せた体の体力を温存しようとする。
「あっ、でも天国とかに行きたい人とかはどうなるんですか?」
「大丈夫です、行きたい人は行けますよ、それに地獄で自分の罪を償いたい人もいて、行った人は多くはありませんがいるにはいます」
なるほど、転生は選べると。
てか、地獄に行く奴なんておったんだな。
そりゃー、死ぬかもしれないよりはもう死なずに済む方がいいと言える。けど地獄はないな。
まぁ、まだ若いし、歳を取るまでには稼げると思う、老死するまでのお金を。
「それでは、この表に記入事項をお書きください」
「あっ、はい」
未練はあったが何となく受け入れることが出来た。
俺は渡された紙をペンで書いて行くと何だこれと言える、
「これはその欄の通り転生した時に貰えるチートとかですね」
「何でも出来ますか?」
「転生に支障が出ないのなら」
これがあれば転生した世界で無双とか楽出来るじゃん、定番があって良かったわ、まじで。
「そう簡単に無双は出来ませんよ」
「何でですか?」
「チートに自動調整が掛かるから、でもそれなりのチートにはなりますよ」
まぁいいやどうせそれなりのチートにはなるんだ、好きな事書いとこう。
「これで良いですか」
「うん、書き漏れもないしOKだよ」
全て書き終わり、受付のお姉さんに提出する、そして目を通し、チェックして貰い、親指と人差し指で丸をつくり、OKサインを出してもらった。
「それでは、こちらへ」
そこで、ふと、気になった。
「あっ、お姉さんの名前教えて貰ってもいいですか?」
「ナンパですか、いいですよ年下は好きですよ」
お姉さんは人差し指で唇の手前に立ててながら話す。これは何かの特定の感情などを持った時の癖だろう。
「違いますよ!」
やや強い口調で主張をした。
「名前はルーミーです。新しい人生に祝福を」
「ありがとうございます、ルーミーさん」
ただお礼を言う時にしっかりと名前を添えたかったのだ。
朗らかに見送られる、ニッコリして手を降る。
「行ってらっしゃい」
再度のスタート、自分の中で、他の何かを感じる。これは期待からか、それとも不安からか、はたまた、子どもの今後を思った気持ちなのか、今知るツテはない。
周りが青白い
そして、それに続くように意識が落ちる。
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