第106話 ウイルスに意思はない
TVで「コロナは賢い」というようなことを言うコメンテータがいるが、何か勘違いしている。ウイルスを擬人化すると、判断を誤る。
コピーミスは、サイコロを振っているようなもので、どの部位でも起こりうる。
機能不全を起こすコピーミスは、生存できずに消滅する。
機能不全を起こさず、増殖できたものは、生き残る。
生き残った中で、現在の宿主の中で、有利に増殖するものは、生き残る確率が高くなり、 増殖に不利な場合は、消滅していく。
結果として、有利に増殖できたものが主流になる。
進化は進歩ではなくて、現在の環境にどれだけ有利に適合したかを示す。
ウイルスが意思を持って進歩しようとしているわけではない。
ワクチンが接種されて環境が変われば、ワクチンに反応しない変異を持つものが有利になる。 特効薬ができれば、薬剤に反応しない耐性株が有利になる。
英国や、南ア、ナイジェリア、デンマーク等で、変異株が見つかっているが、変異が海外だけで起こるわけではない。国内でも、感染者が増大して持続すれば、日本オリジナルの変異株が出現する可能性はある。
強毒化するかもしれないし弱毒化するかもしれない。ワクチンを回避するかもしれないし、ワクチンがよく効くかもしれない。免疫回避能力が高くなるかもしれない。どんな変化が起こるかは神のみぞ知る。
水際対策で、外部から変異株が入ってくる心配だけしていてもそれだけでは不十分。
国内に広がっている"SARS CoV-2"の全ゲノム解析によるモニタリングも非常に重要である。
全ゲノム解析は、PCRよりはるかに手間がかかるので、何らかの異変を察知したら戦略的に、迅速に解析する必要がある。自動化解析装置等の開発も重要。コロナ禍を奇禍として、全自動全ゲノム解析装置を開発しておけば、次の新興感染症のパンデミックに対する有効な武器になる。(パンデミックはこれが最後ではない)
感染率が急に上がった。
重症化の年齢パターンが変わった
死亡率が変化した。
感染の男女比が変わった
ワクチンが効かない地域がある
治療薬が効かない地域がある。
今までになかった症状が出る。
今まではなかった後遺症が出る。
どんな変化がおきたら、重点的に解析するか、事前に考えておく必要がある。
日本では、事前準備不足を「頑張る」ことで乗り切ることを賞賛する傾向があるが、事前に準備して、「頑張らないですむ方法を開発する」ことを頑張ることが重要。プロジェクトX的な頑張りは、効率が悪い。
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