第46話 一発必中(4月12日追記あり)
資金力や国力で、兵器の開発思想が変わってくる。
弾をばら撒くサブマシンガンと命中精度重視の三八式
面制圧兵器と、訓練と一発必中の対戦車兵器
プランA、プランB、ブランCくらいまで準備するか、1つの計画にすべてをかけるか
今回のSARS Cov-2ワクチン開発でも、この差が出てくる
ビル・ゲイツは、開発完了前から、可能性が高い7種類のワクチン候補の量産工場の準備を支援する。たぶん使えるのは2種類程度とわかっていても、供給までの時間を重視
国内では、たぶん、確実なものを2種類程度、慎重に治験を行って作る。
無駄になるのを覚悟で、時間を金で買う資金力があるかないかで、武器の開発時間が変わってくる。
日本では、「許容可能な味方の損失」にはアレルギーがあって、ゼロリスクが要求される。 米国では、すでにボランティアベースのワクチンの治験が始まっている。
自然災害多発国の日本では、ある種の諦観のようなものがあるが、疫病の場合、自然災害の一種であるが、病原体との戦争という側面が大きい(抗う余地が人間側にある)。
数値シミュレーションしてみると、すぐにわかるが、1ヶ月間、ヒト-ヒト接触を8割抑制して感染爆発を押さえ込んでも、抑制を緩和すると感染爆発の軌道に戻って行く。従って、8割抑制→5割抑制→8割抑制→5割抑制と延々と、ワクチンが開発されて、人口のかなりの割合に接種されて免疫を獲得し、感染爆発の可能性が小さくなるまで、長期戦を覚悟する必要がある。
1ヶ月の8割抑制期間が終わっても危機は去らない。8割抑制は、制御不能な感染爆発と医療崩壊をなんとか押さえ込むためのもので、パンデミックを終わらせるものではない。莫大な犠牲者を出しながら感染者を出し、生き残った人口のかなりの部分が免疫を獲得するか、ワクチン開発が成功して、人口の大部分に免疫を獲得させるかしない限り危機は去らない。
イメージとしては、こんな感じ
8割抑制→5割抑制→8割抑制→5割抑制→ワクチン接種開始→7割抑制→4割抑制→6割抑制→3割抑制→5割抑制→2割抑制→4割抑制→大多数にワクチン接種→順次抑制を緩和
感染爆発→医療崩壊→大量の死亡者→免疫獲得者の増加→パンデミックの終息
ワクチンがまだ無い場合
感染率を下げる ソーシャル ディスタンス、手洗いと消毒、マスク、外出自粛
除去率を上げる 検査件数の増加と迅速な隔離 できるだけ市中の感染者を減らす。
検査の問題点
検査能力が高くなっても、検体を効率よく集められないと、検査能力が無駄になる
1回に100件検査できる装置と検査技師がいても、検体が30件しか集まらなければ、70件分は使われない。
過負荷になっている検査技師の増員と、前処理の改善、検体収集の効率化が課題
無症状、軽症の宿泊療養施設が充実すれば、検査件数を増やして陽性の感染者を見つけても、重症者用の病床を圧迫しなくなるはず。
抗体検査キットによる、抗体保有状況調査も重要
"この感染は拡大か収束か:再生産数 R の物理的意味と決定"
"Rとパンデミックの数理モデル"
"モデリングから考える長期的なCOVID-19戦略"
"横浜市立大 COVID-19情報共有"
エクセルを使ったシミュレータも公開されているようだ。
等が参考になる。 探してみよう。
*****************4月12日追記************
牧野先生による評価
牧野先生は宇宙物理学者でスパコンとシミュレーションの達人
原発事故の直後に、汚染規模を正しく予測した人
牧野の公開用日誌
jun-makino.sakura.ne.jp/Journal/journal.html
岩波 解説記事
www.iwanami.co.jp/kagaku/Kagaku_202005_Makino_preprint.pdf
私もMAPLEで西浦先生のモデルで計算してみた。
7割削減だと、かなり収束に時間がかかる。
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****************** 油断するな! ここは汚染地区だ ******************
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