第238話 初めての我儘?

 国境砦からの援軍待ち中に起こった、南部問題を解決して数日、援軍が到着した。

 この援軍だが、増軍する為ではなく、捕虜の移送に関しての援軍だったりする。

 それでも、捕虜の数が膨大な上、恐怖を刻み込まれた元冒険者達が戦争病を発症していたりもするので、軍からも人員を裂く状態になっていたりする。

 軍から5千、援軍が1万5千。

 計2万の兵士たちが、国境砦に捕虜を移送する運びとなった。


「捕虜って、面倒ですよね」


「面倒だけど、後でそれ以上に賠償金が取れるから、金銭面では楽になるんだよね」


「帰属しなくてもですか?」


「そうだね。そして、ランシェスが戦勝国になった場合だけど、彼らが取れる選択肢は二つしかないからね」


 帰属するか、独立するか。

 帰属した場合、国家が後ろ盾になるので、安全保障面は楽になる。

 代わりに、戦争賠償金がもの凄く高くなるらしい。

 主に、捕虜返還の身代金が高いとの事だ。


「数代は厳しい財政になるだろうね。ただ、天災に関しては援助して貰えるし、武力に関しても正当性があれば援助して貰えるのが強みかな」


「それだと、独立にはデメリットしか無いような気も……」


 こちらの言葉に対して、今度はジャバが説明をしてくれた。

 独立を選んだ場合、戦争賠償金と捕虜返還の身代金は交渉できるらしい。

 戦争賠償金は帰属時より高く言われるが、捕虜返還金に関してはかなり安くなるそうだ。


「徴兵された農夫とかが多いからなぁ。そこまで高い金が取れねぇんだよ。ましてや、捕虜になってる諸侯軍の主家は、一番上でも子爵家だからな。高く取れる家臣も少ない」


「相対的に見たら、安くなると?」


「そうだな。但し、独立するんだから、一切の援助、安全保障は無いってのがある。目先の欲と見栄を取るか、領民を取るかって話だな」


「なるほど。それで、二人の予想は?」


 ゼルクトさん、ジャバ、二人揃って、9割以上は帰属するだろうと答えた。

 ん? 残り1割は?


「帰属以前に、財政破綻するから」


「騎士爵家と準男爵家の中のいくつかだな。元から財政に余裕が無い貴族家は、今回の敗北で大赤字なのさ」


「一発逆転の大勝負に出たって……博打かよ」


「そうでもしないと、現状打破できない貴族家は多いよ。うちでもあるしね」


「竜王国にも?」


 意外っちゃあ意外だ。

 俺の知る限り、竜王国は貴族同士の柵が一番マシだと思っていたからな。

 腐竜討滅前までは、厳しい領地が大量にあったと聞いていたが、ここ数年ではなくなったと聞いていたし。


「別に困窮している訳じゃ無いよ。普通に暮らすなら問題無いしね」


「上を目指すから問題だと?」


「グラフィエル君は、初代で上り詰めたからね。普通の貴族は、自分の代で上に! って思う者が大半だよ。勿論、そうでない貴族もいるけどね」


「たまに研究バカとかいるからなぁ。まぁ、そう言った下級貴族家の方が、貯えがあったりするのが実情だな」


 移送の準備を見ながら、話をして勉強。

 領地経営するつもりは無いが、知っておいて損はない。

 なんちゃって貴族だから、ミリア達におんぶにだっこ状態にならないようにしなければならない。

 まぁ、それでも、貴族関連は頼らざるを得ないだろうが。

 そしてさらに数日後、全ての捕虜移送の完了を見届けて、進軍を再開する。

 まぁ、この数日にも色々あったが、聞かんでくれ。

 特に、参謀から副総指揮官になった事とか。


「ぎゃははははっ! いやぁ、今思い出しても笑えるわ。ざまぁ」


「あん? 喧嘩売ってのか、非モテ」


「非モテじゃねぇ! でもよ、当然っていやぁ当然なんだよな」


 とある日の野営地で、未だに弄ってくるジャバ。

 何があったのかと言うと、移送完了の一日前の定時連絡で、リーゼ達から報告を聞いていた時に起きた話だ。


『……以上で、定時連絡は終わりです。何か意見がありますか? 両参謀』


 軍議を進行していた貴族が、俺を参謀と言ったのがきっかけだった。

 それを聞いた各国とリーゼが異議を唱え始め、王国とリリィが対立するという訳分からん構図になったのだ。

 そして、どうでも良い論争が始まるのだが、ここで事件が起こってしまったのだ。


『ラフィ様は同盟盟主なのですから、同じ立場にするべきです』


『リーゼさん、今回の戦争ですが、ラフィはランシェス貴族として参戦しているのですよ?』


 真っ向から対立する二人であったが、別に珍しい事ではない。

 この二人、仲は良いのだが、お互いに妥協点を見出すまでは決して引かないという一面があったりする。

 そして、そんな二人に対して、大半の婚約者達は中立を保つのが普段の光景だ。

 そう、普段なら……である。

 今回、中立人数が少なかったのだ。

 婚約者全員がスマホもどきを繋げて参加してきて、場が混沌となってしまい、さらに各国の貴族家が同調する事態にまで発展してしまった。

 納められる人物は、主要戦争国の為政者三名と、婚約者に関してはミリアの鶴の一言だけだったのだが、予測できない事態が起こってしまう。


『今回の争論ですが、私もリーゼさん寄りです』


 正妻様の一言にざわつく軍議。

 リーゼ擁護派の婚約者は、ミリア、ミナを筆頭に過半数を占めている。

 対するリリィ擁護派は、ランシェス貴族の婚約者達。

 イーファ達亜人組と転生者、召喚者組は中立という構図だ。

 ヴェルグも中立ではあるが、ややリーゼ寄りである。

 ナユは完全に黙ってしまった。

 そして、結論が出ないまま、言い合う事数分、救世主が現れた。

 ゼロとツクヨである。


『そもそもよ、ラフィの意見はどうなんだって話じゃねぇか?』


『そうよね。本人が納得してるなら、別に良いんじゃない』


 そして救世主は……婚約者から総批判を食らって撃沈した。

 冒険者としてならともかく、体裁と面子がある立場なのだから、妥協はダメだと説き伏せられてしまったのだ。

 結果、陛下が折れた。

 いや、正確に言うと、この場にいない同盟為政者二名にも連絡を取って、多数決を取ったのだ。

 その中で、ヴァルケノズさんがちょっとキレた。


『この忙しい時に……。良いですか? 各国もランシェス王もやり方が雑なんです。グラフィエル君の功績、立場、体裁、面子を考えるなら、特別枠を作るとかすれば良いのです。なんで枠組みに入れようとするのですか? ええ、ええ。ランシェス貴族ですから、ランシェスの枠組みには入れたいでしょうから、その辺りを加味して事前に根回しをですね――』


 その後、ヴァルケノズさんのお説教にも似た説明が行われ、満場一致で副総指揮官が可決されてしまった。

 勿論条件付きで、陛下と俺の補佐に近衛筆頭が付いたり、副総指揮官の立場は、ランシェス貴族ではなく、盟主としての立場上、仕方なくとかだったり。

 そんな不毛な軍議を終え、進軍して、今に至る。

 後、はっきり言うと、ヴァルケノズさんに呪詛を吐きそうになったわ……。

 責任ある立場はいらないのに……。


「まぁ、諦めるこった。今までが異常っちゃあ異常だったんだしよ」


「ジャバ的には、問題無いって言うのか?」


「問題の有る無しじゃねぇよ。盟主なんだから、その立場に見合った職は必要ってだけだ」


「俺、嫌なんだけど?」


「だから、諦めろって話。どうにもなんねぇよ」


「…………」


 むくれてみる……ジャバの反応は無し。

 子供みたいに、駄々をこねたろうか?

 実行に移すかどうか考えていると、天幕の中にミリアがやって来た。

 とても申し訳無そうな顔をして。


「あの、ラフィ様……」


「どうした?」


「その、イヤでしたか?」


 どうやら気にしてるらしい。

 まぁ、ミリアにしては珍しかったからなぁ。

 リーゼは、俺の風評や体裁に凄く気を使ってくれているし、リリィは、ランシェス貴族内で孤立しないように、色々と根回しをしてくれている。

 そんな二人の意見が食い違い、妥協点を見出すように促す役割がミリアだっただけに、今回は意外だったのだが、その事を気にしているのだろう。


「そ、その……」


 言葉に詰まるミリアに対して、隣に座る様に床に手をポンポンして促す。

 そんな俺達の雰囲気を察したジャバは、静かに、素早く、この場を去った。

 ジャバ、お前、気遣いできたんだな。

 なんて考えたら、ジャバが去った方角から、ちょっとだけ殺気が飛んできて、直ぐに引っ込んだ。

 多分、ジャバからのうっさいわ! だと思う。

 そして二人きりになった俺達だが、一向に座らないミリア。


(負い目があるんかな? なら……)


 俺は素早く立ち上がって、ミリアをお姫様抱っこして――か~ら~の~、胡坐をかいて座り、逃げられないように抱きしめて、至近距離まで顔を近づけてみる。


(やっぱり、綺麗だし可愛いよなぁ)


 ジーっと見つめる……あ、顔が赤くなってきた。

 そして、視線を外して顔を背ける。

 うむ、かわゆすっ!


「あの、余計な事でしたか?」


 顔を背けたまま、ミリアが訪ねて来た。

 さて、どう返そうか? 形を作る? 本音? それとも……。


「……ミリアもそうだけど、皆、俺の事を思って動いてくれてるのは嬉しい」


「…………」


「でもさ、やり過ぎはいかんと思うのよ。なんでも程々が一番なんだよね。まぁ、今回のダグレストみたいな事には、やりすぎくらいで良いとは思うけどさ」


「……ふふ。どっちなんですか?」


「どっちなんだろうなぁ」


 その後、少しの沈黙。

 ミリアは何時の間にか俺の胸に顔を埋め、肩に手を伸ばしていた。


「……ごめんなさい」


「良いよ。気にしてないから。ただ、ジャバに揶揄われるのは気に食わんけど」


「それでは、明日みんなで囲みますね」


「程々にな。……いつも、ありがとうな」


「いえ。でも、一つだけ聞きたいです」


「何を?」


「それは――」


 その夜、彼女の寝息が聞こえるまで、ずっと抱きしめながら語り明かした。


(しかし、なぁ……)


 彼女の寝息を聞きながら、自問自答を繰り返す。

 本当に、皆がそれを望むなら、俺は受け入れるつもりだけど、やりたいか、やりたくないかと言えば、やりたくない。

 ただミリアは、見てみたい――と言っていた。


(見てみたい……か)


 これはきっと、彼女の我儘なんだろう。

 大変なのは承知の上で、それでも見たいと言った、彼女ミリアの。

 俺は沢山、我儘を言って来たし、助けられても来たしなぁ。

 いや、きっとミリアも含めた婚約者達は、俺のしてきたことを我儘とは思っていない気がする。

 自分がどう思うかではなく、相手がどう受け取るかだからな。

 つまり俺は、ミリアが初めて我儘を言ったと思っているという事だ。


(なんか、嬉しいな)


 前世では、酷いフラれ方、いや、裏切りに近い形か。

 我儘も酷かった気がする。

 根も葉もない噂も流されて、悪意を感じた。

 もう二度と、彼女なんて作らないと思ってたし、結婚なんてしない! とか思ってたのになぁ。

 今は我儘を言われたことが嬉しいとは。


(変わったなぁ、俺……)


 今じゃ婚約者19人だからな。


(結局、あの4人も受け入れてしまったし……)


 そういや蛍って、ミリアに頭上がってねぇよな。

 多分、無意識での刷り込みに近いとは思うんだけど。


(まぁ、我が家の正妻はミリアだと、誰もが認めてるって事だな)


 起こさないように、そっとミリアの顏を覗き込む。

 規則正しい寝息が聞こえてきて、うん……これいかん。


(この可愛すぎる子が、俺の正妻なんだよな。……って! む、胸が、すげぇ……)


 思わず、ゴクリッと唾を飲み込んでしまう。

 こんなシチュエーションで、ムラムラしない男がいるなら、そいつはきっとホ◯に違いない!

 つうか、生殺し状態だよ、これ……。


(我慢……我慢だ。俺は節操無しじゃない。ちゃんと手順を踏める男だ……)


 高揚した気持ちを落ち着ける。

 だが、それがいけなかった。

 今のミリアは太腿に座って寝ているので、動くと今度はお尻の感触が……。


(落ち着け、落ち着くんだ。俺は出来る男……我慢の出来る男)


 ちょっともぞもぞ……ああぁっ! 動いたら今度は胸がぁぁぁぁっ!


「ん、んぅ……ラフィ様?」


「す、すまない。起こしちゃったか?」


「いえ……だいじょうぶです」


「そ、そうか……」


「あ……ずっと抱きしめていてくれたんですね。……その、重くなかったですか?」


「全ッ然!」

(むしろ、ごちそうさまです!)


 そう、これはある種ご褒美なのである。

 男冥利に尽きる事、間違いなし!

 つか、顔近いっす。


「ラフィ様、その……」


「ん?」


「本当に、重くなかったですか? その、私、色々と大きいので」


「大丈夫だって」

(ご褒美以外の何物でもないっす!)


 その言葉に嘘は無いのだが、しきりに気にしている様子。

 もしや、誰かに何か言われたか? ……ふむ、ならば。


「そういや、ちょっとだけ落ちそうになってるな。ミリア、首に手を回して落ちないようにして」


「はい。こうですか?」


 両手を首に回して、落ちないようにしてくれたミリアだったのだが、これはあかん……。

 元々密着していた胸が、更に密着して押し付けられてしまった。

 これで理性を保てと?


「あの……ラフィ様」


 見ればミリアも、頬を紅潮させている。

 唇は濡れていて、プルプルしている。

 そして、トドメの息遣い。

 あ、もう無理。


「ミリア」


「ラフィ」


 お互いに唇を重ね合う。

 今までも、軽いフレンチキス等はしていたが、今回はがっつりと。

 片方の手はお互いを支え合うようにして、もう片方の手は指を絡めて握り合う。

 初めてする、大人のキス。

 息を荒げて貪り合う。

 多分、普通ならば、この後の展開は誰もが予測できると思う。

 そう、普通なら。

 だが、俺達は貴族である。

 風聞があり、手順を踏まなければならない立場だ。

 だからこの先は、今は無い。

 いやまぁ、戦場でそういう行為はせんよ。

 でも、お互いが満足し合うまで、貪り合った。

 そして、以心伝心しているかのように、どちらかともなく唇を離す。


「初めて……」


「ん?」


「初めて、ラフィから求めてくれました」


「そう、だっけか?」


「はい!」


 ミリアの瞳から、雫が流れる。

 俺は握った手を離して、そっと、その雫を拭う。

 そして今度は、軽く唇を重ねる。


「わたし……嬉しいです」


「俺もだ。本当はさ、今すぐ抱きたい」


「私だって。でも……」


「ああ。今はお預けだな」


「早く、いつもの日々に戻りましょうね」


「そうだな。ただ……」


「ただ?」


「皆にバレたら大変だなぁ――と」


 クスクスと笑うミリア。

 そんな彼女に、俺も合わせて笑う。

 夜も更けた中、二人の空間を作ってゆったりとした時間が流れる。

 俺の身体にその身を預けるミリアを優しく支える。

 そして、背もたれを作る様にして、土魔法を発動。

 簡単な背もたれに身体を傾け、二人で眠る。

 この時間が続けば良いのにと思いながら。

 ただ、俺達は忘れていた。

 この場が戦場であったことを……そして、誰がいるのかを。





 …

 ……

 ………


「もうすぐ朝食なのに、起きてこないなんて珍しいわね」


 誰かの声が聞こえる。

 少し重い瞼を上げて、意識を覚醒させていく。

 ミリアのぬくもりを腕に感じながら、徐々に意識を覚醒させていくのだが、完全に意識を覚醒させる前に誰かが入って来て――。


「ほら、時間だから起きな……」


「……もう朝か。ミリア、朝だぞぉ」


「んぅ……あしゃですかぁ……」


「ななななな……なにやってんの、あんたらはぁぁぁぁっ!!」


「蛍か。おはよう」


「おはようじゃないわよっ、このバカ蒼っ!」


 朝から何を怒っているのだろうか? あ、ミリアの良い匂いが……。


「ミリアも何やってんの! 私にあれだけ説教しといて!」


 蛍の怒声が響く中、何事だと近寄ってくる人物。

 まさかの八木である。

 俺達の姿を確認した八木は、ちょっと硬直して一言。


「いや、これはアカンでしょ」


「でしょでしょ! これはダメよね!?」


「んにゅう……ラフィ……」


「んにゃっ!? いつの間に愛称で呼び捨て!?」


 そして、次々と人が何事かと見に来る。

 俺の関係者が。


「ラフィ様!? なんでミリアだけなんですか!」


「うぅ、羨ましいです……」


「流石に戦場で、それはどうかと思うぞ」


「これでお世継ぎが出来たかもしれませんね」


「めでたい事です」


「そこの侍女長と執事長、まだ一線は超えとらんからな!」


「今夜は私ですよ、ラフィ様!」


「私も負けません! あ、蛍さん何を――」


「あんたらは後よっ! 今晩は私! 色々話したいことだってあるんだからねっ」


「モテモテっすね。兵士が見たら、士気はダダ下がりっすけど」


「ナリア、俺達も今晩は一緒に寝るか?」


「ふふふっ、寝言は寝てから言って下さい、旦那様」


「お前らうっさい!」


「ラフィ……もう少しだけぇ」


 場がカオスって来たので、ミリアの目を完全に覚まさせる。

 完全に意識が覚醒したミリアは、即座に現状を把握して……顔を真っ赤にさせて、俺の胸に顔を埋めて隠れた。

 そして、それを見て、また騒ぐラナと蛍。

 スノラは羨ましそうに見て、腰をクネッとして、あざとくおねだり。

 それを見た蛍とラナが、またも騒ぐという。


「いい加減にしろっ!」


「いや、ラフィさんが言えた義理じゃないっすよね? この場の根源でしょうに」


「うぐっ」


 八木のド正論に、何も言い返せない。

 そしてこの話は、あっという間に伝わり、暫くの間、兵士達からの視線が冷たかった。

 まぁ、途中からは逆転の発想と言うか、全部ダグレストのせいにしたけど。


「そもそも、こんな場所であんなのを見せる原因になったのはダグレストのせいだろうが! 俺は悪くない!」


「だがな、時と場所をな」


「ダグレストが戦争を吹っ掛けなきゃ、この場にいませんよね」


「それはそうだが……」


「なら全部、ダグレストのせいでしょうがっ!」


 と言う、責任転嫁をして、どうにか士気を盛り上げた。

 うん……最終戦前に士気が下がるのは良くない。

 今後は気を付けるとして――ミリア、可愛かったなぁ。

 また、二人の時間を作ろうと決意した俺だった。

 それから半月後、各国軍はダグレスト王都が見える郊外まで進軍して、最後の防衛線に辿り着いた。

 ダグレストが宣戦布告してから、実に二か月半後の事であった。

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