第233話 絶望と希望の艦

 開戦から5日、ディストの戦いから2日経ったわけだが、遂に目に見える形で、士気と戦意が下がり始めた。

 倒しても倒しても翌日には元通りの数が侵攻してくる魔物軍に対して、疲弊の色が見え始めたのだ。

 いや、数の暴力的に既に疲労はあったのだろう。

 だが、いつかは終わると信じて、ディストの完勝報告を聞いて、精神は肉体を凌駕する的な感じで戦っていたのだろうが、糸が切れてしまったが正解なのだろう。

 そんな中、どうにか5日目も殲滅には成功するのだが、やはり半日後には同じ数が攻めてくると、斥候から報告が入った。

 そして開かれる軍議だったのだが、そこにはジャバを筆頭に、竜王国王、教皇、総合ギルマスと、ランシェス軍では無い者達も参加していた。

 当然、一部貴族は何か言いたそうだが、例え他国とはいえ、身分は自分達よりも上だから何も言えない。

 そんな彼らは、何故か俺の方を凝視している。

 多分、早よ聞いて! って事なのだろう。

 まぁ、今の状況が分からない俺では無いので、聞くより前に答えから話すけど。


「遂に体裁とか言ってられなくなりましたか」


「流石に気付くか」


「各国の為政者ですからね。もしかして、帝国と皇国から泣きつかれましたか?」


「見て来たように言うのぉ……」


 軽く冗談のつもりで話したのだが、どうやら本当にあったらしい。

 これは……想定よりもかなりヤバい感じか?


「もしかして、転移陣が使える将兵に頼んだりしました?」


「教皇だけはな。竜王国王は、兵站と共にやって来たな」


「息子はあれだけど、実績はあるからね。内政は任せて来たよ」


「あれ? 竜王国王の言葉が……」


「今はただのゼルクトさ。そこのジャバ殿と同じくね」


「久しぶりに、貴方の雄姿を見られそうで嬉しいですわ」


「まさか、イリュイア王妃までとは……」


「今はただのイリュイアよ」


 陛下に俺、教皇に加え、果てはジャバまで、全員から深い息が零れた。

 ジャバですら許容範囲ギリギリの案件なのに、ここに来て竜王国王夫妻の参戦とか……マジで頭が痛ぇ。

 この夫婦、頭がおかしいんじゃなかろうか?


「今、頭がおかしいとか思っただろ?」


「良くわかりましたね。ただのゼルクトさん」


「お、おい……」


「不敬でも何でもありませんよ。だって、王じゃないんですから」


「まぁ、そだね。一瞬で変えて来るとは思わなかったけど」


「はっきり言いましょう。ちょっと余裕が無いですので」


「やはり、お主もそう思うか?」


「はい。陛下もお気付きだからこそ、軍議を開いたのでは?」


 陛下と二人……否、この場にいる者達全てが頷いた。

 俺が来るまでに、今日着いた者達も状況は聞き及んでいる様で、深刻な表情をしていた。

 それも仕方ない事だろう。

 この戦場で敗れたら、全世界が蹂躙されかねないのだから。

 それくらい、魔物軍は異常だという事だった。

 とここで、ヴァルケノズさんからの提案と言うか報告があったのだが、俺はすっげー嫌な顔をした。


「リュンヌからも、正式に援軍派兵の親書が届いたのですが……」


「…………」


「受け……たくは無いですよねー」


「まぁ、そうだの」


 完っ全っに、俺の機嫌を意識して応対する陛下と教皇猊下。

 俺のご機嫌? 急降下で右下に直角落下中ですが、何か問題でも?


「ラフィ様」


「…………」


「お気持ちはわかりますよ? でも、今はですね……」


 ミリアが幼い子に諭す様に語り掛けてくるのだが、今回だけは流石に折れるわけにはいかない。

 あの国だけは、甘い顔を見せたら増長しかねないからな。

 それに、ブラガスからも注意されてるし。


『お館様、もしもリュンヌが参戦しようとしたら、確実に蹴って下さい』


『元々受けるつもりは無いが、一応、理由は聞いとく』


『我がもの顔で増長するのと、お館様に取り入ろうとするからです。最悪の場合、参戦した功績で同盟加入を言いかねませんし、リュンヌだけ被害軽微で、すぐさま開戦とかも十分にあり得ますので』


『分かった。受け入れそうな雰囲気になったら、確実に潰すわ。まぁ、陛下なら問題無いと思うけど』


 ブラガスの私怨が無いとは言い切れないけど、俺も喧嘩を売られているからな。

 受け入れるなど絶対にあり得ない。

 一応、大分経ってから、国の指示ではなく、リュンヌ貴族の一部暴走だという書簡は届いていたが、だぁれも信じちゃいなかったな。

 以上の経緯から、受け入れはあり得ない。

 いや、無かったとしても、引っ掻き回される可能性がある以上、排除が適切だろう。

 ではどうするのか?

 はっきり言おう、現状維持しか手は無い。

 尤も、俺が参戦しない前提の話だがな。

 だが、流石に他の貴族達も面子や武功とは言ってられないと感じた様で、苦渋の策ではあるが陛下に進言をした。

 本当は、絶対にしたくないんだろうけど。


「陛下、今更ではありますが、その、クロノアス卿をですね……」


「本当に、今更よな」


「いえ、その……」


「だが、却下よな」


 陛下からの拒否に、貴族達が驚いた顔を見せる。

 いや、為政者たちは拒否した理由を正確に読み取っていた。

 後は近衛と将兵もかな? 多分、戦に疎い者達だけが驚いたのだろう。

 ただ、ミリア達も驚いた表情をしていたのは、ちょっと意外だった。

 そして陛下は、睥睨してから拒否した理由を話し始める。


「理由だがな、ランシェスだけではないからだ」


「それはどういう?」


「帝国、皇国側も同じ状況なのだ。包囲してからの降伏勧告が定石なのだから、我が軍だけ進軍できても意味は無い」


「そこは、クロノアス卿に各国軍を回って頂けたなら良いのでは?」


「両国の貴族が納得せんよ。いや、帝国は納得するかもせんが、皇国は無理だな。いくら皇王の力が強くても、今の状況では強権など使えん。使えば見捨てられて、最悪は反乱だの」


 陛下が最後に言った反乱との言葉に、食い下がっていた貴族も流石に引いた。

 つい先日に、我が国も反乱されて、内乱にあったばかりなのだ。

 他国の事とは言え、流石に無理を押し通すことは出来なかった。

 もう暫くは現状維持するしかない――と言う結論に至りそうになった所で、兵士が天幕内に入って来た。

 許可を得ず入ってきたことから、相当切羽詰まった内容なのだろう。

 まぁ、一部貴族バカが咎めようとして、陛下に叱責されていたがな。


「火急につき、ご無礼を! 斥候からの新たな伝令により、飛行魔物を確認! 接敵は2日後と予想されます!」


「バカな!? 何故、こんな近くに来るまで気付かなかった! 斥候は何をやっていた!?」


「斥候部隊の一部が壊滅しました。それにより、監視に穴が……。現在は新たな斥候部隊を配置させましたが、その隙を突かれたものかと」


「この状況で飛行魔物か……。偶然……ではないな」


「ええ。してやられましたね。相手は嫌がらせに関しては天下一品かもしれませんね」


 何故、飛行魔物が出たくらいで騒いでいるのか? それは昨日に遡る。

 昨日夜、火急での知らせが、軍に届いた。

 方法などは不明だが、国境から1日程ある複数の領地の傍の領域で、魔物が溢れて来たという知らせだった。

 小領主の領地なので、自警団程度しかいない中での、プチ集団暴走スタンピードとも言える規模との報告だった。

 普通なら国軍を派遣して、到着までは籠城戦なのだが、現在は戦争真っ只中である。

 王都の守りとして、最小限の軍しか常駐しておらず、援軍は不可能……だったのだが、陛下は軍の派遣に踏み切った。

 だが、少数精鋭でしか送り出せない状況なので、ミリアとスノラを除く俺の固有戦力総出と、一部の近衛と兵士が対処に当たる事になった。

 質は高いが、数が少ない事もあって、殲滅に時間を要すると連絡が来ていた事もあって、航空戦力に対する戦力が不足しているのが現状だ。

 なんせ、竜達が一体もいないのだから。

 そしてそれは、帝国と皇国も同じだと、報告を受けている。

 恐らくだが、置かれている状況もこちらと大差ないだろう。

 どの国も、派兵戦力の帰還は絶望的な状況だったからこそ、先の言葉になる訳だ。

 完全に、数の暴力との戦いだった。


「意地の悪い、いやらしい搦手ですね」


「本当にな。さて、被害の拡大は覚悟せねばなるまいか」


「さて、それはどうでしょうか?」


「「「「「はい?」」」」」


 為政者たちが間抜けな声でハモる。

 そんな声を聞きながら、俺はニヤリと笑った。

 多分、時間的にそろそろだからな。

 早々、思い通りにはさせねぇよ。

 そして翌日も同じ戦闘が続き、分かれ道となる7日目を迎えた。







 曇天、まるで今の兵士たちの心境かもしれない……そんな天候の中、遂にその時は訪れた。

 今までの地上勢力に加え、空を埋め尽くすほどの航空戦力。

 こちらの疲弊を狙いすましたかのように、一気呵成に仕掛けてきた魔物軍。

 軍の被害は計り知れなくなるだろう。

 最悪、国境線の後退と変更すらあり得る事態。

 それはランシェスのみならず、帝国軍と皇国軍も同様であった。

 さっきから陛下のスマホもどきに連絡が入ってきているからだ。

 だが、天地がひっくり返っても援軍なんて出せる状況ではない。

 俺の参戦も不公平だからと見送ったほどだからだ。


『最悪の場合、ミリアンヌ嬢とスーノラト嬢だけ連れて逃げよ』


 これが陛下の下した答えだった。

 その決定に誰も異論は出さなかった。

 陛下は全ての人間に、最悪の状況になったら自身を一番に考えろと言ったのだから。

 勿論、近衛は陛下に殉ずるつもりであった。

 故にヴィンタージ殿からも、娘を頼む――と、言われたほどに。

 しかしだ、はいそうですか――と、引き下がる俺じゃない。

 最悪の場合は、四神獣を召喚する予定である。

 尤も、切り札が間に合えば話は別だが……。


「全員、死地と定めよっ! 我らが意地、奴らに見せてやろうぞっ!!」


 指揮官の言葉に、雄たけびで応えるランシェス軍。

 多分、他の二国も同様だろうと推察する。

 この戦闘が確実に分岐点であると、誰もが分かっていたからだ。

 地上戦力の数は変わらないが、航空戦力の数が加わり、その数はおよそ1.5倍にまでなっている。

 しかも、空からの攻撃にも注意しないといけない状況下で、士気、戦意、注意力の低下と、コンディションは最悪と言えるだろう。

 幾ら魔法があっても、数の暴力には抗えない。

 そして、戦端が開かれる。


「怯むなっ! 抜かれたら、一気に瓦解――ぐはっ!」


「た、隊長! ぐえっ!」


「こ、このぉ!」


「いだいぃぃぃ! いでぇよぉぉ!」


「かぁ、ちゃん……」


 正に阿鼻叫喚、開始から僅か1時間で、軍の一割が溶けた。

 地上勢力への対処で精一杯の中、航空戦力の相手も同時に行う――と言うのは、今の軍では厳しすぎた。

 疲弊もだが、先の連戦で軍の人員が減っていたのも影響していたのだ。

 魔法があるから、身体の損傷は早くに治せ復帰できても、心の傷はそう簡単には癒せない。

 特に新兵たちの多くが、心的外傷トラウマを負って戦線から離脱していた。

 その数三割弱にも及ぶ。

 軍の一割にも満たないが、それでも減ったという事実には変わりなく、少なからず影響を与えていたのも悪かった。

 そして、天幕内で報告を聞く陛下も、その表情を強張らせていた。


「やはり、押されるか」


「ですが、持ちこたえてはおります。一定数まで減らせれば、どうにかなるかと」


「どうにかなっても、実質敗北だな。被害が大き過ぎる」


「想定損害は約六割……事実上の全滅ですな」


「金はまだ容認できるが、人的被害が酷過ぎる。今からでも撤退戦に移れんか?」


「今移れば、確実に被害が増します。陛下、今は我慢です」


「ぬぅ……」


 全員の顔色が優れない中、俺はとある連絡を待っていた。

 敵の航空戦力、ワイバーン、翼竜、グリフォン、キラーホーク、キャノンビー、その他諸々いるが、こいつらさえどうにかすれば、まだ立て直しは可能だ。

 まぁ、被害が半分程マシになる程度だろうが、敗北ではない。


(まだか? まだなのか!? そろそろ限界なんだが……)


 もどかしく感じていると、スマホもどきが鳴る。

 俺と陛下のが同時にだ。

 陛下の相手は皇王。

 そして、俺の相手はというと――。


『ラフィ様、お待たせしました!』


『リーゼか!? 待ってた!』


『本当にお待たせしました。まさかここまでかかるとは思いませんでした』


『いや、俺も読みが甘かった。それで、今は何処だ?』


『皇国軍側の魔物をある程度一掃して、今は帝国側へと向かっているところです』


『『はっ?』』


 電話の相手は違うのに、何故かハモる俺と陛下。

 そして、こちらへギギギッと顔を向ける陛下に対し、なんかヤバいっと顔を背ける俺。

 そのまま天幕を後にしようとして、肩をガッとヴィンテージ殿に掴まれる。

 逃げ損ねた俺に対して、椅子に座ってから、早よ説明せよっ――と、とっても良い笑顔でニッコリ笑う陛下。

 そして、切り札について隠せるところは隠して説明していく俺に、この場にいる各国の為政者のみならず、全員からふかぁい、それはとーってもふかぁいため息が零れた。


「お前と言う奴は……もっと早くに説明をだな!」


「しょうがないじゃないですか! 俺だって一部は寝耳に水なんですからっ!」


「切り札の説明をもっと早く言えと言っているっ!」


「予定だと、被害が出る前に間に合わせるつもりだったんですよ! こっちも想定外だったんです!」


「そういうことじゃないっ!」


 地味に話が噛み合わない。

 陛下は珍しく、地団駄を踏んでいた。

 それをまぁまぁと宥める教皇と近衛筆頭。

 対する俺は、オーディール夫妻からのお説教中である。

 しかも、幼い子に言い聞かせるような形での……。


「良いかい? 隠したい気持ちは分かるけど、大事な戦の時はだね――」


「困っちゃちゃんですねー。驚かせたいのは良いけど、せめて主君にはそれと話しておくべきよー。報連相は大事ですからねー」


「うぃっす……」


 時間も無いので、短いお小言で済んで良かった――なんてわけが無く、陛下はとある人物、俺の父を召喚。

 召喚効果として、即お説教が発動してしまった。


「お、お、お、お前と言う奴はぁぁぁ!」


「ち、父上、落ち着いて下さいっ! ほ、ほら、血管切れちゃいますし……」


「誰のせいだと――」


「お、お養父様、時間も無いですし、この辺りで……」


 ミリアの取り成しによって、父上は一旦は引き下が――。


「この戦場が落ち着いたら、後で説教だっ!」


 ってくれなかった。

 そして、正座でのお説教が確定してしまう。

 それを見ていた陛下は、肩を震わせながら笑いを堪えている。

 否、ほとんどの者が笑いを堪えているか、見てみぬふり状態。

 穴があったら入りたい……いや、いっそ旅に出ようそうしよう。


「ミリア、俺ちょっと、今から旅に出るわ」


「え?」


「という訳で陛下、後はお任せしました」


「え? いやちょっとまてっ!」


「皆さんも頑張ってください」


「ちょっ! 今、クロノアス卿に抜けられたら――」


「あ、ミリアとスノラも来るか? いや、クロノアス家全員で龍島に引き籠ろうか……」


「ラフィ様、しっかりして下さい!」


 現実逃避気味の俺を必死に引き留める人々。

 流石の父上も、場を弁えなかった事を後悔して、深く謝罪するというカオス状態。

 どうにか場が収まるが、スマホもどきは繋がったままである。

 当然、皇王とリーゼには筒抜けなわけで、皇王からは後で話があるとの伝言があり、リーゼからもちょっとだけダメ出しを食らうという……。

 今後は気を付け……いや、全部ゼロが悪くね?


「ラフィ様、それは流石に……」


「はい……以後、気を付けます」


 そして軍議再会――とはならず、次は皇帝から同じ連絡が来る。

 しかも、直で俺に。

 軽く説明して、当然ながら怒られる。

 あっれぇ? 助けた筈なのに、何故? よくよく考えたら、陛下は主君なので別として、皇王と皇帝はまず礼が先じゃね?


「ラフィ様、ありがとうよりも先に、お小言が出る状況なのが問題だと思います」


「私も同じ意見です」


「うん、スノラもミリアも、真面目なツッコミありがとう」


 さて、話を戻すと、これがこの戦争での切り札だ。

 成人の祝いであり、原初を引き継いだ時にゼロから託された艦。

 実はリエルが、密かに魔改造していたりもする艦。

 命名にも困ったが、一応は決まったその艦の名は――。


 ――要塞戦艦・絶望の中の希望ムスカリ――


 リエルが教えてくれた、矛盾を孕んだ花の名前だ。

 この花は希望を感じる前向きさと同時に、絶望的な花言葉も持ち合わせている。

 故に、味方には希望を、敵には絶望を。

 きっと今回の事を企てたあいつは、地団駄踏んで歯噛みしているだろう。

 いい気味である。

 ただこの艦、リエルが魔改造したおかげで、アイドリング状態すらしていなくて、一から起動させなければならなかった。

 戦線に遅れた理由は、この一点に尽きる。

 実は内乱確定状態になって直ぐに、龍島で起動準備をしていたのだが、二週間近く掛かるとは思ってなかったのだ。

 更に付け加えると、武装はより凶悪になっていて、燃費も改善されている。

 防御に関しても、スフィアを完備して完全防御を実現していたりする。

 ゼロから託された時は戦艦の域を出なかった代物が、リエルが完全監修すると、ヤバいものが出来上がる実例となったのだ。

 当然、後でお小言案件ではあるが、間に合ったので良しとしよう。

 という事を、簡潔に、隠させる部分は全部隠して説明した。


「…………」


 絶句である。

 全員が、絶句である。

 俺もリエルから聞いた時には絶句したので、仕方ないと思う。


「あの、陛下?」


「……何から話せば良いのか、もうわからんわ」


「あ、あはは……」


 気持ちは良くわかる。

 俺もそうだったから。

 そんな話をしている間に、件の艦が敵航空戦力を次々と撃破、殲滅して行ってると報告が入り、陛下が直ぐに味方であると伝える。

 その情報はあっという間に軍へと伝わり、続いて敵地上戦力後方にも攻撃を開始し始めるという報告も入って来た。

 悲壮感に囚われていた天幕内の空気が変わると同時に、頭を抱える人たちも続出するという事態に。

 そして父上であったが――。


「あの、父上?」


「お養父様?」


 バターンッと、白目を剥いて倒れる父上。

 どうやら、心の許容範囲を超えたらしい。


「ち、ちちうえーーーーー!!」


 その後、父上をゲートで王城へと送り届けて看病して貰う事になり、緊急で同盟会議が開催されたのは言うまでも無い事だろう。

 後ついでに、各国から文句が出たのも仕方ないと割り切ったのだった。


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