第145話 陛下の策略と心の内

 昼過ぎに帰国し、屋敷に入ると父が待ち構えていて、休む間も無く王城へと連行される俺。

 王城に向かう道中の馬車内では、父上からのお小言。

 それを大人しく聞く俺。

 王城に着くまでお小言は続き、馬車から降りた時にはゲンナリしてしまった。

 そして……父上は俺の想像以上に心配性だと、この時初めて気付いた。

 俺のイメージだと、豪胆ってイメージの方が強かったんだけどな。

 成人後に父上の事を改めて知るとは思わなかった。


 二人で王城に入ると、兵士が謁見の間へ案内をする。

 勝手知ったる王城だが、こういった形式が必要なのは面倒だと、今でも思ってしまう。

 父上に知られると、またお小言になるので、決して言わないけどな。


「グラキオス侯爵殿! グラフィエル侯爵殿! ご来場!」


 兵士が声を高らかに上げ、内側から扉が開かれる。

 ここで一つ、補足説明しておく。

 本来であれば、家名の後に爵位を付けて呼ぶのだが、どちらも同じ家名の場合のみ、名前呼びされる。

 同家名だと紛らわしいが理由らしく、昔から決まっているそうだ。


 我が家以外にも同家名者は存在しているが、爵位が違う場合は家名呼びにしているそうで、同家名で同爵位のみの特権らしい。

 他家曰く、名前爵位呼びは家の繁栄度を誇示できるらしく、全ての貴族家が狙うのだと。

 本当に、貴族とはプライドを一番に考えるのな。

 クソみたいなプライドなんか、犬でも食わせてしまえば良いのに。


 謁見の間に入ると、父は貴族達が並ぶ列へと加わる。

 俺は臣下の礼を取り、陛下の御光臨を待つ。

 俺以外にも、別家の貴族達が御光臨を待っている。

 他には、大隊長や兵士代表っぽい者もいる。


「陛下! 来場!」


 近衛が声を上げ、陛下が御光臨される。

 椅子に腰を掛けた陛下は、ゆっくりと睥睨し、声を掛けた。


「皆の者、楽にせい」


「はっ」


 陛下のお言葉の後、全員が顔を上げる。

 そして、陛下の次の言葉に、俺は『早過ぎね?』と思ってしまった。


「今回の同盟派兵、皆ご苦労であった。流石に全員は呼べんのでな。代表者と貴族達だけとなったが。軍務卿、兵達には話してあるな?」


「はっ。同盟派兵に参加した兵達には、順次5日の休みと金銭を。著しく活躍した者には、騎士爵をと話してあります。本日の残り半分は、訓練場にて宴をした後、解散と伝えました。今頃は、大いに飲み食いしているでしょう」


「うむ。労いは必要だからな。さて、この場に呼ばれた代表者達も宴に参加したいであろうし、先に済ませるとしようか」


「陛下の温情に感謝いたします」


 そして行われる、代表者たちの功績発表。

 次いで、著しく活躍した者達の発表とその目録。

 最後に、兵達に渡される金銭と休暇の日程の目録。


「爵位の授与は明日行う。兵達に目録を読み上げて伝えてやってくれ」


「承知しました」


「うむ。下がって良い」


「はっ」


 大隊長と兵士代表達は、揃って謁見の間を後にする。

 残ったのは、各大臣たちと貴族と近衛。

 なるほど……兵達への休みなども考えて、貴族たちの褒賞は本日行ったわけか。

 帝国から送る前に、一言欲しかった。


「次に貴族達だが、陞爵は無い。代わりに、勲章を贈ろう」


「ありがたき幸せ」


「うむ。今回は新たな貴族家が立ち上がる。貴殿らには、その者達への支援を期待しておる」


 臣下の礼を取っていた貴族達全員が立ち上がり、直立不動になる。

 勲章は陛下自身ではなく、近衛筆頭が各員に回って付けていくようだ。

 全員が勲章を付け、再び臣下の礼を取る。

 あれ?俺のは?

 俺一人だけ立って待っていると、陛下からお声が掛かる。


「クロノアス卿への勲章だが、実は新しく作っておっての。同盟各国と協議した後に、我が国で作っておったのだが、ちと間に合わんかったのだ。後日勲章は届けるので、目録だけになる」


「承知いたしました。陛下のご考察に気付けず、申し訳ありません」


「良い。こちらの不手際だ。それと……そこで笑っている者をつまみ出せ。不愉快だ」


 陛下の言葉に、一人の貴族が顔を青褪める。

 ああ、貴族派閥のお貴族様ね。

 俺だけ残ったことに、溜飲を下げたってところか。

 で、バレない様にほくそ笑んでいたら、陛下にはバレていたと。

 罰則などは無いであろうが、彼は陛下から悪いように覚えられたな。

 いや、それが罰になるか。

 今代での御家発展は潰れたに等しそうだな。


 近衛に両脇を抱えられ、つまみ出されそうになっている貴族が、何か言っているけど、陛下は聞く耳持たずって感じだな。

 強制退場貴族。

 彼には今後、その名が付き纏ったのは言うまでもない。

 貴族派閥からも白い目で見られているので、彼の今後はお察しである。


「さて、無礼者もおらぬ様になった。続けるとしよう。各貴族家への目録を」


「はっ」


 読み上げられる目録。

 ふむ……陛下は例え貴族派閥であっても、評価は正確に行うとは聞いていたが、これはヤバくないか?

 そう思ったのは、王族派閥の方が目録としては少ないからだった。

 正統な評価は大事だが、貴族派閥に力を持たせすぎるのは危ないのでは?と考えたからだ。

 そんな考えをしていると、全員の目録が終わり、俺の目録となった。


「クロノアス卿への目録だが、金銭の授与無し。領地分与無し。勲章付き年金有り。以上となります」


 この目録には、流石の貴族派閥もざわつき始めた。

 明らかな貴族派閥贔屓と王族派閥も思ったのか、かなりざわついている。


「静まれ! 目録は以上だ。下がって良い」


「はっ」


 俺も含め、全員が列へと戻る。

 全員が戻り終えると、陛下から祝勝パーティーをこの後に開催すると発表があった。

 貴族って、本当にパーティー好きだよな。

 特に祝勝とかは……。


 その発表で謁見は終了となり、兵やメイドが各貴族を部屋へと案内していく。

 準備がまだ終わって無いとの事で、暫くは待機らしい。

 王都にいる中央貴族はその数が膨大でもある。

 今回は更に、家族の参加も認められているようで、城の中には各家の家族たちも来ているそうで、各々が家族の待つ部屋へと案内されていった。


 俺や父も例に漏れず案内されるのだが、案内された場所は何故か会議室。

 人数が膨大だから、会議室も解放したのか?

 その考えは間違いだったと、直ぐにわかることになった。

 中に入ると陛下以下、各大臣達がお待ちだったからだ。


「遅かったの。グラキオスよ、そんなに人手が足りなかったのか?」


「いえ、自分たちは一番最後にしていたので」


「はぁ、兵やメイドたちにはそれとなく中盤位で……と、伝えてあったんだがな」


「あの人数では仕方ないでしょう。あまり責めないでやってくださいね」


「𠮟責はせぬが……グラフィエルよ、時には厳しさも必要だぞ」


「肝に銘じておきます。陛下」


「うむ。では、席に着くが良い」


 陛下のお言葉を貰って、俺と父は席に着く。

 会議室にはお偉方のお歴々が座っている。

 知っている顔は、陛下、財務卿、軍務卿くらいか?


「グラフィエル、お前はどの程度の面識がある?」


「陛下を除けば、財務卿と軍務卿のみですね。父上はあるのですか?」


「当然だろう。……陛下、申し訳ないのですが、先ずは愚息に紹介してもよろしいでしょうか?」


「構わぬ。そう言えばグラフィエルは、他の大臣達は知らぬのだったな」


「お恥ずかしい限りで。何分、外での活動が多いものですから」


「良い。半分は冒険者として成り上がったのがお主だ。自身の家の始まりは、明確にするべきだしな」


「そうなのですか?」


「グラフィエルよ。我がクロノアス家でも、ご先祖様の始まりは失われているのだぞ。古い貴族家程、その傾向にあるのが嘆かわしいがな」


「王家も半分は同じだな。誰が興した、何を象徴としたかなどは伝わっておるが、何を成して興したかは定かではないの」


 王家ですらそうなのか。

 そういや、クロノアス家の始まりって実際どうなんだ?

 亡国の子孫がクロノアス家なのは知っているけど、その国を興したのは誰とか、何を成したとか知らねぇや。

 ……今度、精霊たちに聞いてみるかな。


「陛下、話が逸れていますが」


「そうだな。では、ガマヴィチからもう一度紹介と行くか」


 そして、各大臣達の紹介が始まった。


 財務卿 ザイーブ・フィン・ガマヴィヂ

 軍務卿 バラガス・フィン・ファスクラ

 商務卿 デハード・フィン・マイニーバ

 外務卿 ボスデオ・フィン・ネゴシェイ

 法務卿 ヒャスト・フィン・ラヴィーラ

 内務卿 ムンゼオ・フィン・トリゲール


 これが国を支える六卿だった。

 そこに父の相談役兼側近が加わる。

 他国の政治システムは良く知らないが、我が国には宰相と言う役職は存在しない。

 よって父は、相談役兼側近となるわけだ。


 自己紹介も終わり、何故俺達が呼ばれたかのだが、それはムンゼオ内務卿が話してくれた


「今回、クロノアス家に来て頂いたのは、王太子殿下とルラーナ嬢の結婚式に関する事なのです」


「姉のですか? 何か問題でも?」


「問題と言うか、いつ頃にするか決まったので、そのご報告ですね。丁度、時間もありましたので」


 内務卿の言葉に何故か引っ掛かりを感じてしまう。

 俺は何となく、陛下を見る。

 陛下の顔色は変わらない。

 続いて財務卿を見るが、こちらも変わらない。

 全員を見るが、誰も変わらない。

 だが、何か引っ掛かる。

 再度、陛下を見て、ちょっとだけ笑ってみせる。

 ニッコリ、と。

 陛下、ちょっとだけ動揺する。


「陛下、何を隠しているのですか?」


「何のことだ?」


「今、少しだけ動揺しましたよね? 俺が笑顔になると、なんで動揺するんですかね?」


「……はぁ。お主は本当に変な所で目聡い」


「お褒めに預かり光栄です」


「褒め取らんわ。……問題はな、その時期についてだ」


 陛下が言うには、今年中に式は強行するそうだ。

 そこで問題なのが時間。

 遅くても収穫祭までには終わらせたいらしいのだが、準備期間まで4か月ほどしかないのが問題らしい。


「4か月で終わらないのですか?」


「問題が発生した場合でも、延期には出来ん。国民にも発表するのだからな」


「確実にしたいと?」


「一人息子だしな。王としても、親としても、問題なく挙げさせてやりたい」


「そればかりは時の運もあるのでは? 隣国の事もありますし」


「今暫くは動かんよ。帝国の内乱で動かなかったのだ。今更動くとも思えん」


「軍備はどうなのですか?」


「増えてはおる。しかし、直ぐに動かすには数が足りん気もするな」


「数は?」


「5万と言ったところか。帝国内乱の情報は向こうも手に入れているはずだ。更に数を増やす方向で動いてるようだ」


 その情報が本当であるならば……と、陛下は最後に付けた。

 欺瞞情報の可能性も視野には入れているわけか。


『リエル』


『はいは~い。ダグレストの動きですね?』


『どう読む?』


『1年は動かないと思います。動く可能性を否定は出来ませんが、勝算が低すぎます。更なる軍備増強へ舵を切る確率の方が高いです』


『低い可能性はどうなんだ?』


『なにか切り札を用意できた場合でしょうか? 現状での情報が少ないので、その辺りは断定できかねます』


『RE・コードからは?』


『引っ張ってきましたが、特にはありませんでした』


 リエルとの会話を終え、思案する。

 出した結論は、なるべく早めに行うだな。

 それを陛下に伝えるのだが……。


「2か月は流石に無理だ。最低でも3か月は必要になる。警備の兼ね合いもあるんだぞ」


「金の関係もあります。王太子殿下の式となれば、相応の準備も必要です」


「関係各所や貴族達への連絡もありますな。式はともかく、披露宴には呼ばないといけません」


「流通もありますな。商人たちからの買い付けにどの程度の日数が掛かるのか」


「罪人たちへの恩赦もありますよ。尤も、軽犯罪者のみにはしますが」


「各国への招待状も必要ですかね。同盟が無ければ、我々は暇だったでしょうが」


 軍務卿から始まり、財務卿、内務卿、商務卿、法務卿、外務卿と、次々にダメ出しが飛んでくる。

 こうなると、陛下の声が必要になるのだが……。


「学校と学院は休みだったか。そうなると、帰省している者もおるな。となれば、3か月後は得策ではあるまい」


「では……」


「4か月後しかないの。2か月では流石に不可能だ。派兵したせいで、一部の準備が遅れておるしな」


「承知しました。息子たちにも伝えましょう」


「お話はそれだけなのでしょうか?」


 そう聞くと、陛下がニヤリと笑う。

 各大臣達は音も立てずに、サッと会議室から出て行ってしまった。

 残された俺と父。

 そして、ここからは少々砕けた感じとなった。


「さて、大臣達は席を外したし、ここからは本音で話すとするか」


「父上は良いのですか?」


「聞かれて困るのなら、退席を命じるが?」


「あー、困ると言えば困りますが、除け者にするのもどうかなって思ってます」


「グラフィエルよ、地味に傷つくのだが……」


「ここから先の話には、覚悟が必要なので。陛下はこう見えて、覚悟されていますから」


「そんなにヤバい話なのか?」


「心労は加速すると思いますよ、父上」


「はぁ……そんな話を、陛下にだけ聞かせられるか。俺も付き合うとする」


 父も覚悟を決めたらしい。

 陛下も父の言葉を待っていたようで、少し嬉しそうである。

 いや、凄く嬉しいんだな。

 陛下から出た、次の言葉でそう思ってしまった。


「これでグラキオスとも少しは語れるな」


「お手柔らかにお願いします、陛下」


 等とやり取りしていたからだ。

 二人の会話が終わるのを待って、話を再開する。

 父上は、聞き役に徹すると言っていた。


「それで、陛下がお聞きしたいことは何ですか?」


「グラフィエル、もう少し砕けても良いぞ」


「父上がいる以上、それは無理です」


「やっぱり退席……「グラフィエル、砕けて良いぞ」」


「父上がそう仰るのなら……」


「それでは聞くぞ? お前は皇帝に何を譲らなかった?」


 陛下の質問に首を傾げる。

 俺が譲らなかったこと?なんかあったっけ?

 本気で悩んでいると、陛下が再度俺に聞いてきた。


「なんで、第三勢力の引き渡しを拒んだ? 理由があるのだろう?」


「ああ、そのことですか。……逆に聞きますが、何故拒んだかわかっているのでは?」


「お、おい、グラフィエル」


「良い」


 父が慌てるも、陛下がそれを止める。

 その後、陛下は思案を始め、少しの間、沈黙が訪れた。

 答えが出た陛下が、その沈黙を破り、声を出す。


「お主が参戦する理由になったからか?」


「正解です。ただ、少し濁しましたか?」


「グラキオスがおるからな。流石にどの程度まで話せるかわからんかったから、言葉を選んだまでだ」


「そうでしたか。では、答え合わせを」


「答えられる範囲で良いからな」


「わかりました。まず、陛下の答えは正解です。そして、あれは普通の人間には殺せません。帝国に引き渡せば、後に苦労する可能性がありました。他にも理由はありますが、そこは察してください。それと、あれの狙いは帝国ではなく俺だったので、被害者である俺に権利を貰っただけです」


「どう処分を下すかは、お主次第だと?」


「少なくとも、ランシェスへ不利益になるような真似はしません。もし有用なら、戦力にするのも手だと考えています」


「……わかった。お前の好きにしろ」


「陛下、言葉が……」


「グラキオス、俺が崩したと言う事は、本音で話せと言う事だ。ラフィには伝えてあるがな」


 そう言って俺を見る陛下。

 後で結果は報告しろと言う事ですか。

 仕方ない、ゼロを巻き込もう。

 その方が多分、丸く収まる気がする。


「もう一つ」


 陛下が嫌な笑顔を浮かべる。

 あ、これ、絶対面倒な話だ。

 陛下がこういった笑顔を浮かべる時は、大抵碌な話ではない。


「今回の目録、お前はどう見る?」


「あの褒賞ですか……何か裏があるとは思いましたが」


 やっぱり面倒な話だったー!

 もうね、お貴族様の話はお腹一杯なんですけど……。


「今回の褒賞な、王族派でも寝返りそうな貴族と貴族派閥でも寝返りそうな貴族を意図的に選んでおいた」


「うわっ! えげつな!」


「こらっ! グラフィエル!」


「良いと言っただろう、グラキオス。でだ、お前のも減らした理由はわかるか?」


「どうせ、俺を囮に使うつもりでしょう?」


「ふはははは! 流石だな! 今回の事で、必ずいくつかの貴族派閥はお前に接触してくるぞ。だが、あれには気を付けろよ?」


「強制退場させた貴族ですか?」


「逆恨みは、奴らの常套手段だ。それに、狙われるのはお前だけとは限らんぞ?」


「俺の大切な人に手を出すなら、相応の報いをくれてやりますよ」


「何かあったら報告しろ。こっちでも色々と見張っておく」


「詫びのつもりですか?」


「お前にキレられるのが一番困るからな。だが、用心だけは怠るなよ?」


「……そういう事ですか」


「父上?」


「グラフィエル。陛下はな、兄や姉に私の事にも気を配れと言っておるのだよ」


「そこまで力のある貴族なのですか?」


「闇ギルドと通じてる噂があるな。だからこそ、お前を囮に使うわけだが……」


「……恨みますよ、陛下」


「すまんな。こういった事は、強者で忠誠心の高い者にしか頼めんのが現状だ」


「そこまでなのですか?」


 そこまで……そう言ったのには、ちゃんと理由がある。

 忠誠心の高い王族派閥の貴族家は多い。

 しかし、強者と言われると現状では一握りしかいない。

 その中でも、自由度が高い貴族家で、資金力が豊富で、人を動かしやすい貴族家となると、かなり限られる。

 そして、わざわざ俺と父に話すのは、陛下なりの謝罪でもあるわけだ。

 恐らく、陛下は内心で焦っている。


「どの程度と予想しているので?」


「最低でも3分の1。最悪の場合は全部だ」


「帝国の事を言えませんね」


「全くだ。だが、これが今のランシェスだ」


「だからこその王族主流派ですか?」


「あいつらは裏切らんからな。今の大臣達は余と何らかの接点がある。もし、裏切られたら、俺は息子にさっさと王位を譲って隠居でもするさ」


「……今の話は聞かなかったことにします」


「そうだな。そうしてくれ」


 こうして、陛下との密談は終わった。

 父は話を聞いた後、何かを考えていた。

 その考えを聞くことは出来なかったが、困っているなら助けよう。

 俺は息子なのだから……。

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