第5話 広範囲殲滅型戦略兵器
彼等は、とても大きな力を秘めている。
だから、王国の広範囲殲滅型戦略兵器として運用されることが決まっていた。
人間を兵器として扱うことは珍しくない。
異世界人の体の構造は、我々とは根本的に異なるようだ。
エネルギーの運用効率が違う。その手の分野の専門家ではないので、詳しいことは知らないが。
上層部は彼らを手放さないだろう。
普通の兵士が一時間もかけてやっと生み出す直径十センチほどの炎の火球を一瞬で生み出せるのだから。
金よりも宝石よりも価値がある。
見た目の問題もあるから、兵器としての運用比率は咲護の方が高い。
薔薇姫が降誕した我が国は天に祝福されている。
この戦いの正義はわれにあり。
そんな主張のために、矢面に立たされることが多くなった。
「ルギー、咲護の体は大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ。咲護さんは麗しい見た目に似合わずタフな方ですから」
一方なずなは、攻撃的な魔法を使うのがあまりとくいではなさそうだった。
だから、咲護よりもずっと運用回数は低い。
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