6.ウルスラの人々

●シルヴァーナ(シィナ)

 年齢:24歳(1995年3月生まれ)

 登場作品:②,⑤~⑧

 キャッチフレーズ:「可愛すぎるストーカー」

 ジョブ:大魔道士

 FP:2500000

 習得技能:★衝撃波,★浮遊,★防御系すべて,★幻覚Level.1,

   完全防御クイヴェリュン(女王限定)(その他のフェルティガも集中すれば使える)

 固有技能:予言(要:時の欠片),★紫の結界,★時間逆行

 特記事項:最も女神に近い存在。


 かつてのヒロイン、シィナです。夢鏡ミラーで覗いたときにトーマを見て一目惚れし、ずっと見つめ続けています。

 そしてトーマを眷属にしたあとはトーマの動向をつねに覗ける状態になっているので……多分、公務がないときはかなりの頻度で覗いているんじゃないかと思います(笑)。


 まだ母親の胎内にいるときにデュークに目をつけられ、干渉を受けるうちに桁外れのフェルティガを保有できるようになりました。恐らくこんな人間はもう現れないでしょうね。

 生まれたときはイファルナ女王、母エレーナ、叔母マーガレットの間でかなりの話し合いが行われたことと思います。


 8歳で皇女こうじょになったあと、西の塔に軟禁される形になりました。

 それまでは姫らしく、可愛く無邪気に過ごしていたのですが、軟禁後は母のエレーナも「時の欠片」のことばかりになり、王宮全体が闇に侵され、重苦しくなっていくので、シィナも言いたいことが言える状況にはありませんでした。


 シャロットが言っていたように、シィナはいわゆる「女王になるための教育」を受けていません。そのため、シィナは「自分は何のために女王になるのか」がわからないままでした。

 母も女官も「次期女王」として大事にはしてくれましたが、シィナ自身については見てはくれなかった。

 そういう意味で、シィナは本当の意味ではあまり構ってもらえず、孤独な少女時代を過ごした訳です。


「時の欠片とやらの器のためだけに必要なのだろうか。私はただそれだけの存在なのだろうか」


と寂しく思っていました。

 トーマに対するシィナの「かまってちゃん」攻撃はこの辺に起因しています。

 そんな中で、夢鏡ミラーの向こうのトーマがいる世界は、シィナの憧れでした。

 辛い現実から逃げるために、シィナはトーマ達を覗いてはいろいろなことを想像して、楽しんでいました。


 つまり、彼女はこれまでの人生において、すべて「逃げる」ことでやり過ごしてきたのです。

 トーマ達に会ってからもそれは変わりませんでしたし、女王になってからも肝心なことからは目を背けたままでした。

 一人で世界征服すら可能な程の力を持ちながらも一人では立てない人、それがシルヴァーナです。

 それは欠点ではあるけれど、彼女の最大の魅力でもあるのかな、と思います。周りが手助けしたくなるような、支えてあげたくなるような、そんな可愛い人なのです。


 シィナは逃げることをやめ、自分の足で立つための努力をやっと始めたところです。シャロットやトーマに支えられながら、これから頑張って行くのだろうと思います。

 そしていつか、ウルスラに子供たちのための学校をつくって、胸を張ってトーマを迎えにいくんでしょうね。



●シャロット

 年齢:15歳(2004年2月生まれ)

 登場作品:②,⑤~⑧

 キャッチフレーズ:「身体は子供、頭脳は大人」(『あの夏の日に』時)

          「心は子供、身体と頭脳は大人」(続編以降)

 ジョブ:占術士

 FP:5200

 習得技能:★視覚系すべて,★感知Level.1

 固有技能:★浄化,揺らぎの窓

 特記事項:女王になる器をもたないが、抜群の頭脳をもつ才女。現在妊娠中。


 『あの夏の日に』でシャロットを出したときは、ここまで使い倒すキャラになるとは思っていなかったですね。想像以上に活躍してくれました。

 性格的には朝日と少し似ていますが、朝日が「こうした方がいい気がする!」という感覚派なのに対し、シャロットは完全に理論派です。無茶なことをしているように見えますが、そこには彼女なりの論理が確立されています。

 「この場合はAをして、ああなったらBをしよう」というように色々なパターンをシミュレーションした上で行動を起こしていますから、頭の回転はかなり早いですし、滅多に失敗はしません。


 シャロットの歩んできた人生については作中でも述べられているのでいいかな。ここでは「女の子」としてのシャロットについて考えてみようと思います。

 身長は165cmぐらいで、まだまだ伸びる予定。すらりとした美人です。顔の印象は全体的にシャープで、かなり大人っぽく見えます。

 でも本人は、コレットのような瞳がクリクリした砂糖菓子のような女の子が可愛いもんだと思っているので、自己評価は低いです。


 「好き」という気持ちは頭では理解できているものの、感じたことはないのでよくわかってはいないです。もともと愛情をあまりかけられず育ってきたので、心の機微とかには疎い方。

 女王の一族自体、そもそも恋愛はご法度ですからそれでいいとは思うのですが、シャロット自体は相当な知りたがりなので、それでは満足していません。

 ただ、あくまで頭で理解しようとしているのでなかなか……。彼女が恋を知るのはいつになるのでしょうか。


 しかし今回、「嫉妬」という感情を覚えたので、まぁこれからだとは思います。

 私の脳内妄想では、そのうちミュービュリの少女漫画とかに手を出して、暁に

「壁ドンって何? やってみせて」

とか言って困惑させそう……。



●コレット

 年齢:14歳(2005年1月生まれ)

 登場作品:②,⑤~⑧

 キャッチフレーズ:「本物のお姫様」

 ジョブ:妖精

 FP:2900

 習得技能:★瞬間移動

 固有技能:★秘密の花園

 特記事項:皇女(=次期女王)


 コレットは『あの夏の日に』でギャレットが女王の座につけたがる娘、ぐらいの意味で作ったキャラなのですが、いざ登場させてみると思ったより動いてくれましたね。

 シィナはあの通り……言うなれば「いわくつき」ですし、シャロットがだいぶん普通のお姫様像とはかけ離れてるので、それと対比させる意味で「可愛くて無邪気、皆が癒される」コレットができました。


 シャロットのところでも書いたように、栗色の巻き毛のふわふわした可愛い女の子で、あのソータですら素直に「かっわいいなー」と思った、ある意味無敵な存在です。

 闇が立ち込める中央の塔に長らく住んでいたので、その影響もあり身体年齢も精神年齢も低かったのですが、徐々に戻りつつあります。

 勉強は得意ではないし、あまり難しいことも考えられないのですが、「予言を授けるための存在・皆にかしずかれる象徴としての女王」には一番向いているかもしれません。


 初めて会ったときからユズに懐いています。コレットは小さい頃からギャレットに英才教育を詰め込まれ、周りから圧迫されながら育ってきたので、ユズの「他人に何も求めず、あるがままを受け入れる」という空気感に惹かれたようです。


 18歳になったら女王になる、という話ですが……大丈夫かな? 結契けっけいの儀のこととか、本当に理解しているんでしょうか。……ちょっと心配です。



●マリジェンカ(マリカ)

 年齢:29歳

 登場作品:②,⑤~⑧

 キャッチフレーズ:「実は忠実な臣下」

 ジョブ:召使

 FP:1300

 習得技能:★破壊,★強化,★防御ガードLevel.1

 固有技能:なし

 特記事項:代々乳母の家系。五月に出産し、現在は子育て中。


 『あの夏の日に』ではトーマに、『還る、トコロ』ではソータに、『まくあいのこと。』ではシャロットに、『天上の彼方』ではコレットに……と、その時その時に必要な情報を与えてくれる、最もRPGっぽいキャラな気がします。

 現在はシャロットの娘の乳母となるべく、自分の子供を育てつつ勉強中。自分の母から教育を受けているところです。


 ここでちょっと乳母の説明を。ウルスラでは、女王の血族は自分の子を直接育てることはせず、乳母に預けます。一日に何時間か娘と過ごす時間はありますが、公務が忙しいので全てを自分でやることはできません。

 乳母の家系の娘は、女王の血族よりも前に結婚し、あらかじめ子育てについて学習してから女王の血族の娘を育てていました。シィナの場合は、マリカの母親が乳母だった訳です。

 本来ならマリカももっと早く結婚するべきだったのですが、王宮内はウルスラの動乱後もイファルナ女王崩御、神剣みつるぎの騒動と慌ただしく、またエレーナやマーガレット、ギャレットの世話をしなければならなかったのでそんな暇はありませんでした。

 ……これからも三人の姫の世話で大変ですが、頑張ってほしいものです。



●ジェコブ

 年齢:65歳

 登場作品:⑥,⑦

 キャッチフレーズ:「頼もしいお爺ちゃん」

 ジョブ:牧師

 FP:2500

 習得技能:★読心Level.4,★幻惑Level.1

 固有技能:なし

 特記事項:代々神官長の家系。四月に引退し、息子のヤコブに後を譲った。


 シャロットを密かに援助していましたが『あの夏の日に』では幽閉されていました。復帰後はまだ若い女王のために日々奔走していました。

 シィナにとってもシャロットにとっても、とても頼りになるお爺ちゃんでした。後はのんびり余生を送ってほしいものですね……。

 


●ギャレット

 享年:33歳(1983年-2016年7月)

 登場作品:②,⑤

 キャッチフレーズ:「妄執の美女」

 ジョブ:魔女

 FP:1200

 習得技能:★幻惑Level.2(デュークと契約時は★幻惑Level.4)

 固有技能:なし

 特記事項:イファルナの孫、マーガレットの娘。イファルナ休眠中は女王代理。


 ヨハネとちょっと近いですね。一生懸命努力してきた優等生が、ある日その座を奪われる、そしてその心の隙間にデュークが入り込むという……。

 しかしヨハネとは違い、元々シルヴァーナには何の愛情も持っていなかったので完全に悪役となってしまいました。


 この頃、テスラではちょうどカンゼルが朝日を見つけ、いろいろな手を打っているときで、フェルティガエの研究はだいぶん進んでいました。デュークの干渉が胎児に影響を及ぼすこともわかっていたので、シャロット、コレットにはデュークも干渉を控えました。

 ですので、二人には特に身体的な異常はありません(ただし、コレットはずっと母の近くにいたのとフェルティガの使い過ぎで成長異常が見られましたが)。

 長きに渡る干渉により強大な力を持つシィナを誕生させてしまったため、かなり慎重だったというのもあります。


 確率が下がるはずの二人目をすぐに授かったギャレット。ひとえに、彼女の妄執です。「何としても自分の娘に女王の座を」――この呪いにも似た強い想いの結果でしょう。

 トーマは彼女をそのまま女王にすればよかったのに、とイファルナ女王に言っていましたが、時の欠片の重要性から考えて、それは無理でした。

 でも……イファルナ女王がもう少しギャレットの性格まで考えて対応してくれれば、こんなことにはならなかったかもしれないんですけどね。



●イファルナ

 享年:84歳(1930年-2014年8月)

 登場作品:②,⑥

 キャッチフレーズ:「強情な女王」

 ジョブ:女王

 FP:5200

 習得技能:★障壁シールドLevel.4,★遠視Level.3,夢鏡ミラーLevel.2

 固有技能:なし

 特記事項:ウルスラの「先代」女王


 なかなか頑固なおばあちゃんです。「知」の女神テスラの末裔であるエルトラ女王の一族には、ベースとして「論理的だが冷徹になりがち」という性格付けをしていたのですが、「美」の女神ウルスラの末裔であるウルスラ女王の一族には、「魅力的だが自分勝手になりがち」という性格付けをしていました。イファルナはその最たるものですね。

 ただ、千年以上前に失われた「時の欠片」は「予言の力の継承」の他、「各地にあるウルスラの扉の力の継承」という意味もありました。ですから、それを受け取れるかどうかが最優先だったので、まぁ、仕方ないと言えば仕方ないんですがね……。



●エレーナ

 享年:62歳(1955年-2018年1月)

 登場作品:②

 キャッチフレーズ:なし

 ジョブ:なし

 FP:3200

 習得技能:★遠視Level.4,夢鏡ミラーLevel.2

 固有技能:なし

 特記事項:シルヴァーナの母


 イファルナの長女で、次の女王を産むべく教育された人です。気は強いのですが身体が弱く、なかなか懐妊することができませんでした(意思の強さに身体が耐えられなかった)。30歳のタイムリミットを迎えたときは、さぞかし悔しい思いをしたのではないかと思います。

 シィナと共に軟禁され、このままではやがて殺されてしまうと感じたエレーナは、娘のシルヴァーナを女王にするために必死でした。

 娘に夢鏡ミラーを見せ、力の使い方、守り方を教え……それは勿論、女王になれなければ死ぬ運命だったからで、ひとえに娘を愛するがゆえのことなんですが、まだ幼いシィナには辛かったかもしれません。

 事件後は王宮の奥深くで静養していましたが、結局起き上がることはなく、亡くなりました。



●マーガレット

 享年:55歳(1958年-2013年12月)

 登場作品:②

 キャッチフレーズ:なし

 ジョブ:なし

 FP:1800

 習得技能:★遠視Level.2,夢鏡ミラーLevel.3

 固有技能:なし

 特記事項:ギャレットの母


 イファルナの次女で、おとなしい女性でした。母と姉に反抗できるような性格ではなく、自分の娘が皇女を剥奪されるときも何も言えませんでした。

 彼女が事前にギャレットに説明してきちんと根回しをしておけばギャレットの受け止め方も違ったと思うのですが、それすらも娘の気性の荒さが怖くてできなかった人です。説明するのをイファルナに丸投げしてしまいました。

 この気の弱さがギャレットに操られ、最後は狂ってしまう要因になったと思われます。



●ナダル

 享年:31歳(1982年-2013年8月)

 登場作品:②

 キャッチフレーズ:なし

 ジョブ:なし

 FP:2600

 習得技能:★防御ガードLevel.1,★障壁シールドLevel.4

 固有技能:なし

 特記事項:シャロットの父


 ギャレットが最初に相手に選んだ男性で、シャロットの父です。実直な性格でギャレットにとってはやや操りにくかったのか、闇に関わる部分には関わらせず、主に王宮内の表の仕事を任せていました。

 シャロットが自分の娘であることは知っていました。そのシャロットが東の塔に隔離された時は勿論異議を唱えましたが、ギャレットに操られ、そのあたりの記憶はうやむやになってしまいました。

 『あの夏の日に』の最後の方でその呪縛から抜け出し、ようやく事態のおかしさに気付いた彼は、ギャレットから目を離すまいと彼女に付き従っていました。そして、娘を庇って刺された訳です。

 ギャレットにとっては特別な存在で、多分、一番愛していた人なのだと思います。血塗れのナダルを見て少なからず動揺していましたから……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る