第4話 天使、人間を受け入れる

「レオさんは僕のを触ってください。僕はレオさんのを擦るから!」


 名案!とでも言うように明るく微笑んだ天使にレオは目を見開いた。


「っ!」


 だがしかし、やめろとも、ちょっと良く考えろとも声を掛ける前に、小さな指が自分の性器を撫でていたのだ。自分の指ではない、頼りない指の動きはもどかしさを生んだ。


「あっ、んっっ、ぁんそこ気持ちいぃ」


 レオの手が動くたびに絶妙な快感が産まれる。ガブリエルは必死でレオの性器を包む自分の手を動かしていた。気持ちよすぎて、時たま手を止めて目を瞑り快感に飲まれたくなる衝動に駆られる。だがそれでは不公平だから、ガブリエルは頑張って正気を保とうとしていた。


「ここか?」

「んっ!お腹の奥が寂しいの。変な感じするっ」


 気持ちがよくてしょうがないのに何かが足りない感覚にガブリエルは困っていた。

 その言葉を聞いたレオは、ガブリエルが何を言おうとしているのか分からず困っていた。


「腹の奥……?」

「うん、ぁんっこのままでもすごく気持ちいんだけど、中が変なの」


 その時、ガブリエルは人間の生態の授業で習ったことを思い出した。人間は性交時に性器を相手の体に入れるのだ。

 正直なところ、居眠り常習犯のガブリエルは細かいことを覚えていなかった。どうやってソレを体に入れるのか、どこに入れるのか、何で入れるのかなんて、聞いたようで記憶にない。だが、今自分の体が欲しているのはそれだ、とガブリエルは納得した。

 

「授業で習ったの。んっ待って、手動かしたら喋れないっ。ゃんっ」

「何を習ったって?」

「レオさんのこれをね、僕の中に入れて?」

「は?」


 とんでもないお願いをされてしまったとレオは開いた口が塞がらなかった。扱き合っているだけでもとんでもないことなのに、目の前の天使はレオに挿入しろと言ってきているのだ。


「お前は意味が分かって言ってるのか?」

「うん、授業で習ったもん。人間はこれを相手の体の中に入れて気持ちよくなるんですよね。僕にもそれをやって?」


 硬さを保ったままのレオの性器を握ってガブリエルはレオを見上げた。明るい茶色の髪はフワフワと言うことを聞かない自分の髪と違って真っすぐで光に当たると艶々と輝く。それに合わせたように光る瞳は、こげ茶色で落ち着いた印象を与える。


「どこに入れるか分かってるのか?」

「ん……教科書に載ってた挿絵だとここって描いてあった気がする」


 腰を浮かせ秘蕾を見せてくるガブリエルにレオは天を仰いだ。たまの休日がいったいなんでこんなことになってしまったのだろう。


「レオさん?入れてくれないの?」

「簡単に挿入るもんじゃない。解さないとお前に負担がかかるからな」

「じゃあ、解して?」

「っ……」


 レオは色白な肌を撫で秘部に指を這わせた。なんでこんなことに……なんて思っていても、この状況を大いに喜んでいる自分もいる。己の欲に正直に動けばいいだけの話なのだ。


「痛かったら言えよ?」


 ボディソープを纏わせた指でクルクルと外側を触れ、徐々に中指を挿入させると目の先にある天使の性器が硬さを失っていった。


「ゃん、変な感じする」


 レオにはここでやめろと言われればやめれるくらいの理性は残っている。


「やめるか?」

「やだ、気持ちよくなりたいもん」


 ガブリエルがそう答えると同時にレオはくたりとした性器を咥えた。秘蕾の中を優しく行ったり来たりさせながら、舌を這わせ頭を上下させると頭上の天使が可愛く啼く。


「ぁんっっ!はぅ、なに、なんで、ゃん、きもちいっ」


 これまでに経験した中で何よりも気持ちがよく言葉にはできないような感覚にガブリエルは包まれていた。こんなことをできる人間たちはすごい。大人の天使たちもこんなことをしているのだろうか。初心なガブリエルにとってこの行為は未知の領域だった。


 細身の体がレオの指を3本咥えるころ、ガブリエルの性器からはたらたらと精液が流れていた。


「バスチェアーじゃできないから、床に座って」

「ん……」


 足も腰も甘くしびれて頭もぼーっとし始めていたガブリエルはペタリと床に敷かれたマットの上に座った。


「脚を持ってて」

「こう?」

「そう、そのままな」


 背中を痛めないようにと優しくガブリエルを床に寝そべらせたレオは、己の性器を天使の体に添えゆっくりと奥へ進んだ。


「はぅ……!」


 腕の中の少年の背中が弧を描く。痛さに耐えているのか、快感をやり過ごそうとしているのかは分からないが、レオは己の性器を包む柔らかい感触に夢中になっていた。


「大丈夫か?」

「うん、すごく気持ちいい……」


 とろんとした表情でこちらを見上げてくるガブリエルにレオの理性の欠片はガラガラと音を立てて崩れていった。誰よりも色素の薄い肌が火照り赤く色づいている。水に濡れたプラチナブロンドの癖毛は床に広がり、色白の額が顔を見せていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る