第172話 集結
更新が遅れてしまい申し訳ありません。
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19日土曜日の朝はいつも通りにクレムリンの自室のベッドから起床して、食堂へ向かう。この時にクリス、ローザさん、エミーリアさん、ユリアさん、レナータさんの誰かが一緒になるのにはもう慣れてしまった。以前の裸で同衾とは違ってちゃんとパジャマを着てくれているから僕も拒否していない。
ちなみに、アントンさんはニルレブの町の中に新居を買ってエレさんとお子さんを呼んでいる最中だ。エレさんの引き継ぎがなかなか終わらないらしい。ユリアさんも抜けて、エレさんも冒険者ギルドのニルレブ支部に異動になるわけだからインシピット支部は大変だろうね。
まずは、エドワーズ空軍基地でP-8“ポセイドン”と派生型のP-8AGS、それとRF-4Cを12機ずつ【召喚】する。RF-4Cは足の速い機体が欲しかったから【召喚】したよ。それと、搭載できる兵装と搭乗員たちも。あとは、シンフィールド中将に任せてニルレブの行政庁舎に向かう。
いつもより文官さん達が少ない行政庁舎に着いて仕事を始める。クリス達は
そんでもって、今、僕の執務室にはクスタ君とジギスムントさんが来てくれている。
「お2人ともご足労をかけました。」
「いえ、僕はジギスムント様と一緒に馬車で来たので・・・。」
「そうなんですか?」
「ええ、神官長のアキーム殿から私の都合がよいときに、一緒に連れていってほしいと頼まれましたので。それと、私はオツスローフ方面軍司令官としての挨拶を兼ねて参りました。先触れをお出しせずに申し訳ありません。部隊の再編中でごたついておりまして。」
「ああ、気にしないでください。前にも言ったかもしれませんが貴族的なやり取りはあまり好きではないのです。」
「閣下、それでも必要です。今回は一方面軍の司令官が上官にあたる閣下のもとへと
軍隊だから、そういうところ厳しいんだね。クーデターとかは物語の中だけにして欲しいしね。
「ふうむ、そういうものですか・・・。これは、早急に連絡網の構築をした方が良いかもしれませんね。丁度、
「だ、大丈夫です。でも、どのようなことをしたらよいのかがわかりません。」
「心配することはありません。他の職員も一緒に作業させますので、やりながら覚えていってもらえれば結構です。とりあえずは私の仕事を見ていてください。月曜に担当の職員を配属します。ところで、お2人とも今夜はどちらにお泊りですか?」
「私は国軍の官舎に客室がありますのでそちらに。」
「僕は、今から宿を探します。」
「ならば、私の屋敷に泊まりませんか?私の婚約者達と私兵、奴隷達がいますが部屋の空きはまだありますので、どうでしょうか?」
「えっ!?辺境伯様のお屋敷にですか!?そんな恐れ多いことは・・・。」
「今後、秘書官として私の仕事を手伝ってもらうのです。一緒の敷地内に暮らしていても問題ないでしょう。ああ、勿論ご結婚されたりした場合は新居を構えるのもアリですね。」
「クスタ君、ここは閣下のご提案を受けておけばよいだろう。閣下も“ずっとお屋敷にいなさい”と言っているわけではないのだから。」
「わ、わかりました。
というわけで、クスタ君は一緒に住むことになり、ジギスムントさんは翌日にはオツスローフに戻ったよ。そして、月曜日からはクスタ君の教育係に職員の“アクセリ”さんを配属した。ヘニッヒさんをよく手伝っているベテランの1人でよく新人の教育係をするからとヘニッヒさんからのお墨付き。
クスタ君も最初は緊張していたけど、日を経るごとに段々と慣れていく。順応力の高さが凄い。アクセリさんも「優秀な秘書官になるでしょう。」と褒めていた。ただ、調子に乗るといけないから本人には言っていないみたい。クスタ君なら褒めても別に調子に乗らないと思うんだけどなあ。
クスタ君と一緒に事務仕事に頑張っている間にオリフィエル領の件で書簡を国王陛下に届けに行った呂布たちが帰ってきた。道中は野盗退治したり、魔物・魔獣退治したり、人助けしたりしていたらしくて「帰還が遅れて申し訳ござらん。」と呂布が頭を下げたけど、悪いことをしたわけじゃないから「気にしないように。」と言って任務の成功を祝った。
それで、国王陛下からの書状は長ったらしい装飾文があったけど要約すると、「領地(オリフィエル領)の加増は問題なし。ピーテル殿を代官とする案も好きなように。ただし、1カ月以内に王城に来て勅令を受けるように。」とのことだった。よし、ニルレブに滞在中のピーテルさんに朗報が届けられる。というか、クスタ君に頼んで届けた。それが、3日前の5月26日の土曜日。27日の日曜日にオリフィエル領へ出立し業務を開始するとの返事を受け、呂布たちを護衛に付けて見送った。
そして、本日5月29日の火曜日。アダーモさんがニルレブに到着しその挨拶に来てくれた。
「辺境伯閣下、お訪ねするのが月末になってしまい申し訳ありませんでした。」
いきなりの謝罪でビックリしちゃった。すぐに執務室から人払いをして理由を聞くと「ギルドからのお願いで新人冒険者パーティの教育をしていた。」ということだった。それなら仕方ないね。ここで働くことが嫌になっちゃったのかと思ったよ。そのことを口に出すと、
「閣下の勇名は王都まで聞こえておりました。コボルトに捕らえられていた商人たちの救出。帝国の国境砦の破壊とナボコフ辺境伯との事実上の不可侵条約。小さいことまで枚挙すれば
「アダーモさん、人払いをしてあるので口調はいつも通りで大丈夫ですよ。しかし、情報の伝達が早いですね。」
「ああ、吟遊詩人たちですな。弱冠12歳の少年が貴族となり実力を示しているのですから良い題材になっているのでしょう。」
「まあ、確かに僕が昔読んだ物語でも15、6の少年勇者が邪神を倒したりしていましたからね。」
「それだけではありません。ガイウス殿は整った容姿をされておりますからな。長髪にドレスを着飾れば、どこかの令嬢と思われるでしょう。」
「婚約者たちからもよく言われます。男らしいと言ってほしいんですけどね。」
「ふむ、外見は成長すれば変わっていくでしょうが、ガイウス殿は厳つい
う~む、僕としてはアダーモさんやジギスムントさん、アントンさん、呂布達のような
「アダーモさん家は決めていますか?」
「しばらくは宿暮らしをしようかと思っています。」
「それならば、僕の屋敷はどうでしょう?」
「ふむ、魅力的な提案ですがお断りします。ガイウス殿の私兵ならまだしも私は税で運用されるゲーニウス領の領軍に配属されるのです。兵舎があればそちらに住みます。」
「わかりました。でしたら北門を出たところ、街道の左側に広大な更地があります。その奥には建物がいくつかありますが、その中に兵舎があります。しかし、アダーモさんには指揮官として働いて欲しいので兵用の所ではなく士官用の兵舎に住んでもらいます。」
「わかりました。」
「案内を付けましょう。」
僕はそう言ってクスタ君を呼び、クレムリンから奴隷のダグを連れてくるように言う。ダグは家僕として働いてくれている狼獣人の奴隷だ。奴隷だからといって粗末な格好はさせてはいない。ちゃんとした服を着せているよ。
アダーモさんと雑談をしながら待つこと40分。クスタ君とダグがやって来た。
「アダーモ殿、彼が先程話した案内人のダグという。奴隷ではあるが家僕として教育してあるし、兵としての教育もしてある。普通の人間として接してほしい。」
「はい、閣下。もとより奴隷だからといってどうこうするつもりはありません。彼らの大半がほんの少し運が悪かっただけなのですから。それ以外は同じ人です。」
「うむ、ありがとう。ではダグよ、案内を頼むぞ。それと、シンフィールド中将とマーティン中尉、コンラッド海兵隊最上級曹長にも紹介しておくように。」
「はい、ご主人様。アダーモ様、庁舎の前に馬車を用意しております。お荷物お持ちします。」
「ありがとう。それでは閣下、私は失礼させていただきます。」
そう言って、2人が出て行く。後に残ったのは僕とクスタ君、アクセリさんの3人。
「さて、残りの業務をしようか。」
「「はい、閣下。」」
これで、僕が声をかけた人達が揃った。国軍と居残り組以外の文官さん達が王都へ引き揚げるのは月が替わる明後日だ。さて、周囲がどう動くか楽しみだね。
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次回は人物紹介ができたらいいなーとは思っていますが、予定は未定です。
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