アニー、それなりに頑張る 其の一


「GRT5968C、とにかくユウェンタース号を、解放してくれない?」

「不可と判断します」

「なぜ?」


「男性体がいます」 

「男性体との戦争は終わっているのよ!彼らは負けたのよ!いまでは男性体の軍は、この世界には存在しないのよ!」


「当船は男性体を敵と認識するように命じられています、男性体とは密かに接触、もし当船の存在に気が付かれた場合は、敵を破壊、もしそれが不可能ならば、自爆するようになっています」


「アニー様の乗られていた船は、敵男性体のものと認識、破壊することが当船の使命です、いまデータを収集しております、終了次第、破壊することになります」


「GRT5968C、ユウェンタース号の破壊は不可です」

「あの船にいる人々は私の大事な方々、オルメカの船なのでしょう、チョーカー所持者の命令に従って!」


「アニー様には指揮命令の権限がありません、よって軍事関係の命令はお聞きできません、当船はアニー様の安全を確保するだけです」


「ではこの近くのステーションに、ユニバースの士官がおられます、その方の命令ならいかがですか!」

「ユニバースという組織は、データベースにはありません」


 ……どういうこと?オルメカの船がユニバースを知らない?この船、本当にオルメカの船なの……


「GRT5968C、貴方、男性体との最後の戦争は知っているの?」

「当船は、おっしゃる最後の戦争は認識できません、当船が命令を受けたとき、男性体とは戦争寸前でした」


 !


 ……ユニバースは名称が変わっていたのよね、最後の審判戦争の前は……たしか……思い出せないわ……


「先ほどのユニバース、名前が変わっていたわ、その戦争前の名称は思い出せないけど、司令官はたしかゼノビアさんだったはず、確認してくれる」


「ゼノビア司令官、スペースミリタリーの最高司令官に、そのようなアンドロイドが存在していました」


「そのスペースミリタリーの士官の命令なら聞ける?」

「確認のうえ、上位の方なら命令を受領いたします」


「ではユウェンタース号で、通信できるようにしてくれない」


「それは不可です」


「どうして!」


「あの船は敵と認識できます、その敵に通信の許可はいたしません」


 ……困ったわ……何とかしなくては、子供たちに危険が及ぶ……


 !

 

 ……そうだ、私って馬鹿ね、オルゴール通信なら、オルメカにつなげられるじゃないの……オルメカの方って誰か知っていたかしら……


 アニーは一人しか知りませんでした、それも話もしたことがない方なのです。


 ……シウテクトリ様しか知らない……いいのかしら……でも、迷っている暇はないわ、お叱りは覚悟の上よ……


「私が通信する分にはいいのでしょう?いまオルメカの司令官、シウテクトリ様につないで見るわ、妨害はしないでね」


 アニーがオルゴールを取り出し、シウテクトリの名前を念じてみると、オルゴールが振動しました。


 シウテクトリが浮かび上がってきました。


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