32-2.パーティー集合(ガイウス視点)







 ★・☆・★(ガイウス視点)








 婚約パーティーだって!


 しかも、ここ最近誓約出来た三組全員の!!


 セリカちゃんもだけど、例の魔導具『恵の豊穣フィーク・シャイン』を正常に稼働させてから、初のお披露目。


 僕は先にマールと一緒にクロームの屋敷にお邪魔しちゃって、製法まで見せてもらったんだけど。



「はー? なんか、科学実験観てる気分」


「「「かがく??」」」


「えーっと、錬金術全般のことを。僕の前世の世界では科学って言ってたんだ?」


「ほう。興味深いな?」


「ここまで出来たら、クロームも科学者だよ?」


「そうか」



 二本のふっとい管にエーテル培養液を満たして、食材を入れたら『はい、どうぞ』的な展開で料理が出来ちゃうんだもん。


 もちろん、セリカちゃんの手料理もあるらしいけど。これは興味深いね?


 錬成だけで、料理をするのが夢だったクロームの夢が実現しちゃったんだから。


 あのバカ弟が、もう処刑されたディスケットから聞いた情報をもとに一度は不正なエーテル生成液を作って、クロームに渡ってしまったが。


 今回の件で気づかなければ、クロームはとっくに死んでしまっただろう。そのエーテル生成液がなければセリカちゃんも生まれていなかったしね?


 事態はどう動くのかわからない、と言う言葉がある通り予測がつかないことが多い。


 けど、全部解決した今は、思いっきりパーティーを楽しむだけだ!



「クローム! あとどのくらいで全部出来るんだい!?」


「そうだな。あと二種類くらいだろう」


「私の料理もほとんど終わっています」


「じゃ、チェスト達も来たらパーティーですね!」


「うん!」



 実は、バカ弟は当然来れないけど。残りの家族、つまりは父上に母上。あと末の妹のアイルンも呼んでいるんだよね?


 クローム達に伝えたら、予想済みだったのかそんなに驚かれなかったけど。マールは当然びっくり仰天な顔をしちゃった。



「へ、へへへ、陛下に王妃様がここに!?」


「そんなに驚かなくていいよ、マール? 陛下の肩書き取ったら、普通の父親達だよ?」


「そ、そうはおっしゃいましても、国王様達なんですよ?」


「そう? アークさんとは旧い仲だし? お忍びとかよく行っちゃうよ?」


「え?」


「……ガイウス。今もか?」


「今はどーだろ? 逆にアークさん呼んで晩酌してる可能性は高いけど」



 まあ、あくまで可能性だけどね?


 でも、時々登城する知らせがあったから、もしかしたらそうかも。


 とりあえず、時間も限られているので。僕達で屋敷の外を飾り付けしていたら。



「来たぞ」


「来ましたよ、ガイウス?」


「あ、父上に母上」


「アイもですわ!」




 とかなんとか準備してたら、三人ともやって来ちゃったよ。ミアの方は、チェストの家族と一緒に来るからまだだけど。



「……よく来てくださいました。陛下、皆々様」


「……ガイウスが世話になってるらしいな? クローム=アルケイディスよ」


「いえ、そんな。殿下のお力添えがなければ、私はとうに命を失っていました」


「あのバカ息子の方がすまなかったな」



 実は今も生きているんだよね〜? は、ここでは言えないけどね?


 母上の方は、いつのまにかマールと挨拶を終えてハグしまくってんだけど!?



「母上!? なにしているんですか!?」


「だって。想像以上に愛らしい女性じゃないの。あなたが好きになるのもわかるわ〜」


「お、おおおお、王妃様!?」


「母上ずるいです! アイもします!」


「もう少し〜」


「母上!?」



 相変わらず、可愛いもの好きには目がないんだから!?


 そこだけは、マールや副ギルマスとよく似てるんだよね。え、僕ってマザコン?


 な訳ない!? と思いながら、出来るだけ痛くないようにしながら二人を引き剥がした。



「あらあら。……あら、そちらがアルメリアの息子かしら?」


「! はい、王妃様。クロームと申します」


「ふふ。アルメリアとは旧い仲なの。アルケイディスの家に嫁いでからは滅多に会うことができなかったけれど。そう、あの赤ん坊が私の息子と友人だったなんて」


「お忍びのことは基本的に、秘密でしたしね?」


「そうね。んもぉ、こんな素敵な友人がアルメリアの息子だったのなら、さっさと教えなさい」


「とは言いましてもね?」



 僕は実際目にしていないが、約一年前のクロームのでぶっちょぷりは絶対見せられなかっただろう。


 クローム自身も自覚しているのか、苦笑いしてたしね?



「アーク達もそろそろ来るのだろう? アルメリアもその中にいると聞いている。エスティア、積もる話はまた彼女とすれば良い」


「そうですわね、陛下」



 と言うわけで、ちょっとしてからクロームの両親達やチェスト達も来てくれてパーティーは開始になったんだけど。


 うちの母上もだけど、四十代超えてるはずなのに、異世界人ってなんで必要以上に歳を取らないんだろうと疑問に思うしか出来なかった。

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