雪女

私が商売の関係で冬の雪山を越えようとしていたのですが、その時に雪山のなかで雪に見舞われ、山奥の一軒家に避難したのです

幸いストーブと燃料があったので、温まろうと思い、ストーブに火を付けます。

しばらく温まったなと思った所に

トントン

と戸を叩く音

はてこんな時、こんな時間に戸を叩くというのは誰なんだろうと思い、外を見ると、一人のそれはそれはキレイな女性が居ました。

丁度、髪の黒いメー○ルみたいな

「はあ、何の御用でしょうか?」

と尋ねると、

「この雪山に住んでいる、雪女なのですが、この時期はクマもうさぎも冬眠してしまってメッチャ暇です、すみません、一晩、話し相手にでも」

というのです

「いやです、このまま氷漬けにして殺すつもりでしょう」

というと、

「いや、そんなつもりはありません、まあ、一晩話し相手にでも」

というので、目一杯着込んで、服の中にホッカイロも突っ込んで、彼女を迎えました

「あ、すみません、すみません」

といって彼女は入ってきました

「気温15度くらいまでなら大丈夫なんですけど、それよりも上がるとぱあっと蒸発してしまうんですわ、まあまた温度が下がったら元にもどるんですけどね」

と、なんかメッチャ気さく

夏場は、蒸気となってこの麓の牧場で牛の背中のうえをスリスリ飛んでいたり、雲の下を飛んでいたりするそうです

「蒸気の時は目にみえないんですけどね、で、気温が下がると、こうやって人の姿になるっちゅうわけです」

とにこにこ顔で

で私が飲んでいるブランデーを見て

「それなんですか?」

と聞いてくるので

「これはお酒で、体を温める飲み物です」

というと

「ちょっと欲しい」

というので少しあげてみました

冷ましてあげると、彼女はグラスをふうふう言いながら飲んでいました

「ああ、何かいい感じ、何か温かいわ」

といって、彼女は着物を脱ぎはじめます

「すみませんね、はしたなくて、でも、とってもきもちいい」

といって彼女は薄い下着姿になったのでした。

白く桃色の肌、細い腰から豊かなヒップ、そしてたわわな胸、酒の酔でしょうか、少し上記してほんのり桜色にそまったその姿態を私は目をそらすことができませんでした

私は「え?これ、もしかして誘われてる?」

と思ったので彼女の傍にいくと、それでも彼女は逃げません、それどころころか

「ああ、久しぶり」

なんて言ってニッコリ笑ってくるんです

私は彼女を抱きしめ、その艷やかな唇に私の唇を当てようとすると・・・・・高い体温に当てられたのでしょうか、彼女は光の粒になって消えてしまったのでした。


その翌日、寒い朝、戸を開けると彼女がすまなそうな顔で立っていました。

「ごめんなさいね、私は温度が上がると蒸発してしまうの、でもあなたはとってもいい人、また会いたいです、ここの下が街道になってます。朝から雪かきしておきましたから」とニッコリと笑ってくれました


それからしばらくして、私はまたこの山で一晩過ごす事になりました

とすると、

トントンと戸を叩く音

見ると彼女が

「来てくれたのね、嬉しいわ」

そういってまた彼女は入って来ました


私は彼女を抱きしめてしまいました


ああ、そのたおやかな腰、豊かな胸、私はその胸に顔をうずめようと・・・・・・・

とその瞬間、彼女は煙のように消えてしまいました

それから、この山を超えるときには、この山小屋に泊まって彼女に会ってるんですけど、肌を合わせようとするとどうしても彼女は消えてしまいます。

あの白い透き通るような肌、細い腰、そして魅惑の胸、腰

麓の街で仕事をしているときでも彼女の事を夢にみてしまいます。


私は、今日、この山の麓の街を離れて、違うところで商売をする事にしました

彼女は、私の永遠の思い出で残酷な失恋です。

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