第242話 帝国の勇者ハヤテ3

帝国の勇者ハヤテが、「もうお前はいらない! 後ろにいる女だけ俺に寄越せ!」と言って、転移して俺に後ろから斬り掛かってきた。


パリイイイイイイイン!!!


ジャイアントハーフの聖騎士リンの「聖騎士の守りパラディンガード」を、勇者ハヤテの聖剣が叩き壊した。


俺は咄嗟に時を止めた。


やべっ! 「聖騎士の守りパラディンガード」を壊すとは、流石勇者だ。


しかもチートスキルは転移か。


しかし良く見ると、リンは魔槍アムドゥスで聖剣を横から受け払おうとしていた。


うん。リンはただの盾では受け流せないと判断したのだろう。魔槍アムドゥスならまともに受けなければ大丈夫だ。


流石リン。咄嗟の状況判断が素晴らしい。


さて、どうしようか。


エロエロ勇者にはお仕置きが必要だな。


だけど、勇者ハヤテを魔王や悪魔と戦わせて、魔王や悪魔達の実力は知っておきたいから殺す訳にはいかないな。


首チョンパでは死んじゃうし……。


勇者ハヤテには、魔王や悪魔と戦わせるから心も折れないし……。


ん~、手足を斬っておくか。


帝国にもエリクサーぐらいあるだろう。


おっと、その前に勇者パーティーのステータスもチェックしておくか。


俺は勇者ハヤテのパーティー達のステータスをチェックした。


おお、第三王女のミフジは聖女なんだ! エリクサーがなくても、欠損再生出来るかもな……。


しかし、他の奴らは雑魚だな。この前やっつけた冒険者達と同じレベルだ。それで強い仲間が欲しかったのかな。


俺はアイテムボックスから聖剣を取り出し、勇者ハヤテの両手両足を切り落とした。


そして勇者ハヤテを仰向けになる様に蹴飛ばし、勇者ハヤテの胸に右足を乗せる。


そして時を戻した。


「ぎゃあああああああ!!!」


「うるさい! 騒ぐな!」

俺は聖剣の刃の先端を勇者ハヤテの首に当てて叫ぶ。


「うがあああ! 腕がああああ! あ、足もおおおお……」


涙を流して騒ぐのを止めない勇者ハヤテ。


聖剣の先端で首が少し切れるが、手足の方が痛いからかお構い無しだ。


「あああ、黙れ!」


俺はしゃがんで勇者ハヤテに馬乗りになり、聖剣を持った右手でハヤテを軽く殴る。


俺の右手には魔王の手甲を装備している。痛さ100倍になるのだ。


「ぐはっ! ひぃ、やだやだやだやだやだやだやだ……、助けてええええ───」


勇者ハヤテはそれでも変わらずに喚いていたが……。


……消えた。


あっ、転移で逃げたか。


俺は周りを見る。


第三王女のミフジを始めとして、土下座状態の常闇のボークもその他の勇者の従者達もいる。


ハヤテは一人で逃げたらしい。


ボークを除く従者全員は唖然として俺を見ていた。驚き声も出ないようだ。


「おい、勇者は逃げたぞ。早く戻ってハヤテを探して手足を治療してやれ」


俺は声も出せずただ立ち尽くすミフジに声を掛けた。


はっ! とした表情を一瞬した後、ミフジは俺を睨んで言う。


「あんたねえ! なんて事をしてくれるの! ハヤテが魔王を倒せなくなったらどうすんのよ!!!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る