第240話 帝国の騎士達2

俺とジャイアントハーフの聖騎士リン、ブラックジャガー獣人のノワ、剣聖ルイの4人は、チマルノーの宿屋前で、帝国の騎士達に取り囲まれていた。


騎士達は抜剣し剣を構えている。


リンは鎧と盾、魔槍を展開して構え、ノワは魔王の本を左手に持ち、ルイも抜剣し構えていつでも戦えるように備えた。


俺は両手をぶらりと下に下げて、ノーガードの無防備で騎士達と相対している。


「大人しくついて来るのである!」

騎士のリーダーらしき者が俺の正面で叫ぶ。


「はぁ、断るって言ったろ!」


「やむを得ないである。やれ!」

騎士のリーダーの号令で迫り来る騎士達。


俺は時を止めた。


はぁ、コイツらも帝国の戦力なんだよな、首を飛ばしたらダメかな?


取り敢えず追って来られるのも迷惑だから、足でも斬っておくか。


重要な人物なら、エリクサーで治療するだろう。


しかし冒険者ギルドでタクミに両手両足を斬られた冒険者達が、エリクサーが無い為治療されていない事をタクミは知らない。


俺はアイテムボックスから聖剣を取り出して、騎士達の両足を斬り払った。


そして、聖剣をアイテムボックスに聖剣を収納し元の位置に戻る。


時を動かす。


「ぎゃああああああああ!!!」


ドタドタドタン!!


次々に倒れて行く騎士達。


「あ、足がああああああ!!!」

「痛い痛い痛い痛い……」

「ひぃ……」


泣き騒ぐ騎士達。


「じゃあ、行くか」


とみんなに声を掛けて、俺は騎士達を避けながら歩きだす。


リンは鎧と盾と魔槍を収納し、ノワは魔王の本をしまい、ルイも納剣して俺の後をついて来る。


「待てええええええ」

「クソオオオオオオ」


騎士達が叫ぶ中で、騎士のリーダーは懐から何かの魔道具を取り出した。


「チ、チマルノーにタクミがいました。チマルノーに来た騎士隊は全滅であります。救援を求むであります……」


ん? なんか連絡してるぞ。


「みんな、急いでこの町を出るぞ」


俺達は門の方向に早歩きで進む。


町の門では入る人のチェックをしているが、出ていく人はノーチェックだ。


よし、町を出るぞ。と思ったら……。


目の前に急に出現した10人の男女。

男二人と女八人。


不思議な事に何もない空間に急に現れた。


転移か?


「え! えええええええええ!!!」

一人の男が突然声を上げた。


ん? その男を良く見る。……何処かで見たことがあるな。


「ああああああ!!! 常闇のボーク!!」

剣聖ルイが驚き声を上げた。


「ボーク? 誰だ? 何処かで会ったか」

俺はルイに尋ねる。


「冒険者ギルドで、ノワがメタメタにしたSSランクの冒険者です」


「ああ、あの時の……、で、何の用事だ」


俺はボークを見たが、ボークともう一人の男が何やら揉めているようだ。


「ちょっ、ちょっと。ハヤテ様、タクミがいるなんて聞いてないっす! あいつらマジやべえっす。関わりたくないっす」


ボークは焦っていて、なんだかチンピラっぽい話し方になっていた。


ボークの素はチンピラか?


「はあ! うっせぇわ! 俺が用があるんだよ。引っ込んでろ」


勇者ハヤテはボークを突飛ばし、俺を見詰めた。


「お、俺は無関係って事で……。まだ死にたくねえよおおおお」


ボークは土下座で頭を下げると、両手を合わせてなにやら祈り始めた。


「神様ああああ、助けてええええ……」

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