第215話 ギルド長ロメジ

ギルドの受付に行く途中に、依頼用の掲示板の前を通ったので、依頼票をチラ見しながら、オカメに尋ねた。


「オカメ、ロイケブクの周りには、森などがないが、冒険者ギルドの依頼ってどんなものがあるんだ」


「主にダンジョンですね。ロイケブクはダンジョンで経済が発展した都市ですから、オトキ帝国の大都市は殆どがダンジョンの恩恵で発展しています。」


「ほうほう、それで?」


「因みに、オトキ帝国の大都市は、マトシ領のロイケブクの他に、クシンジユ領のウカブキチヨ、ヤシブ領のカドウゲンザ、ウチユウオ領のザギン、トミナ領のギロッポン、王都のダチヨがありますが、ダチヨ以外は国王の親族である各公爵家が領主になっております」


「ふ~ん、そうかぁ。そうすると、マトシも公爵家の領地なんだね」


「はい」


「公爵家もマサイタ関連の商会が、次々に潰れると大打撃だろうね」


そんな話をしていると受付に着いた。


「今晩は、冒険者ギルドにようこそ。本日はどのような、ご用件でしょうか」


「Eランク冒険者のタクミだ。この都市に初めて来たので報告と、何か注意する事があれば聞きたい」


俺は冒険者証を提示して尋ねた。


「なるほどぉ、私はメコマゴです。よろしくお願いします。そうですねぇ、最近盗賊の被害が多いので気を付けた方が良いですねぇ。後は~、この都市で稼ぐならダンジョンに入らないと、稼げないですよ。Eランクじゃキツいかもです」


「成る程ねえ、そうだろうね。でも多分大丈夫だ。Eランク冒険者のタクミがダンジョンに入る許可が欲しいと言ってたと、ギルド長に伝えてくれ」


その時、メコマゴの後ろから、ひげのちょいワルオヤジが現れた。


「ふん、貴様がタクミか? 儂がギルド長のロメジだ。田舎ギルドの特級アンタッチャブルなんぞ、ここでは通用せんぞ」


「ほう、そう来たか。面白い、良いだろう。これでここの冒険者ギルドに、遠慮する気は無くなった。好きにさせて貰うよ」


殺しやりますか?」


リンが物騒なことを言い出した。


「止めとけ、行くぞ!」


俺はリンとオカメに言って、冒険者ギルドを後にする為振り替えると、後ろに大男が立っていた。


「おい! 今、ギルド長を殺すやるって言ったか?」


リンより大きい大男が上から見下ろす。

ジャイアントハーフの大男かな?


「だったら、どうする?」


俺は大男を挑発した。


「俺が相手だぁ!」


大男の拳が俺を襲う。

しかし、リンが展開した短槍の石突きで、拳を受け止めた。


「ぬぬ、馬鹿な」


拳を受け止められて、焦る大男。


「邪魔!」


ドカーン!


俺は、魔王の手甲を装備した右拳で裏拳打ちを放つと、大男は壁までふっ飛んだ。


俺は振り向きギルド長に一言。


「楽しみにしてな」


そして冒険者ギルドを出た。


「あわわ、ギルド長、良いんですか?」


驚くメコマゴ。


「ちっ、面倒な奴が、この都市に来やがったなぁ」


ギルド長のロメジは俺達の背中を睨んでいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る