第169話 交渉決裂
俺はツハママ公爵の居城の一室で、マヒロシ王国国王のキオーガと王弟レク、ツハママ公爵の3人と、ソファーに座り会話を始める。
ツハママ公爵に着けた真実の箍は外して、アイテムボックスにしまっている。
「キオーガ、俺の元にラナの使用人である女性3人が、悪魔討伐のお願いに来たが、流石に何の決定権も無い使用人を寄こすとは、どうかしてるな」
「え? ラナが行ってないのか?」
「来なかったね」
「あぁ、申し訳ない、俺がここを離れられないので、せめて王家の者を行かせる必要があると思い、ラナに指示したのだが……」
「兄貴ぃ、悪魔討伐依頼を、受けてくれるんだよね」
レクが会話に割り込んで来た。
「条件によるな」
「条件? そりゃ、このまま行けば、悪魔に国を滅びされるだけだから、受けられる条件は受けるに決まってるよね、国王陛下!」
「どんな条件だ?」
「マヒロシ王国が、サトウ国の傘下に入る事だ」
ガタッ!
ツハママ公爵が驚きキオーガ国王を見る。
キオーガ国王が首を振り手の平をツハママ公爵に向け、口を挟むなとゼスチャーをした。
「属国と言う事か?」
キオーガ国王が俺を見詰める。
「マヒロシは国から、サトウ国の一地方になるのだよ。」
「ぬぬぬ……」
「兄貴ぃ、そうすると、マヒロシ国王はどうなる?」
「一地方の領主とする。」
「そ、そうかぁ」
レクは下を向き、考え始める。
「その条件は、受けられないな。国民や諸侯に説明出来ん。他にはないのか?」
「無いな。ラナの使用人が来たときは、属国になる事を条件にあげたが、この国はダメだし、俺を舐めすぎだ」
「むむ……」
「おい! 黙って聞いてれば、無礼な言動の数々、お前は何者だぁ!」
ツハママ公爵が大声をあげた。
「ん? 質問は許さ無い、後でキオーガに聞けっていったはずだが?」
その時、部屋の外からもドタドタと大勢の足音がした。
「失礼します!」
騎士達が部屋に入って来た。
「何事だ!」
キオーガ国王が騎士達に叫ぶと
「不審者が城内に……、ああああ!その男です。その男が城内に侵入しましたぁ!」
俺を指差す騎士達。
「彼は、サトウ国の支配者でデーモンスレイヤーのタクミだ。悪魔討伐の件でここにいる。何か問題があったのかな?」
キオーガが騎士達に問う。
「そのぉ、門兵を殺害し、門を強硬突破。城門でも騎士隊を襲撃し、無断で城内に侵入しました。国の威信に関わります。他国の者とは言え、許す事は出来ないかと……」
「本当?」っていう顔で、俺の方を見るキオーガ国王。
「だからどうした? 俺の国と戦争でもするか?」
戦争と聞いて驚く騎士達。
悪魔と戦っているこの状況で、隣国と戦争を始めるのは、流石に不味いと思った様だ。
「そもそも、俺が名を名乗って面会を求めたが、それを無視して襲い掛かって来たのはお前らだ。城門では有無を言わさず先に攻撃してきたしなぁ。宣戦布告としてを確かに受け取ったぞ」
「そ、それは……。し、しかし、名を名乗っただけで、誰の紹介状も無い一般の者は、国王に簡単に会わせられません! サトウ国の支配者なら、何故身分を明かさないのですか?」
「支配者って言うのはキオーガが勝手に言ってるだけで、俺は何の身分も無い。強いて言えば、Eランク冒険者ぐらいだぞ」
「Eランク冒険者ぁ?」
「キオーガ、マヒロシ王国がサトウ国の傘下に入る条件も拒否されたし、こうなったらマヒロシ王国が悪魔に滅ぼされてから、悪魔を狩る事にする。たった3人に国王のところまで強硬突破される様な騎士隊では、悪魔にも直ぐに殺されるだろうが、せいぜい頑張るんだな」
「ちょ、ちょと待ってくれ。そんな一方的な。」
「一方的? お前が俺に悪魔討伐の依頼をしたが、条件が合わなかったので、依頼を断っただけだろう」
俺とリンとノワは窓際に進むと、窓を開けてバルコニーに出た。
3頭のヒッポグリフも後をついてくる。
俺達はヒッポグリフに乗って城を飛び立った。
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