第104話 ヨイ町にドラゴンが来た3
冒険者ケマヌとトムロが野営地を去った後、ジャイアントハーフの聖騎士リンが、タクミに問い掛けた。
「本当にヨイ町を助けないのですね。」
「勿論、助けないよ。可笑しいと思わないかい?ドラゴンってそんなに頻繁に町に来るものかなぁ。」
「そう言えばそうですねぇー。はぐれのドラゴンが町に来るなんてぇー、100年に1回あるかないかの事なのにぃー、数日のうちに2回って可笑しいですねぇー。」
ブラックジャガー獣人のノワが、昼食の後片付けをしながら答える。
「真実は分からないが、ドラゴンにも事情があると思った。」
「例えば、どんな事情でしょうか?」
「領主がドラゴンの赤ちゃんを捕まえたって話があったよね。」
「宿の従業員がそんな事を言ってましたね。」
「うん。マッドバイソンは子供を殺されると、狂った様に群れで襲ってくるんでしょ。ドラゴンだってそんな事があるかも知れないじゃない。」
「成る程、そうですね。」
「俺はドラゴンを殺したので、今更だけど、差別は良くない。ドラゴンが必ずしも悪いとは思えないからね。」
「ははは、ドラゴンの肉を美味しくいただいてぇー、今更ですよねぇー。」
「まあね。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ヨイ町をドラゴンが襲撃した。
町の外で迎え撃った冒険者達は必死に、引き付けて一人でも住民を逃がす為に、時間を稼いだが、流石ドラゴンで半数は死亡または重症となった。
ドラゴンは町の上空に浸入し、ブレスを吐いて町を破壊しながら領主の居城に向かう。
ボロボロになった装備の剣聖ルイは、居城に向かい飛翔するドラゴンを見送るしかなかった。
「タクミ様は間に合わなかったかぁ。」
ドラゴンは居城に炎のブレスを吐く。
炎に包まれる居城。
「ドラゴンだああああああ!」
「逃げろおおおお!!」
居城に舞い降りたドラゴンは何かを探す様に、居城を少しずつ壊していった。
ヨイ伯爵は地下に隠れていた。
その前にはドラゴンの赤ちゃんが入った檻がある。
「くそぉ、儂がなんでこんな目に合わなきゃいけないんだ。」
回りには護衛の騎士が数名いる。
居城が破壊されていく音が聞こえ、怯えながらドラゴンが去って行くのをじっと待っていた。
ドゴオオオン!!
地下の天井が崩れ落ちて、ドラゴンが入って来た。
「かかれえええええええ!」
騎士隊の隊長の号令で騎士達は槍を持ちドラゴンを攻撃するが、ドラゴンの前足の爪で薙ぎ払われる。
ズガガガガン!!
斬り裂かれ潰れる騎士達。
「ひぃぃぃぃ。」
怯えて身体が硬直しているヨイ伯爵。
グチャッ!
ドラゴンは前足でヨイ伯爵を潰した。
そしてドラゴンの赤ちゃんが閉じ込められた檻を見つけると、檻を壊した。
ドガガガン!
「ピィィィィ。」
赤ちゃんは泣きながらドラゴンの頭に飛び付く。
ドラゴンはそのまま、上空に飛び上がると、山に帰っていった。
剣聖ルイや町の人々は、ドラゴンの赤ちゃんを頭に乗せて飛び立つドラゴンを目撃し、全てを悟った。
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宣伝です。すいません。
新作投稿しました。
4/22 17:00
第1話スタートしました。
気が向いたら読んでみて下さい。
タイトルは、
『Sランクパーティーに捨てられたポーターは実は最強の空間魔法使いだった。~虐げられた世界に復讐して『ざまぁ』するんだぁ!~』
URLは
https://kakuyomu.jp/works/1177354054895829006
です。
宜しくお願い致します。
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