第88話 至高の剣

Cランク冒険者のリーマバは、手首が折れた右手にポーションをかけた。


折れた右手首は回復する。


「おい、糞ガキと糞アマ覚悟しろよ!」


リーマバは剣を抜いて構えた。


リーマバの後方に、仲間と思われる冒険者達が、野営地から駆け寄って来るのが見えた。


リーマバは剣を振り上げる。


その時、リーマバの後ろにブラックジャガー獣人のノワが移動しており、右手でリーマバの首の後ろを掴み持ち上げた。


「何をしているのかなぁー。」


ノワはリーマバも首を掴んでいる右手を、そのまま上に伸ばす。


「な、何だああああ!」


後ろ首を掴まれ宙吊りになったリーマバは、足をばたつかせるが、ノワは微動だにしない。


「うぐっ、く、苦しい・・・。」


「ねぇー。タクミ様に何をしようとしたのかなぁー。」


「は、離せっ、降ろせえええ!」


リーマバは右手で剣を振り回し、ノワを斬ろうとするが、ノワはリーマバを振り回し剣を避ける。


そして、リーマバを右手で吊り上げたまま、右足でリーマバの右手を蹴り、剣は地面に落ちた。


「何をしてる!」

「俺達はCランク冒険者パーティーの『至高の剣』だ。」

「仲間のリーマバを離せ!」


リーマバの仲間の冒険者達3人が、俺達の前に来た。


面倒くさそうだなぁ。


俺は時を止めて、アイテムボックスから、雷の杖を出す。


雷の杖の雷撃でリーマバの仲間である冒険者達を気絶させた。


雷の杖をアイテムボックスに収納し、時を動かす。


「リン、此奴らを縛っておいて。」


「分かりました。」


ジャイアントハーフの聖騎士リンは、リーマバの仲間3人を縄で縛った。


「さて、リーマバ!俺に何をしようとしたのかな?」


「くそっ!礼儀知らずのガキを教育しようとしただけだ!」


「嘘だな。何か目的を持って近付いて来たはずだ。」


「目的など無い!離せ!」


ふむ。何か自白させる方法は無いかなぁ?


アイテムボックスの収納リストをみると、『真実のたが』という物を見つけた、王家の宝物庫にあった魔道具の一つだ。


孫悟空の頭にはめられた『緊箍児きんこじ』に似た形だ、頭に付ける物だろう。


嘘が言えなくなるらしい。


これだな。


俺はアイテムボックスから真実の箍を出して、リンに渡した。


「リン、この輪をリーマバの頭につけてくれ。」


「分かりました。」


俺が届かない位置にリーマバの頭があるからね。


ノワは2m弱身長があるし、リンの身長は2m超だから手を伸ばせば、箍をはめられるだろう。


リーマバもぐったりしてきてるので、抵抗もなさそうだ。


リンは真実の箍を受け取ると、リーマバの頭にはめた。


「ノワ、そいつを降ろして縛ってくれ。」


「はーい。」


ノワはぐったりしているリーマバを、地面に落とすと、仲間と同じ様に縛った。

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