第50話 レク達の仕置き

「俺が気に食わないの事が3つある。」

俺は第三王子レクに右手の指を3本立てて見せる。


「一つ、俺のツレに卑猥な事をしようとした言動だ。」


レク達はその言動を発した男を見た。

「い、如何様いかようにも処分して下さい。」


「お前の所為か!」って顔をして皆にジト目をされ、王子から処分と言われて慌てる男。


「あわわわわわ、そ、そんなつもりでは・・・。」


俺は目を細めて男を見る。


まるでゴキブリでも見るような嫌悪感の視線。


「じゃあ、死ね!」


ゴトッ!ゴロン・・・。


俺が言葉を発すると、男の首が落ちた。


「ぎゃああああああああああ!」

男の両脇にいた者は悲鳴を上げた。


背筋が凍る瞬間だ。


何が起こるか固唾を飲んで見守っていた冒険者達も、ギルドマスターのドンゴルも顔を真っ青にして怯える。


「こえええええ・・・。」

「言葉だけで首を斬ったぞ。」

「おいおい、滅多な事を言うな。」

「あわわわわわわわわ・・・。」


ヒソヒソ小声で話す冒険者達。


「神の裁きです。」

ジャイアントハーフの聖騎士リンの囁きに、うんうんと頷くブラックジャガー獣人のノワ。


俺が時を止めて、首を刈ったんだけどね。


俺は薬指を折り、立てた指を2本にした。

「次に獣人に対しての悪しき言動。」


「おお。」

獣人冒険者が小さな歓声を上げる。


「わ、分かった以後気を付ける。」


「ん?気を付けるだけ?」


「に、二度としない。」


「レクだけか?」

レクの回りの男を睨む。


「二度としません!」

男達は、一斉に声を揃えて誓った。


俺は中指を折り、立てた指を1本にした。

「最後にジャキに対する暴力。」


護衛隊長に切り飛ばされた、ジャッカル獣人のジャキを指差す。


「すまなかった。」

レクはジャキに詫びる。


「いえ俺は特には・・・。王子にお詫びされるなんて、とんでもない。」

ジャキは目を白黒していた。


「以上の事に対して、どう責任を取る?」


「へ?」

護衛が1人死んで、獣人に対する言動の宣誓をして、ジャキに詫びて終わった気でいたレク。


「おいおい、口先だけで終わった気でいるなよ!」


「は、はい。」


「補償だよ。幾ら出す?」


「は、はい。」


ごそごそ・・・。


レクは慌てて、鎧の中をまさぐり、金貨の入った袋を出す。


「て、手持ちの全財産です。こ、これで許して下さい。」


ゴクリ・・・。

生唾を飲み、緊張して袋を持つ手が震えているレク。


「先程の宣誓は破るなよ!許そう。」

俺は金貨の袋を受け取る。


「はぁ。」

ホッとして息を吐くのレク。


そして、冒険者達を振り向き金貨の袋を掲げる。


「レク王子のお詫びの金だ!今日は無礼講で飲み放題食べ放題だあああ!」


「おおおおおおおおおお!」

冒険者達は大歓声を上げ、ギルドに併設した酒場に向かった。


俺はジャキに肩を貸して起こすと、酒場のマスターに金貨の袋を渡す。


レク達は護衛隊長の看護と亡くなった兵士の遺体を片付けていた。


俺達は呆然と立ち竦むギルドマスターであるドンゴルの脇を通り過ぎ、人がいなくなった受付に行く。


「この都市のダンジョンについて、情報が欲しいのだが・・・。」


受付に冒険者証を提示した。


「い、Eランクなんですかあああ!」


受付嬢の驚きの声。

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