精神鑑定


完成しない

だから燃やしたのさ

視界の外へ行ってしまえば

それは最初から存在しなかったことと同じさ

隠蔽して

何も無かったかのように

振る舞え

おれは振り翳した凶器で相手の顔面を盛大に引き裂いた

そして窓の無い部屋で

精神鑑定医が目の前にいる

そいつの髪型が気になって仕方がなかった

だから質問にもずっと上の空だった

「はい、ありがとうございました」

動機は神様から押し付けられた箱を開けたらそこに入っていたんだよ

精神科医は深く頷いた

だがこいつの中身は空っぽなのだ

そのことにこいつ自身が全く気付いていない

人は

死ぬ

この奇妙な世界で教科書は既に意味を無くしていることに気付けよ


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