毒殺


「毒殺したいね」

わたしは呟いた

「何を?」

尋ねたのもわたしだ

わたしがわたしに答えを要求する

何もおかしいことなんてないよな

「毒殺したいね」

「だから何をさ」

お前がわたしを変質者のような眼差しで見る

だがこんなものは変質者の範疇には入らない

わたしが本物の変質者を提示してやろうか?

だが面倒くさいのでやめた

夕暮れの町は赤く染まって

子供たちがばいばいする声が遠くから聞こえて来た

「毒殺したいね」

そしてしたね

何もかも終わったね

利き腕が作業に従事するのを興味深そうにわたしは眺めていたね

明日の今頃お前の死体が発見されるのだろうね


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