鍵穴に


鍵穴に

指を突っ込んで

そしてぐりぐり回した

扉の開け方を忘れてしまった

手遅れ

その言葉が浮かんだ

でも浮かんだだけだ

そいつはけして悪さしない

扉をぶっ壊すことに決めた

暴力でしか変えることの出来ない世界もある

でもぶっ壊れたのはおれの手首の方だった

鳥籠の中の九官鳥が喚く

「オカシナ、ホウコウニ、マガッテルヨ!」

「オカシナ、ホウコウニ、マガッテルヨ!」

もちろん殺した

今はおれたちとは違う世界にいる筈だ

おれの手首は相変わらず回れ右をしてこちらを向いている

おれはこの現実を受け入れようかどうか迷っている


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