第3章

07 そのままの感情



 私は予知に頼らない。


 だって、そういうのに右往左往して、生の感情を置き去りにしたくないもの。


 本当だったらたくさん感動できたものが、「やっぱりね」で終わってしまうと損じゃない。


 だから、皆が頼っているそれに、私は頼らない。





 会社に出勤する時に、好きな音楽を聴いてのんびり電車にゆられる。

 田舎でよかった。


 満員電車にのらずにすむ。

 こういう気持ちは、予知があってもなくても、大して変わらなそうだけど。


 でも、改札を出るまえに、イケメンの駅員さんに笑顔で挨拶された。


 嬉しい。


 こういうところは、やっぱり生が一番だよね。


 予知で嬉しい事があるかも、なんて思っているより、思いがけず嬉しい事があった方が、より嬉しい。


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