警告
「どうぞ、上がってください」
レオとリリエルちゃんの戦いの後、俺は、その場にいた人達を家に招待した。どこか落ち着けるお店でも良かったのだが、話す内容もちょっと特殊で、聞かせえられる内容でもない、と思ったからだ。
「さて、3人とも聞きたい事はあると思いますが、俺から先に質問させてください。ローザさんと、リリエルちゃんは、どうして王都に居るの?」
俺に名前を呼ばれた瞬間、リリエルちゃんがビクッと震える。物凄く怖がられてしまった。始めの威勢はどこに行ったのやら...
リリエルちゃんは、俺の半分の実力を見ただけで、泡を噴いて気絶した。その結果、力の強大さを恐れているらしい。
「あ~、私達は、ただシオン君を見に来ただけなんだ、ルリの婚約者がいったいどんな子なのか気になってな」
「そ、そうなんです」
リリエルちゃんに比べ、ローザさんは、立ち直りが早かった。内心では、なにを考えてるか分からないが、普通に気さくに接してくれるし、リリエルちゃんほど変化はない。
「そうでしたか、どうですか?2人から見て俺は、ルリに相応しくなかったりしますか?」
少し冗談めかしに聞くと、2人して直ぐに首を振った。リリエルちゃんなんて面白いぐらい首を動かしながら。
「いや、シオン君は、ルリとお似合いだと思うよ。でもさっきのを見せられたら、母上の言い分も分かるな」
「アイラさん、何か言ってたんですか?」
「あぁ、実はな...」
そこで俺は、前回ルリが魔族の土地に戻った理由を知った。最近やけに鍛錬に気合が入ってる理由が明確になった。少しばかり俺から避けてる理由が予想できた。ルリは俺に対して負い目を感じてる。
「それで、シオン君から見て、ルリが新人戦で優勝できる確立は、どれくらいだ?」
「俺から見れば、ほぼ間違いなく優勝できると思うんですけどね、実際俺らの年齢で、あそこまで力を持ってるのは、いないと思いますし」
「そっか...それなら安心だな。ルリの事よろしく頼んだぞ、
「わ、私からも、お姉様の事よろしくお願いします」
2人から、お願いされなくても、ルリを大事にするつもりだが、ルリの姉妹に認められたって言うのは嬉しい事だった。
ここで話し合いが終れば綺麗に終わるのだが、もう1人残っている。幼女の見た目の神、ユウリ。
「あ、そっちの話しは、終ったっぽいし、今度は私がシオン君に質問するよ。まぁ本来は他者に聞かれるとまずいけど、魔王の血筋だから問題ないって事で」
流石にノリが軽すぎると思ったが、あえて突っ込まない。突っ込むと面倒くさくなるから。
「私が聞きたいのはね、ズバリどんな神と契約したかって事、あれほどの力、そこら辺と契約しても得られないし、だからと言って、2つ名のない神で、私と並ぶ神なんてほとんどいないし。いったい誰なの?」
早口で、まくし立てる様に質問してくる姿に、俺達は圧倒されてしまう。でもどうするか、流石に正直に答えるわけにもいかないし。
『別に話しても、よいぞ』
「え?」
「どうしたの、シオン君?」
俺がいきなり声を出したから、一斉にして視線が集まる。焦りながらも、何事もないように誤魔化しつつも、ドゥエサスと〈テレパシー〉をする。
『本当にいいのか?下位と言っても、一応は神なんだよ?』
『だからこそじゃ、この世界にいる神で、わしの名前を知らぬ神はおらん、そしてそこの神は、下位の神の中では、そこそこ強い神なんじゃろう。その神が警戒する者に、ちょっかいかけようとする者など、居らんじゃろう。だからこそ話してもいいのじゃ』
『わかった』
そこで改めて、神ユウリのほうを向き直る。ユウリの方も早く早くと、急かすような視線を送ってくる
「先に言っときますが、俺は契約してません。力を貰っただけです。その神の名前は、ドゥエサスです」
「え...ドゥ、エサス?」
名前を聞いた途端、口を開け固まってしまった。まぁ最高神の名前を聞けば、いくら神でも下位の神でもこうなるのは、仕方ないか。
「なぁ、シオン君、ドゥエサスって神は凄い神なのか?」
「神の中では、一番偉い神らしいですよ」
「な!」
流石のローザさんもこれには驚きらしい。声に出しては、ないけどリリエルちゃんも驚いている。そして今まで固まっていたユウリが急に動きだしたと思ったら。方膝をつき頭を下げた。
「すいませんでした。まさかドゥエサス様の使いとは知らずに、無礼な口をききました」
今日何度目か分からないが、いきなりの行動に全員が呆然となる。
結局その後、謝罪し続けるユウリを止めたり、魔王一家の話を聞いたりと、皆が帰ってくるまで家の中がお祭り状態だった。
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