学園行事、合宿!!

俺達が通ってる学園には長期休み中に、合宿が行われる。

元の世界風にいうなら、修学旅行ってやつだ。


「それじゃあ、母さん行って来るね。父さんにも後で言っといて」


「行ってらっしゃい、何もないとは思うけど、無事帰ってきてね」


「ママ、大丈夫よ。何かあったって、シオンにぃとルーちゃんが居れば大抵なんとかなるわ」


「そうだね~兄さん達が居れば安心だね~」


こうして、俺達は母さんに見送られながら、学園に向かった。毎度の事だが、朝が早いので父さんはまだ寝てる。だから俺達を見送る時もいないのだ。


「そう言えば、キャロはいつからルリの事をルーちゃんって呼んでるんだ?」


「ん~、いつからか覚えてないわ」


「確か、私とキャロちゃんとシャロちゃんの3人で、お買い物行った辺りからだから、割と最近だよ」


最近の事なら、きっとキャロも覚えているのに何故分からないといったのか?もしかしたら、ちょっと照れてるのかも。だが「照れ隠しでとぼけたな」とか言ったら。拳が飛んでくるので、心の中にしまっておいた。




「シオン達、遅いぞ」


学園に着くとすでにSクラスの皆は集まっていて。俺達が一番最後だった。皆今日からの合宿を楽しみしてるのか、若干浮ついてる感じがする。まぁ俺も楽しみではあるが、この合宿では得られるものが少ないと思ってるせいか、皆よりは落ち着いている。


「ところで、フォルテ先生は?」


「さぁ、まだ来てないな」


辺りを見回すが、フォルテ先生はどこにも居なかった。

しばらくして、猛ダッシュでフォルテ先生がやってくる。だが先生は髪がぼさぼさで、服も乱れてる。それを見てみんなが絶対寝起きだと確信した。


「皆さん、遅れてごめんね。いやぁ合宿が楽しみすぎて、昨日はなかなか眠れなかったよ」


「子供か」×10


見事なまでに皆のツッコミが重なった。俺達生徒よりも楽しみにしてる先生って...

そんな、浮ついてる先生が髪を整えながら俺達に今日の説明をし始めた。


「えぇー、とりあえず今日からの事を説明しますね。皆さんには今日から2泊3日で合宿をしてもらいます。皆さんには移動装置テレポーターでズイーゲルと言う森に行ってもらいます。そこには学園の管理する施設があり、そこで基本的には過ごしてもらいます。今のところ質問はありますか?」


ここまでは分かりやすく、質問もない。そもそもある程度、下調べもしてるので基本的な事は皆分かってはいる。それでも先生が説明するのは、最終確認のためだろう。


「では、続けますね。基本的にSクラスの皆は他のクラス子とは別行動です。森の探索中に困ってる生徒を見つけて助けるのは構いませんが、問題は起こさないように。それと今回の合宿中は皆で話し合って、全員で行動するか各自で行動するかは任せます。本来パーティー人数は4人までと決まってますが、合宿なのでその制限は設けません。質問ある人いますか?」


一旦、間をおき、周りを見る先生。そして質問がないことを確認すると話を続けた。


「では、予定の確認です。このクラスは学園公認で優秀クラスと認定されてるので合宿中のノルマはありません。門限が夕方ぐらいまでなので、それまでは自由行動です。帰ってきた際に、倒した魔物や採取したものの報告だけしてください。」


俺達以外のクラスは、この合宿中にノルマがある。それは各クラスによる難易度でクラス全体そして個人が確実に強くなるために作られた。カリキュラムである。


「最後に注意事項です、森はかなり広く、そしてかなり深くなっています。奥に進めば進むほど、魔物は強力になり。また森自体が現在地などを分からなくさせる、魔法を使ってきます。だから何かあると思ったら即撤退してください」


俺達が行くズイーゲルと言う森は、古代森林に比べれば規模は小さいがそれなりに有名な森でもある。この時期以外は、新人冒険者からベテラン冒険者までが利用する。いい狩り場だったりもする。

そして一説だが、森の最深部にはかなり凶悪な魔物が存在するらしい。どうせなら今回の目標は、その魔物の討伐にするのもいいかもしれない。


「では皆さん、移動装置テレポーターに集まってください。それでは行きますよ」


そして次の瞬間には景色は一転した。周りを見渡せば自然に囲まれていて。思わず驚嘆してしまう位美しい景色が、広がっていた。


「では皆さん、とりあえず施設の案内をしますね」


現在地から少し歩くと、学園よりは小さいが立派な建物がある。そこには、すでに俺達以外の生徒が集まって。先生の指導を受けていた。

施設に入る前にある先生がこちらに向かってくる。


「みんなおはよう、長期休みに入ってから会うのは、初めてだな!ようこそズイーゲルの森へ。何か困ったことがあれば俺達教員に頼ればいい!それでは俺は会議があるので失礼するぞ。良い合宿生活を!!」


颯爽と現れて、颯爽と去っていくバッカス先生。何でもSクラスをフォルテ先生が見てくれるから。今はクラス副担任に回り、学園全体のサポートをしてるらしい。


「では皆さん、各自の部屋の鍵を渡すので、荷物を置いて、外のこの広場に再集合です」


そう言って、俺達は各自部屋の鍵を渡される。俺達は特に手荷物を持っていないが、ベルとかは大荷物を持ってたりする。まじで〈ディメンションバック〉が有能すぎる。


一応部屋の点検などもあるので、各自部屋に行くのだった。










~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


フォルテ「バッカス先生、遅れて申し訳ない」


バッカス「いや、遅れるのはいいんだが、せめて服は整えろ。子供の教育に悪いから」


フォルテ「??、、、~~~~~!!」

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