ルリの寝姿は美しかったです。

不思議な香りがした、なんて言えばいいかわからないが、とにかくいい香りがした。

その香りの正体を確かめるべく、重いまぶたをゆっくり開ける。そして視界に入ってきたのは、思わず、

「綺麗だな」と言ってしまうぐらい、長くて綺麗な銀髪だった。


・・・ん、なんで自室で銀髪なんて見れるんだ?


俺は目を見開いた、なぜか俺のベットにスヤスヤ寝息をたてて、寝ているルリの姿があった。

ルリは昨日からうちに居候していて、確か夜に少し話した後、ルリも自室に戻ったはずだが...ルリの腰の辺りから尻尾らしきものがゆらゆら動いていてそれを見てたらなんかどうでもよくなってしまった。

少しの間見つめていたが、朝の鍛錬もあるので俺は着替えて、起こさないように外に出た。




朝の鍛錬も終わり部屋に戻ろうとする時、朝食を作ってる母さんに呼び止められた


「おはようシオン、悪いんだけどルリちゃん起こしてきてちょうだい」


「おはよう母さん、部屋戻るから起こしてくるよ、ところでルリ以外のみんなは?」


「フィン以外は起きてリビングに来たから大丈夫よ」


「はーい」


母さんとの会話を済ませ自室に戻る、中に入るとまだルリは寝ていた。

(朝のは幻覚じゃなかったんだ)

とりあえず今日から学園なので制服に着替える。途中でベットのほうから「うぅ~」と言う、なんとも可愛らしい呻き声が聞こえた。


「?あれ、ここどこ?」


「あ、ルリおはよう今日から学校だし、顔洗って制服に着替えてくれば?」


「え、おは、よう?なんで私、自室で寝てたはず、ここシオンのへ、や...」


ルリはキョロキョロ周りを見渡しながらようやく自分がどうゆう状況か理解したらしい、そこからの行動はまさに俊足だった、「ごめんなさーい」と顔を赤くして叫びながら部屋を飛び出るルリ。

その声につられて何事かと、見に来る妹二人。


「シオンにぃ、何があったの?!」


「なんか、ルリちゃんの悲鳴が聞こえたんだけど~」


「二人ともおはよう、まぁ何があったかは朝食の時にでも話すよ」


「「??」」


その後、全員リビングに集まり朝食をとり始めた。


「さっきはお騒がせしてすいませんでした」


「ルリちゃん、下まで聞こえたけど何があったの?」


俺とルリは顔を見合わせ朝の事を全員に説明した。


「アッハッハ、なんだそういうことね、私心配しちゃったわ」


「ほんとに、すいません」


「別に、謝る事じゃないけどルリちゃんって意外と大胆ね。フフ」


何もないことがわかった途端。ルリをいじる母さん、いじられ小動物みたいに丸々り赤面するルリ。ちょっとかわいい。


「そんな事より、ルリちゃん制服に合っているわね」


「そうだね~私達より断然似合ってるよ~」


「あ、ありがとう、でも二人もとっても似合っているよ」


最高のタイミングで話題を変えるキャロ、その話題を繋げようとするシャロ姉妹プレー、流石!

そうして朝食も終え、四人でしたくして学校へ向かう。


「じゃ、四人とも気をつけてね、ほらフィン寝ぼけてないであなたも何か言ったあげなさい」


「いってらっしゃーい」


母さんと寝ぼけている父さんに見送られ俺達は学校に向かった。


「ねぇ、私角とか見えてないよね?」


「大丈夫だよルリちゃん、見えてないよ~」


ルリは行く途中、常に自分の容姿を気にしていた、やはりばれるのを恐れているのだろう。


「大丈夫だよ、仮にばれても守るから」


「そうよ、私達がいれば何も怖い事はないわ」


「う、うん、ありがとう」


ルリは少し頬を赤らめ、俯きながら歩いた。

物凄くかわいかったです!!


そうこうしてるうちに学園に着いた。校舎前にはすでに学生が大勢いて、みんな入り口前に張り出されたクラスわけの用紙を見ている、まぁ俺達はすでにSクラスが確定してるので見る必要もないが、なんとなく見てしまう。すると突然後ろから声をかけられた。


「そこの銀髪の娘こちらを向け」


「へ、」


別に俺達が呼ばれたわけじゃないだろうが自然と振り返ってしまう。

そこには、いかにも貴族っぽいアクセサリーをつけた男がいた、そいつはいきなりルリの手をとり「うつくしい」などと言い始めた。

何かを感じたのか、キャロとシャロは俺の後ろに隠れ汚物でも見るような目で男を見ていた。


「銀髪の娘、貴様をこのSクラス10番で貴族のノア様の嫁にしてやろう、感謝したまえ」


・・・何ほざいてんだこいつ?


フッと我に返ったルリはそれを丁寧にお断りしていた。


「すいません、私はそういうのになる気はないので、あの、手を離してください」


「なぁ!貴様庶民の分際で私に逆らうと言うのか」


周囲の人間も何事かとこちらを見ている。

余りにも酷く見てられなくなった俺はついに声をかけてしまった。


「なぁ、その辺にしといたほうがいいんじゃないか、貴族様」


「なんだ貴様、貴様になど話していない、だが後ろにいる女はかわいいなその二人を置いて野郎はうせろ」


ブチ


なにかが切れる音がした、何が切れたのかわからないがとりあえず切れた。

俺はルリの腕を掴むやつの手を弾きルリを奴から離れさせた。


「どうやら、私が視界に移っていると気分を害すようなのでこの場から離れますね」


最大級の笑顔で言ってやった。ノアとか言う貴族は唖然としてたがすぐに俺の肩を掴んできた。


「貴様!無礼だぞ、何も知らぬような田舎者には罰を下さねばな、貴様に決闘を申し込む負けたらこの学園を退学してもらう」


「いいぜ受けてやる!俺が勝ったらルリたちに土下座してもらうぜ!」


俺と貴族の間でバチバチの火花が飛び交う。

今にもお互い何か仕掛けようとした時にどこからともなく女性の声が聞こえる。


「ちょーーと待った!!」


その女性が俺達の間に割って入ってくる。赤い髪が特徴的な女性で俺達二人を交互に見て、回りの生徒にも聞こえるくらいな大きな声で話しかけてきた。


「よく聞きなさい、私はフォルテ今年からこの学園の先生になる者よ、そして二人の話は聞いていたわ決闘に関して、私の名の元に決闘を認めるわ、先生である私が承認になった事で決闘が正式なものになる、だからまた後で授業が終った後に訓練場に来なさい。改めてルールなどを決めて決闘をするわよ」


フォルテと名乗る先生にいろいろ決められてしまった。とりあえずあの貴族との決闘は少しの間お預けになってしまったようだ。まぁ授業後に思う存分できるからいいけど。


「とりあえず、解散各自の教室に行きなさい、決闘が見に来たいものは放課後訓練場に来ること、以上解散」


フォルテさんの掛け声でみんな各自の教室に向かう、ノアもぶつぶつ言いながら校舎に入っていった。


「シオン、私のせいで変な事に巻き込んでごめんね」


「気にするなるルリ、それよりフォルテさん止めてもらいありがとうございます。」


「いいのいいの、私も教師としてやるべき事やっただけだし、それより、そこの二人」


フォルテさんはキャロとシャロを指差した。二人も今まで俺の後ろにいたが横に来て頭を下げる。


「フォルテさん昨日ぶりです」


「まさか、フォルテさんが先生だったなんて~」


「ええ、昨日ぶりね、それとお爺ちゃんもここの先生よ」


「そうだったんですか?!」


「早く会いたいな~」


凄く親しげに話している三人俺とルリは置いてきぼりだった。その後キャロたちがどういう関係か教えてくれた。


五人で校内に入り途中でフォルテさんと別れ、俺達は特別クラスSクラスに向かう。


Sクラスは特別、能力の高い生徒や筆記試験、実技試験の得点の高かった者たちが入れる、いわばエリート達だ。その人数は12人しかいなく学園のみんながこの教室に入れるように努力する。学園で毎月に一度評価見直しが来て、得点が現段階のSランクの人間よりも高く先生達が認めると入れ変え、なども起こったりする、だからSランクの人間は一般生とよりも何倍も努力する。とパンフレットに書いていた。


少し緊張していてみんなで顔を見合わせ、俺が代表して扉を開ける、すると中には、朝もめた貴族が座っていた。

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