佐森君の遊雅なおまけ

 異質な天才。それが、佐森君だ。

 「ZZZZZZ……」

 この様に現在も進行形で、授業中ほぼ寝ている。起きる時は、先生から当てられた時と授業の始業と終業の時だけだ。

 「佐森! 3√5×tan(2.01+20log(√3×9.05−√0.01の解を答えろ」

 寝ていても数学の問題を当ててしまう。

 「5.9533785573424……です。半永久的に続くのでこの位で」

 よく分からない変なものを出題されても。

 「佐森! 英語で自己紹介しろ、流暢にな!」

 「Hi, I'm Samori. I love candy and often go to this stores. I also like to sleep. My life is very fulfilling and very happy now. Thanks.

 (うっす、佐森です。私は駄菓子が大好きで、よくその店に行きます。後は、寝ることも好きです。今はとても充実していて幸せです。どーもー)」

 無茶振りをされても。

 「歴代アメリカ大統領の名前を答えろ!」

 「ジョージ・ワシントン→ジョン・アダムズ→トーマス・ジェファーソン→ジェームズ・マディソン→ジェームズ・モンロー→ジョン・クィンシー・アダムズ→アンドリュー・ジャクソン→マーティン・ヴァン・ビューレン―――」

 彼にとっては、全て朝飯前なのだ。


 極めつけは、佐森君が幼稚園児の頃のことだ。とあるファストフード店に、家族で入った。註文の品ができるまで近くのソファーで待っていると、後ろでは高校生らしき人が勉強をしていた。すると、彼は後ろからこう言った。

 『そのこーしきつかうと、けーさんとけないよ。そこのきょーかしょにのってるやつみるなら、③ってあるよこのこーしきをつかわないと』

 しまいには、できあがるまで直々に問題の解党と解説をしてしまう始末だった。

 『す、すみません! ウチの子がつい』

 『でもでもおかーさん、まだこのおにーちゃんに、すーがくのもんだいのかいせつができてないんだけど』

 『迷惑かかるでしょ、早く帰るわよ!』

 もうこれは園児の放つ台詞ではない。

 今となれば、それも十年くらい昔の話になる。


 そんな佐森君は今も、

 「zzzzzz、あーあーはい。セメント町にアピールした狭山ヶ丘さやまがおか部屋の和屋敷わやしきみちしたがセンター試験に合格したんだよな……ZZZZZZ」

 先生の指導もむなしく、夢の中だった。

 「佐森起きろこら―――!!」

 「ZZzzZZzzZZzz……サイコ~」

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