落ち着くところは変わりはしない


 一人の男が、

「女神さまは当初、蓬莱とはかかわりを持たれたくないとおっしゃられていたとか、なぜ我等を?」

「私がスケベだからでしょうね、蓬莱の女を一杯もらいましたからね、乗り逃げはやはりね」


「では蓬莱の女を抱いたからと?」

「恥ずかしながら、宇宙一の女好きですから、まぁこれ以上は聞かないでくださいな、とにかく女を頂いた以上蓬莱を歓迎するしかないのです」


「ここに皆さんを招待したのがその証です、ただ私たちの力も承知して下さいね、正直なところ、脅しもあるのですよ、ただそんなことはしたくはない、だから出処進退を間違わないでくださいね」


 このような会話でしたが、大司教区政府の代表者は納得したようですね、こう言いました。

「先ごろ協定文書にご署名頂き、このたびは蓬莱ステーションに招待していただきました」

「少なくとも我々は女神様に従います」


「ありがとうございます、私からお礼に、次の言葉を送りましょう」


「良くおいで下さりました、歓迎致します、そして自らヴィーナス・ネットワークの扉を開いてください、優秀な人員を送り込み、蓬莱の存在感を高めてください」


 こうして蓬莱ステーションの公開は終わりました。

 この時、秘密協定が交わされました。

 蓬莱にいまだ残っている、広域暴力組織の殲滅の話です。

 来年の四月一日までに、女神の組織が人知れず殲滅する。


 美子は秘密協定に署名しました。

 そしていわくつきの猫を、すぐに呼び寄せたのです。

 

「ねえスピンクス、忙しいでしょうが、蓬莱の為にひと肌脱いでよ」

「もう、忙しいのに!じゃあ私のお願いも聞いてくれますか?」

「なあに?」


「私、今は惑星バステトの執政官です、ご存知でしょう?」

「で、惑星バステトの女、つまりネコ科哺乳類の、進化生物の女を、幾人か寵妃候補に、できたら格子にしていただきたい」

「ネコ耳に尻尾がある女って、抱いてみたいでしょう?」


「……」


「勿論可愛いですよ、正真正銘のペットにされればいかが?」


「スピンクス!」


「そんなに怒らないでくださいよ、でもどうされます、えっ、仕方ない、やっぱり好きですね!」

 

 美子さん、なんとか『格子』にとのスピンクスの要求を、『采女』で妥協させました。

 スピンクス、大司教区政府がリストアップした構成員を、万単位で太陽に放り込みました、まぁ即死ですね。


 二日で処理したスピンクス、何事もなく惑星バステトへ戻って行きました。


 後でこの話を耳に挟んだ茜さんが、

「何のかんのと云って、猫娘と蓬莱娘を頂くのね、お盛んですね、やはり落ち着くところに落ち着くわけね、このスケベ」

 と、美子をあざ笑っていました。


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