解答編3

 D. 80年増加


 学校を卒業し、就職に失敗してから、かずとくんの主観では既に死んだも同然の日々を送っていました。

 そんな彼の人生を変えたのがこの仕事です。寝転がってゲームをしているだけでお金が貰える。完全没入型のVRマシンは栄養補給や排泄処理も自動で行ってくれるため、勤務時間中はずっとゲームだけに没頭できます。ゲーム内で会う同僚とは、似たような立場や状況から共感が生まれ、友人になることも出来ました。一般プレイヤーより遥かに長い接続時間、そして「仕事としてゲームをプレイしている」という意識から、かずとくんはゲーム内で大いに活躍し、NPCとの交流も深めます。「あなたは多分、人に優しすぎるんだよ。もっと自分にも優しくしてあげて」――NPCから言われた言葉は、子供の頃、親に言われたのとよく似た物でした。それを機に、かずとくんは実家を出てからずっと疎遠だった家族とも連絡を取るようになります。

 元々死んだも同然だったかずとくんが、己の人生をその手に取り戻せた形になりますので、合計80年の寿命から元の寿命0年を引き、80年の増加です。

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