よろしい、ならば分析だ。(作者同士のネットワーク編その2)
英雄『
それは、敵を透視して得られるステータスから
しかし、英雄タケルにとってこれは重要なスキル。何せ、敵は悪の十二神将ならぬ百五十八神将。彼らに連携されては、いくら英雄といえども数の暴力で圧殺されるのは目に見えている。
百五十八神将の弱点を探るべく、タケルは『Webスクレイピング』の能力を発動して彼らの友好関係を取得したのだが……。
――――――――――――――――
「あ、その冒頭部分は続けるのね」
「うん。最近ようやく重い腰を上げて、ファンタジー系のアニメを見始めてね。その影響さ」
俺の名前は草薙タケル。『慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~』が思いのほか面白く、続いて現在『ゴブリンスレイヤー』を視聴中の厨二病である。後で原作読んでみるか。
そして、俺の隣にいるのは幼なじみの
「それで、前回見せてもらった図の説明を早くしてよ」
「分かった分かった。待たせて悪かったな。まず、図のアドレスを再掲しておくぞ」
https://pbs.twimg.com/media/ERIheBiUUAI35yP?format=jpg&name=4096x4096
(ツイート本体:https://twitter.com/t_kusanagi/status/1230082456709038080)
百五十八名のフォロー・フォロワーネットワークを作成しました。色分け(
――――――――――――――――
水色 :現代ドラマ (19.11%)
ピンク :エッセイ・ノンフィクション (17.20%)
肌色 :詩・童話・その他 (16.56%)
赤色 :異世界ファンタジー (13.38%)
薄緑色 :恋愛 (10.83%)
オレンジ:現代ファンタジー (7.64%)
黄色 :SF (4.46%)
濃緑色 :ラブコメ (3.82%)
茶色 :ミステリー (2.55%)
青色 :ホラー (1.27%)
薄灰色 :二次創作:けものフレンズ (1.27%)
灰色 :歴史・時代・伝奇 (1.27%)
黒色 :創作論・評論 (0.64%)
――――――――――――――――
「ここに書いてある数字って、もしかして自主企画の参加者がどんなジャンルの小説を書いているかを調べてたの?」
「その通り。総数百五十八名に対するそのジャンルの書き手の割合を表している。だが、注意点がある」
「なに?」
「初期五十質問の第三問目に『3 どんな作品を書いていますか?』があるんだが、そこは一切考慮していない」
「え、どうして?」
「まず、ここには複数のジャンルが書かれている場合が多かった。俺の主観で一つに絞っても良かったんだが、いかんせん基準が難しい」
「うーん、百五十八名分をマンパワーで分類するのも大変そうだしね」
「と言うことで、せっかくWebスクレイピング――ウェブスクが使えるんだから、もっとシステマティックにやってみたぞ」
「お、そんなところまでプログラムに任せられるんだ。具体的にはどうするの?」
「前回紹介したように、ユーザーのプロフィールからは『投稿した小説の個別情報』が最大十二個取得できるんだ。その情報から最大十二個分のジャンルを集計し、最も多いジャンルをその人の代表的なジャンルとしてラベルした」
「なるほど。あそこは更新順に並んでるし、丁度よさそうね。あれ、でも『恋愛』の小説数が三、『ラブコメ』の小説数も三で数が同じだった! みたいな場合ってどうしたの?」
「その場合、以下のように優先順位をつけて――
1. 異世界ファンタジー
2. 現代ファンタジー
3. SF
4. 恋愛
5. ラブコメ
6. 現代ドラマ
7. ホラー
8. ミステリー
9. エッセイ・ノンフィクション
10. 歴史・時代・伝奇
11. 創作論・評論
12. 詩・童話・その他
13. その他二次創作
――優先順位が高い方をその人のジャンルとした」
「13 以外は公式ホームページの並び順ね」
「その通りだ。だから、不本意な分類をされた人も中にはいるかもしれない。この場を借りてお詫びします」
「ごめんなさい」
「折角だからネットワークの本題に入る前にジャンルの考察をしておこうか」
「お願いします!」
「さて、ここに同じアルゴリズムで取得した八万五千百四十二人分のデータがある」
「…………ん? 私の聞き間違い、いや、読み間違いかな?」
「漢字だと読みにくかったか。85142人分のデータだ」
「いや、意味分かんない! 八万人!?」
「おう。データ収集に約二十三時間かかった」
「プログラムでそれだけ時間かかるって、まじでか……。てっきり百五十八名分のデータしか採ってないのかと思ってた……」
「だって、比較するデータがないと考察する意味ないじゃん。現代ドラマの書き手が多いですね。へぇ~……で終わってしまう。悲しい!」
「最早狂気の域……」
「ということで、85142人の中から上の凡例で登場した十三のジャンルをメインにしているユーザーだけを抽出して、ランキングにまとめたぞ。はい、ドンッ!」
順位 :ジャンル名 (全体のシェア→自主企画参加者のシェア(順位))
――――――――――――――――
一位 :異世界ファンタジー (31.57% → 13.38%(四位↓))
二位 :現代ファンタジー (14.57% → 7.64%(六位↓))
三位 :現代ドラマ (11.18% → 13.38%(一位↑))
四位 :恋愛 (10.42% → 10.83%(五位↑))
五位 :SF (8.33% → 4.46%(七位↓))
六位 :ラブコメ (6.46% → 3.82%(八位↓))
七位 :詩・童話・その他 (5.95% → 16.56%(三位↑))
八位 :エッセイ・ノンフィクション (3.66% → 17.20%(二位↑))
九位 :ホラー (2.78% → 1.27%(十位↓))
十位 :ミステリー (1.86% → 2.55%(九位↑))
十一位:歴史・時代・伝奇 (1.63% → 1.27%(十二位↓)
十二位:二次創作:けものフレンズ (1.15% → 1.27%(十一位↑))
十三位:創作論・評論 (0.46% → 0.64%(十三位))
――――――――――――――――
(注:パーセントの分母は85142人ではありません。念のため)
「予想はしてたけど、圧倒的に異世界ファンタジーを代表としているユーザーが多いわね」
「カクヨムもどんどんなろう化してるってことだな。これが時代の流れって奴だろう。
上の表を見ると、異世界ファンタジー、現代ファンタジー、SF、そしてラブコメが軒並み半減。現代ドラマはパーセントがあまり変動してないけど元々の母数が多いため一位を確保。エッセイ・ノンフィクションと詩・童話・その他がこの自主企画に滅茶苦茶引き寄せられているのは、一目瞭然だな」
「うーん、異世界ファンタジーを書いている人たちは、自分をさらけ出したくないということかしら」
「どうだろうね。一つの考え方として、自分の作品のイメージを壊したくないから参加しないっていうのはあるだろう」
「確かに。作品は自分を写す鏡だって言う人もいるけど、自分と真逆という可能性もあるわね」
「その点、エッセイ・ノンフィクションなんかは素の自分をそのまま作品に出しているから、この自主企画に参加することはある意味自然なことかもしれない。自分をさらけ出すことに対しての抵抗感が低いんだと思う」
「あと、創作論・評論よりもけもフレの二次創作の方が多いってのが、なんかツボだわ」
「すごーい! きみは小説が得意なフレンズなんだね!」
「……けもフレ二次創作コミュニティから怒られない? 大丈夫?」
「さて、どうだったかな。ケイコちゃん」
「え? ここで終わり!? ネットワークの説明は!?」
「うーん、やっぱりトピックはまとめて説明した方がいいと思うんだ。すでに三千字超えてるしね。今から説明を始めると軽く六千字はいきそうなんで、一旦休憩しよう」
「ニンジンを目の前にぶら下げられた馬っていうのは、こういう気分なのかしら……」
「ごめんよ、次はちゃんと本題に入るから」
「ところでタケル君」
「なに?」
「何か企んでるでしょ」
ドキッ。
「な、なんのことかな?」
「しらばっくれても無駄よ。85142人分のデータ、採ったんだよね」
「うっ」
「何をやらかす気?」
「……85142人のうち、どれくらいが読み専なのかとか、ネットワークの特徴とか、カクヨムのユーザー数成長曲線とか、そんなエッセイを新作として出そうと思ってます!」
「あらー、ついに自主企画を飛び出しちゃった」
「うん、折角データ採れたしちょっと書いてみようかなと」
「ということで皆さん、興味があればそちらも是非! タケル君をフォローすれば新作通知が行くので、読み逃したくない方は今すぐフォロー!」
「なんでケイコちゃんが言うんだよ!」
「あら、いいじゃない。宣伝に協力してあげたんだから感謝しなさい」
「……ありがとう」
「素直でよろしいっ。では、次回をお楽しみに。さようなら~!」
「いつの間にかテレビ番組みたいになってるぞ、この小説!?」
――――――――――――――――
次回予告
英雄タケルに、新たな能力『グラフ理論』が発現。ついに百五十八神将の弱点が明らかに……!?
(続く!)
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