影とロボ男

日南田 ウヲ

第1話

(1)


 黒い手がにゅうと伸びて砂の中から鉄の塊を取り出すと、付着していた砂がパラパラと音を立て落ちてゆき、砂で隠れていた鉄の塊が姿を現した。

 砂の中から取り出した鉄の塊、それは手が四本有るロボットだった。

 ロボットを宙づりにしたまま、黒い顔が首を伸ばして背面を見る。

 そこに金属製のプレートが見えた。

 黒い顔がプレートを覗き込み、数秒停止する。


 ――シマノエレクトロニクス社製、農業用ロボット(種苗植え専用)


「なんじゃい!農業用ロボかよ!!歩行ロボじゃねえのか!」


 落胆した声で手を離すとロボットが砂の上に落ちて横に転がった。

 ロボットは逆円錐状のボディの下部に丸形のボールが取り付けられており、ボディからは四つの手が伸びている。逆円錐のトップ部分には半円状の頭が付いていて、その頭部に沿って360度ディスプレイがあり、それが今の落下の衝撃の為か、光り輝き動き出した。


「ん??何だ、こいつ起動したのか?」

 

 ディスプレイに“GD、HVN”の文字が浮かび、続いてデジタル音声が流れる。


 #Good morning, Have a nice day


 それから小さな音がしてモーターが動く音がした。

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