Killer:A

坂口航

プロローグ

 ――化物とは何か。真面目に考えると案外分からなくなるものだ。

 人間に害をなすのが化物のなら蚊だって化物だし、人間以上の力を持っているのが化物のならほとんどの動物が化物になる。

 なんなら人間の中からも化物は生まれる。結局何が化物でそうじゃないかなど定義できないと言うことだ。

 もし絶対に化物の定義を明らかにしなければならないと言うのなら――


「コロ、コ、ブッコロロ……テメをブッコロロロス」

「こちら一条。現在『のっぺらぼう』と接触中、一体倒したけど他にも複数体いたので応援を求む」 


 人気のない路地裏で、牙の生えた胃袋を口から捻り出したおんなじ顔のサラリーマンや女子高生たちが並んで俺を睨み付ける。

 近くで同じ顔の小学生が胃袋を口から垂らしながら下半身を吹き飛ばされた状態で転がっている。


 ――もし定義をハッキリさせると言うのなら、間違いなく目の前にいるコイツらに違いない。

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