第15話黒い鶏
確かお兄ちゃんが中学校に居たので、小学校低学年の話である。私の小学校には当時、飼育小屋というものがあって、その中にはウサギ、鶏の姿があった。もう一匹、大きな生き物を実は飼っていたのだけれど、それについては伏せておこうと思う。
飼育小屋は動物と触れ合える楽しい場所であった反面、少し、闇の深さを感じる場所でもあった。ウサギが穴掘りし過ぎて校庭に脱走していたはまだ可愛いけど、たまに一晩でイタチが全力で穴掘りをして、小屋の動物たちを狩り殺していることがあった。
当時はどれくらい危ない事なのか分からなかったけど、飼育小屋の「鍵」が壊されて、動物達が殺されてる事があった。動物が死ぬと警察が来るんだぁ…って感想だったけど、ヤバい奴が学校の近くにいたって証拠だから、そりゃ警察も来るよねって話。
色々あって頑丈な飼育小屋になって、殺戮現場になる事もそうなくなって来たある日、用務員さんが黒い鶏を飼育小屋の仲間に入れてました。そいつは他の鶏よりも元気で、活発的な奴でした。校庭に出る度にとにかく咆哮を上げてる様な奴でした。だけど、そいつを入れた日からまた殺戮が起きるようになりました。何匹かは生きているけど、所々ケガをしていてその鶏だけが無傷でした。
用務員さんは「お前だけは無事で良かった。」と喜び。男の子達は「こいつが追っ払ったんだ!すげえ!」と燥いでいました。だけど、次の日になると更に殺されていたりケガをしている状態でした。用務員さんは何か違和感を感じていましたが、その時は分からず、男の子達は「無敵」とあだ名を付けていました。だけどまた次の日を迎えると黒い鶏以外が殺されていました。流石に大人も子供達もおかしいとなり気味悪がりました。そして、4日目…黒い鶏もやられるのではないかと噂になっていましたが黒い鶏だけはピンピンとしていました。
結論として、連日の殺戮事件。どうやらこの黒い鶏が起こしていることが分かりました。推理として、黒い鶏を入れたその日から起きた。見逃していたけど、外部からの侵入の形跡が一切なかったこと。そして一番の原因として、こいつが実は軍鶏だったことです。軍鶏は闘鶏というものが行われるくらいに獰猛な鶏で、どんな相手にも容赦なく立ち向かっていき、最悪殺す程の鶏です。飼育小屋のウサギや鶏は大人しい生き物ばかりでした。だから軍鶏にとって見れば、金網デスマッチでしかなかったのです。
知らずとはいえ、持ち込んで来てしまった用務員さんは責任を感じてしまい、辞めようとしましたが校長先生の説得もあり、その後も続けて勤務していましたがタイミングだったのか、別の場所へ行く事になりました。その後の行方は分からずじまいです。因みに軍鶏と分かった次の日に、近所のおじさんが軍鶏を引き取りました。多分、食べられたと思います。
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