インドアの歌

濡れない雨が好き


真っすぐ落ちる銀色の糸と

何かを濡らしていく音


安全な屋根の下で

叙情だけ いただく


積もらない雪が好き


あたりを真っ白に塗りこめ

光りながら溶けていく


しゃりしゃりと歩きながら

冷たい空気を いただく


照りつけない太陽が好き


木々も 家々も 通りも

色鮮やかに輝いて


だけど 私の肌は焼けずに

心の中だけ 陽気に満ちる


もしも 荒野に投げ出されたら

一番先にお陀仏するんだろう


雨に溶けて 雪に凍り

春になったら 私は跡形もない

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る