17 不思議なリア姉さん



 お屋敷で覚えなければならない仕事はたくさんあります。

 いじけたり落ち込んでなんていられません。


 性格がアレですけど、ご主人様が私を助けてくれたのは事実なんですから。

 というわけで、今日も、頑張ってお仕事です。


(さあ、がんばるぞーっ!)


 さて、やってきたのはお客様をお迎えする玄関。


 こなすのは、私達のお仕事の一つ。清掃です。

 モップもバケツもしっかり用意、準備万端です。


(さあ、ふきふきしていきますよっ!)


 気合を入れて四隅からふきふき。


 だけど、モップがけをしてる途中で、拳をにぎって時々やる気を注入していると、通りかかった先輩のメイドさん。リア姉さんが「あらあら」と声をかけてきました。


「どうしたのチヨ。そんなにはりきって。あんまりはりきり過ぎると、前みたいに失敗しちゃうわよ」


 前は確か、廊下のバケツを倒しちゃったんですよね。

 それで、辺り一面水浸しの大惨事。


 ですがこの私は、先日の私ではありません。


 ほんのちょっと成長した私です!


「大丈夫ですっ。二の舞にならないように、精一杯下をみて、バケツを倒さないように気をつけてますからっ!」

「うふふ、頼もしいわね」


 おっとりとした様子で笑うリア姉さんは、この屋敷では長く働いているメイドさんです。

 先輩として私の事も色々気にかけてくれるので、色々な事を親切に教えてくれます。


「大変だと思ったなら無理をしないでね。困った事があったらいつでも相談してちょうだい」

「はいっ、分かりました!」

「元気でよろしい」


 リア姉さんは、雰囲気がふんわりしてて、とっても優しい人なんです。

 ただし、鏡に姿が映らないのがちょっとした謎なんですけどね。


 それを屋敷の皆さんに聞いてみても、「それがどうした」ですし。


 一体リア姉さんは何者なんでしょう。


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