第6話~潜入オクマー共和国~
砂漠を疾走する一台のバイクの背景は、やがて緑が少しずつ増えていった。
トモサの耳にはレシーバーを通してミサニの声が入った。
「おにい、そろそろオクのマだよ。バイクとめるね。」
『わかった。バイクで国境をこえるのは無理だな。』
「警備の薄い地点に来てるけど、最近守りだけはかたいから・・・」
『見つかる想定で、逃げ場所のありそうなところを入ろう。』
「さすが、おにい。駆けっこだね」
『持ち物は最低限にしよう。バイクは遮蔽しておく。』
2人はバイクを降り、トモサは地形のスキャニングを始めた。
ミサニはバイクを遮蔽、この世界ではデータ化して、端末にストアする。
スキャンニングを終えたトモサは、『ここから左に2km行くと、大きな岩石地帯がある。スキャナーも通りにくいし、身も隠しながら進める。そこから入ろう。』
「おにい、行こう行こう、隠れんぼ。」
『こら、遊びじゃ無いんだぞ。ミサニ』
「ハーイ。おに」
『今、鬼って言っただろ!』
「ェへへ。ごめん、おにい」
2人は、ゆっくり中立地帯をすすんだ。
~~~~~
『このあたりだな。ここから進入すると、岩石が増えていくはずだ。ゆっくり隠れながら進むぞ。』
岩場は、足をとられ易く進みにくい。
しかし、その外からは容易には見つからず2人は順調に国境を超えて行った。
2時間程歩くと、先に開けた空間が広がる。トモサは『入国審査パスだな。この国の衣装に着換えよう。荷物もほとんど置いて、遮蔽しよう。』
「コスプレね!」
『お前な~少しは緊張感持ってくれよ。』
トモサは笑いながら言った。
2人は、ワンピースのようなダブダブの衣装に着替え、月桂冠のような冠を頭に乗せた。
「おにい、何?このへんな帽子。」
『良くはわからないが、この冠で階級を現すらしい。一番下の階級のにしておいたから、何か聞かれても、わからないとこたえろ。』
「わからず屋のコスプレね。おにい。」
『・・・・。』
その時、大きなスピーカー音で、「浸入者2名、既にお前たちはロックされている。前の広場におとなしく出ろ」
「おにい!バレバレじゃん~。」
『トラップだ。ここは素直に前に出た方がいい。まだ、手があるかも知れん。』
「おにい~拷問やだよ~。」
『捕虜の扱いに関する条約はあるはずだ。手荒なまねはさせない。』
スピーカーは、さらに大きな声で、「我々は、容赦なき鋭いキバ軍団だ、鋭い猛獣のキバで、お前立ち浸入者を処刑する。」
ミサニは半泣きで、
「おにい~。もう駄目~。痛いのいや~。」
トモサは、心の中で『共和国は、そんな軍を持ってないはず。何かおかしい。それともこれが反乱軍なのか・・・。』
続く
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