第5話 英知の扉を叩きし者



 それからあいつは、しごく真面目な顔して、中二病な事を喋り続けた。


 国の暗部が、重要な機密を知ってしまった私達を消すために、拉致をたくらんでる、と。


 とりあえず、一個一個質問させてくれ。


「暗部って何だよ」

「英知の扉を叩きしもの、通称ノッカー。この組織は、国ごとにそれぞれ別の名称がついているが、全て同じ目的の元に行動している」


 全世界設定かよ。

 話の風呂敷広げてきやがったな。


「で? 私達が知ってしまったっていう機密はなんだ?」

「世界の全てを知る英知の書、アカシックレコードの秘密だ。俺達は、それを見つけてしまっている」

「一体いつ?」


 記憶を探ってみるが、それらしい出来事はまるで思い浮かばない。


「俺がバカだった頃、埋蔵金を掘り出そうとして近所のおやじに怒鳴られてたやつだ」


 あれかぁぁぁ!


 記憶に新しい。

 一週間前に「なんかビッグな事やらね? じゃあ夜の十時集合な!」とか集合場所も言わずにやったあれだ。


 え、あんな馬鹿げた事で?

 お前がそんななってんの?


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