016――したうち

 チッ。

 ふと、そんな音が聞こえた。

 チッ、チッ。

 背後で誰かが舌打ちしているようだ。

 チッ、チッ、チッ。

 喧嘩でも売られているのだろうか。

 チッ、チッ、チッ、チッ。

 しつこい。いい加減にしろと言わんばかりに、僕は振り向いた。

 チッ、チッ、チッ、チッ、チッ。

 血まみれの舌が無数に地面を這って、いた。

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