第29話 スキル

 『ハコニワ』に頼んでいたスキルが出来上がってきた。

 種は自動で使用されるので直ぐにスキルとして取得できる。


 こんな感じだ。


 『隠蔽』『偽装』『看破』『自動』『受動』『束縛』

 『譲渡』『付与』『双術』『毒矢』『暗器』


 依頼したのはまだあるのだけど、完成にまだ時間がかかるみたいだ。


 『隠蔽』ステータス等を隠すことができる。

 『偽装』ステータス等を見せたいものに変えられる。

 『看破』ステータス等の隠蔽や偽装を見破ることができる。


 これで俺の正確なステータスがバレることはないだろう。

 そしてオリジナルスキルである『看破』で相手のステータスは丸裸だ。


 『自動』スキル専用マクロが作れる。

 『受動』攻撃を受けた場合スキルで反撃できる。


 これらは先々で活きてくるスキルだと思い作っておいた。

 

 『束縛』相手を縛り上げ魔力をみだし吸収する。

 

 グエンを倒すにはこのスキルがキーになるかもしれない。

 転移の能力は魔力を使用するだろうし、魔力を抑え込めばさすがに発動できないはず。


 『譲渡』持っているスキルを複写できる。(回数制限あり)

 『付与』持っているスキルを付与できる。(回数制限あり)


 回数制限はあるけれど自分のスキルを仲間や物にコピーできたり付与できるのは有用だろう。

 それだけでかなりの戦力アップだ。

 

 『双術』二刀流の剣術に補正が付く。

 『毒矢』毒を持った魔力の矢を放つことだ出来る。

 『暗器』武器を透明化して隠し持つことができる。


 これらはザキルのスキルを分析して取得したものだ。

 以外に便利かもしれない。


 そして敵が持っているスキルでも取得できると証明された。


 さて決戦の地はこの島の中央ぐらいと考えている。

 転送魔法陣のあるところから全員でウイングボードに乗って移動している途中だ。

 ウイングボードは大きくできるので皆が乗れる。


 俺は誰にどのスキルを譲渡するのか考えながら質問する。


「そういえば属性ってどんなものがあるんだ?」


 今更ながらだけど聞いてみた。

 自分のステータスを確認している時に疑問に感じたからな。

 

 俺の属性スキルは『風』『炎』『水』『光』の四種類だ。


「はい。基本的には『風』『炎』『水』『土』『光』『闇』の6種類ですわ」


 あと二種類で全属性持ちになるな。


「通常は一、二種類、取得出来ればいいとされていますわ」

「そうなのか? 俺は特殊ということか?」

「そうですわね。越境者様ということなので特別なのかもしれませんわ」


 どうせなら全属性覚えたいと思う。


「スキルはどうやって覚えるんだ?」

「レベルアップすることで覚えることが可能ですわ。普通は相性がいいのもが取得されますわ」

 

 俺はレベルアップしないからこの方法は無理か。


「他にはあるのか?」

「はい。スクロールで魔法を使用した際に使えるようになったりもしますわ」 


 通常は魔力があればスクロールと呼ばれる物を使用して魔法を発動することができるらしい。

 そして使用した魔法が自分と相性が良ければ、その後スクロールがなくても使用できるようになるとのこと。


 「じゃあ、持っていない属性のスクロールを使ってみれば、その後使えるようになるかもしれないな」

 「そうですわね。可能性はありますわ」


 是非とも欲しいな。


「スクロールはどこで手に入れるんだ?」

「初級品なら街の魔法ショップで手に入れられますわ」

「そうなのか。あとは?」

「特殊なダンジョンの魔獣が落とす場合もありますし、オークションで取引している物もありますわ」

「特殊なダンジョンというのは?」

「ええ、わたくしが住んでいた国の北側に洞窟があるのですけれど、そこがスクロールダンジョンと呼ばれていて、深い階層ほど貴重なスクロールが出るので一攫千金を狙った冒険者で溢れていますわ」

「へえ。面白そうだな」

「はい。レンヤさんなら最下層到達も可能かもしれませんわ」


 この島を脱出できたら行ってみてもいいかもしれない。


 そんな話をしていたら目的の場所に着いた。

 転送魔法陣から島の中央を挟み、ちょうど反対側の位置でかなり離れている場所だ。


 なぜこんなに遠い場所に来たかというと転移対策だ。

 グエンが来るとするならば転送魔法陣のところからだろう。

 そこから俺達を探すなら魔道具かスキルが必要なはず。

 どちらにしても距離を取っておけば探すのに時間がかかるだろう。


 その間にこちらは《発光トーチ》で発見することができるので優位だ。

 距離があるので転移で来る際には魔力を減らすこともできる。


 まあこの島のどこにでもいきなり転移できるならお手上げだけど。

 前回逃げる際に転送魔法陣を使ったところをみると、その可能性は低いと思う。


 俺は仲間にスキルを譲渡し説明していく。


(まあ、こんなもんだろう)


「じゃあ何かあったら連絡してくれ」

「わかりましたわ」

「わかりました」

(はーい)

(りょうかいっす)


 俺は一人、島の中央に向かった。

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