この「世界」に対する解答

甘蜘蛛

まさに今宵は儚い無相の墓よ (思いついた何か)

「あんな蒙昧もうまいな星々の光明こうみょうが映る空を見たら、きっとあの案山子かかしは笑いを堪えきれないよ」


「何故だ?」


「無意味・無価値なことだと理解できずに、醜態しゅうたいさらし続けるからさ」


有為無為ういむいなど説かれても、我には些末さまつなことである」


「何も思わないの?綺麗きれいだとか、醜悪しゅうあくだなとか」


「何の感慨かんがいも浮かばんな。それよりも…全体的に遅緩ちかん気味だ。これでは後に影響を及ぼすぞ?」


「心配しすぎ。そもそも想定済みでしょ?」


「………」


「それに、できることといったらこの世をうれ

うことだけじゃないか」


「…………………」


「それなら絶対嗤わらってる方が楽しいし、退屈も和らぐよ?」


「貴様には憤懣ふんまん悲哀ひあいも、恐怖もないのか?」


「え?」


「…ないな、あるわけないな。世迷言よまいごととは、我は疲れているな」


失敬しっけいな!ちゃんとあるよ!…ある気がするよ!」


「………自覚はあるのか」


「………一応は」


「はぁ………余りにも稚拙ちせつ天邪鬼あまのしゃくな貴様を一々相手するのは疲れるが」


「酷い!」


「——————————」


「!…………」


「さぁ今宵こよいも向かおうか、無常たる世の深層しんそうを写す宇宙ソラの果てへ」




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