筆でシュールに風を刺す
きりん後
キラキラベイビー
どのような流行にもそのきっかけがある。それはここ最近JKを中心にブームになっている、「キラキラベイビー」も例外ではない。
キラキラベイビーとはキャンディの名前であり、見た目はその名の通り、食用のラメ等でカラフルに彩られた赤ちゃんの姿をしている。棒の先に刺さっており、若干大きめに作られている。
この頃は、男性の中にもキラキラベイビーを買っている人がいる。
彼等の多くは、JKだけでなく、それ以上の年齢の女性もキラキラベイビーを食べていることによって、この大流行を無視できなくなり購入に踏み切った。またメーカーはキラキラベイビーを、男性をターゲットに作っていなかったが、購入される分には何も問題もないので、これを良しとした。
そして男性達に影響を与えた大人の女性達は、テレビ、ネット、雑誌等の様々なメディアで組まれたキラキラベイビーの特集を読んだことがきっかけで、キラキラベイビーを購入した。そしてその膨大な特集の記事等の中には、SNSに投稿する為だけにキラキラベイビーを購入し、撮影した途端、適当な場所に捨ててしまう者について書かれたものもあったが、その記事が彼女達の関心を引くことは余りなかった。彼女達が知りたかったのはあくまでも「最新のトレンド」だったからだ。
メディアがキラキラベイビーを大々的に取り上げ始めたのは、JKの間で大流行していたからだった。メディア関係者の仕事はどのような火種だろうとそれを大きくすることなので、メディア関係者は今回もその作業を少しの抵抗感もなく行った。
そしてメディアに取り上げられたこのブームの中心であるJK達は、現在も都会のあちこちにあるキラキラベイビーを専門に取り扱う店に長蛇の列を作り、キラキラベイビーを購入し、それを自分の顔と一緒に撮影し、加工し、SNSに投稿する。そして専門店のある街を、片手にキラキラベイビー、もう片方の手にスマホを持って遊歩している。
そのJK達が行う、SNSでのキラキラベイビーにまつわる投稿は、彼女等の羨望の的である、同世代のインフルエンサー達の真似事だった。インフルエンサー達が発信したキラキラベイビーを食べている動画や写真を目にして、JK達は直ぐに同じようにキラキラベイビーを購入し、撮影し、発信し、このブームを作ったのだ。
そのインフルエンサー達がキラキラベイビーに関する投稿をしたのは、とあるメーカーから大金を掴ませたからだった。「詳しいことは聞かずに、ただこの商品の宣伝をしてください」とだけ伝えて彼女達にキラキラベイビーの宣伝をさせたそのメーカーは、海外のとある国に拠点を置いており、そしてそのメーカーの裏にはその国の軍部がいた。国の軍部は、敵国に大打撃を食らわす為にキラキラベイビーを日本に送り込んだのである。
今日もJK達はキラキラベイビーを舐める。鮮やかな色の赤ちゃんは、徐々に小さくなり、最後には大抵、「ガリリ」と齧られてなくなる。それと共に、キラキラベイビー内に大量に含まれる、子宮に効く発がん性物質は、この国の将来の労働者の出産を担うJK達の妊娠の能力を確実に奪う。
着実に計画を進めている日本の敵国では、キラキラベイビーをこう表記する。
「Killer Killer Baby」
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