コストコのぱん
以前よりその所在地は存じ上げておりました。
しかし今だかつて、行きたいなあとも、行こう!とも思ったことはございませんでした。
もしも日本上陸のニュースだけを観てその内容を知らなければ或いは一度くらいは行ったかもしれませんが・・
なんでもかんでも大量なんでしょ?
いや、むりだよ。大家族なら行くかもだけど。
しかしついに、黒船の来航でございます。
同居人が意気揚々と戦利品の数々をテーブルに広げたのでございます。
それも栄養素の分野はすべて炭水化物でございます。
「凄いと思わない?」
目を輝かせた同居人は申します。食いしん坊な私が喜ぶであろうという確信に満ち満ちた目でございます。
「凄いね」
ちょっとでも意に反した反応を見せると臍を曲げる同居人に悟られぬよう、慎重に私も同調いたします。
噂にたがわぬ大量ぶり。中身もさることながらその容器も、巨大なうえに奇妙なほど丈夫な作りでございます。
特に私が怯えましたのは、この容器を捨てる場合に使う市指定有料ごみ袋の大きさと食べきるまでに必要な保管場所である冷凍庫の許容量なのであります。
これ、全部入るかなぁ・・。 ←心の呟き
その時でございます。救いの手が、正確には救いのラインが鳴ったのでございます。
同居人のお友達のSちゃんが別件でラインをしてきてくれたのでございます。
「Sちゃんに少し分けてあげようよ」
すかさず私は申しました。同居人も、同意いたしました。
よし、これで少しは収まる可能性がでてきたぞ。
日本にある同名の食品をイメージしたなら、え、これ、同じ名前にしちゃだめなやつなんじゃない?って思えるほど丸くて馬鹿でかいマフィンなる食べ物が2個と、チョコ入りのクロワッサン数個は一縷の望みをかけ、晴れてお嫁に行きました。我が家の危機を救うべく旅立つその雄姿を見送りながら、目頭が熱くなったものでございます。
メイドインジャパンの流通常識とは明らかに違う、形、大きさ等、規格がバラバラな、ある意味おおらかでアメリカンなテーブルロールっぽいパンも上げようよ。という思惑もございましたが、言いすぎて同居人にまるで厄介者扱いしてるようだと勘ぐられても困りますので、それらはそっくりそのまま居残りでございました。
次の日から、全消化作戦の開始でございます。
まずスーパーに行き、めぼしい食材を仕入れてまいりました。
ひき肉、ハム、海老、レタス他
この日は、海老をミンチにして海老カツを作る案が脳内会議最有力でございましたが、失敗して油の中で海老ミンチがパーッと散っていく様を想像いたし面倒になりまして、ただのエビフライにしてレタスと挟んでオーロラソースで食しました。
次の日はハンバーガーの予定でございましたが、同居人がパンを拒否したので普通のハンバーグの日になり、消化作戦失敗でございます。同居人は同じようなメニューを嫌がる傾向にありますので、一筋縄ではいかない手強さを改めてひしひしと感じましてございます。
気を取り直した三日目はハムサンド。
四日目は同居人のリクエスト、エビチリサンドでございました。
パンはまだございます。
その他の日は牛薄切り肉を焼いて焼き肉のたれをかけ、スライス玉ねぎとレタスをサンドいたしました。
「これもSちゃんに分ければよかったかな」
ぼちぼちため息とともに同居人の呟きも聞こえてまいります。
今日は同居人が休日のため、ブランチとして目玉焼きを注意深く半熟にいたしまして、ハム、レタスと挟みます。
イメージといたしましてはパズーとシータが半分こにしたアレ、の豪華版でございます。
とことん焼き加減を調節した目玉焼きを半分に切って乗せると、とろりとした黄身が絶妙なビジョンで満足な出来でございました。
いよいよ冷凍庫も空きが感じられるようになりまして、買い物に行く際に
あ、余分に肉買ったら冷凍できなくて腐らせちゃうかも。という危惧から徐々に脱却している実感がございます。
強敵はまだまだ居座ってございます。コストコの強烈さにノックアウト寸前でございますが、負けられない戦いも、そこここにはあるものでございますね。
最近脳裏に浮かぶのは、
家庭用の冷凍庫を一個買ったほうがいいかな?という防衛予算の拡大案でございます。
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