女の子と動物しか描けない訳

 昔から私はファンシーでかわいいものばかりが好きで、それは今でも変わらないし変える気もない。自分からそれを好んだというのもあるが、女性である私がかっこいいキャラクターを描いたら嫌われるという恐れもあったのだ。イメージが崩れることを恐れ、結果的にポケモンや一部のデジモンなどは一度見ただけでかわいい絵が描けるようになったし、女の子キャラは写しではなく、資料がそばにあるだけで一からオリジナルが描けるようになった(アレンジは多かれ少なかれ入るが)。とはいえ、知識ばかり詰め込んでいるせいで技術は進歩せず、更には本来なら才能が全く別のところに向いているときた。私はイラストレーターという夢を諦めるしか無かった。

 「女の子キャラを一から作る」というのは簡単なようでいて意外と難しいようで、資料が手元にあったので、比較的簡単に描けたにもかかわらず「大変だったでしょう」と言われたことがあった。私からすれば大元が頭の中にあった(資料が手元から離れたら描きづらくなるという点を除けば)ので、全く苦労してはいないのだが。そもそもがキャラに合わせてオリジナル衣装を描けてしまうような人間に、そんなことを言うのは野暮だと思う。

 二次創作の世界では、公式の衣装以外は描かないという人が多く、オリジナル衣装を描く人は珍しいようだった。それ故に私は二次創作界隈(マギレコ)で一定の評価を得ていたのだった。そんなにすごいかな、と思いながら。

 動物に限らずデフォルメは難しいと聞くが、私にとってデフォルメは半ば当然のこと。普段からデフォルメされたキャラクターのグッズに囲まれているからだろうか。高校の時には「デフォルメが上手い」と言われたことがあった。動物の絵はファンシーグッズを集めていた影響もあるのだろうか、と思う。だからだろうか、かっこいい絵が描ける人を羨ましいと思った。

 あまりに画風がソフトなせいか、私の絵には男キャラが少ないというのもあったのだろうか。メガテンのキャラでさえ、高校に上がってから漸く描いた程だった(描けないからという理由で叔母にリクエストしたこともあった。叔母の絵はケチのつけようがないくらい上手かったから、イラストレーターとしてもやっていけそうな気がしたのだが)。しかし、叔母には私のようなソフトな絵が描けないという悩みがあったようで、私を憧憬めいた目で見ていたようだった(一応他にも理由はあるが)。

 結局かっこいい絵とかわいい絵、どっちがいいのか答えは分からない。

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