彩り豊か⁈な保存食

 古来からヒトは有事に備えて保存食を製造してきた。魚や海藻の干物、干し肉や塩漬けなど。あのキムチも元は漬物で、野菜が少なくなる冬に食べられていた。ちなみに梅干しも保存食だが、完全な手作り梅を作れる人は年々減ってきているという(今は添加物が多い上、賞味期限まで設定されている)。今の保存食といえば、ビスケット(乾パン)やレトルト、パックご飯にインスタント味噌汁に缶詰、瓶詰が主流である。人によっては普通のお菓子なんかも含むかもしれない(チョコレートや飴など)。

 実は私は今祖母の家に来ているのだが、彼女の家には「備え有れば憂いなし」と言わんばかりに缶詰やらパックご飯があった。カロリーメイトなんかもある。が、大体にしてこれらの保存食は日の目を見ることなく放置されるというオチが待ち構えている。台風や津波、地震が来た時は話が別だが、余程影響を受けそうなところに住んでいない限り災害には遭わないのが今の現状だろう。ちなみに飲み物があるかというと……。

 当然といえば当然だが、しっかり賞味期限切れであり密封されていなければ危なかった(その後私に持ち帰らせてくれた)。それ以外にも地味に賞味期限が切れており、案外危なっかしい。

 保存食だけでご飯が食べられるかというと、答えはイエスだがかなり条件は厳しい。というのも、一人で二、三日耐えるならまだしも日常的に食すとなるとそのうち飽きるし栄養バランスも偏るだろう。私は野菜を摂る方だから(健康の為というより、私の場合は単に噛めるものが欲しいだけ)、野菜が一日でもない日というのが考えられない。家で揃えている保存食の種類にもよるが、少なくとも私はお勧めしない(生野菜をわざわざサブウェイに行ってまで食べる私の言うことを信じるかどうかはあなた次第)。ついでに言うと、モノによっては常温で食べることができないものもある(お湯や電子レンジが必要なモノ)。災害時にそんなものがあっても、お湯や電気がどうなっているか分からないし災害時用の電力が万一あったとしても、充分ではない可能性もある。そういう意味では、災害は起こらない方がいいと思うが、効率よく保存食を消費できるシチュエーションとして、これ以上適したシチュエーションはない。

 賞味期限が切れた缶詰は大体、酒のつまみかおやつになるがこれだけで小腹を満たす日もある。そんな時、私は手作りのご飯が懐かしく感じるのだ(店屋ものばかりだからという理由もあるが)。

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